原料処方と印刷工程の工夫による環境負荷の少ないポリフィルムの開発

山口県の製造業が、ものづくり補助金で、バイオマス原料とリサイクル原料を使うフィルムの生産ラインを整え、増産に応えられるようになった採択事例です。

石田兵衛株式会社

この事例のポイント

  • レジ袋の有料化やコロナ禍の影響で包装資材の販路拡大が急務だった。
  • バイオマス原料とリサイクル原料を用いた適切な原料配合と印刷工程の工夫により、高品質かつ製造コストを削減したフィルムの製造を目指した。
  • 本事業によって、バイオマス原料やリサイクル原料を用いて原反の製造から加工、印刷までの流れを内製化できる生産ラインが構築された。

事業者のプロフィール

事業者名石田兵衛株式会社
所在地山口県 防府市
業種プラスチック製品製造業(別掲を除く)
技術分野機械制御
従業員数31人
資本金1,000万円
設立1963年

事業の背景

同社は包装資材として使うプラスチックフィルムを製造している。レジ袋の有料化やコロナ禍の影響を受け、早急な販路拡大が課題となっていた。

販路拡大が期待される商材として、植物由来のバイオマス原料やリサイクル原料を使ったエコロジーなポリエチレンフィルム製品に注目が集まっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信レジ袋の有料化やコロナ禍の影響で包装資材の販路拡大が急務だった。
  • 生産能力エコロジーなポリエチレンフィルムは通常のバージン原料に比べて製造が難しく、現行の設備では対応が困難だった。
  • 品質・精度エコロジーなポリエチレンフィルムは物性が柔らかく安定した印刷が難しいため、多くのロスが発生していた。

やったこと

バイオマス原料とリサイクル原料を用いた適切な原料配合と印刷工程の工夫により、高品質かつ製造コストを削減したフィルムの製造を目指した。密度の違う原料でも安定して混合できる原料配合機を導入した。

グラビア印刷機には、フィルムの流れのブレを監視しロール角度を自動調整するEPC装置、フィルム上の不具合を即座に察知するIoT監視カメラ、熱シールで連続的なフィルム供給を可能にする紙継装置、紙管への巻取時にフィルム表面の凸凹を防止し1本分の印刷後に自動で反転して次の紙管を巻ける自動巻取機を導入した。

新しい製品・サービス:バイオマス原料・リサイクル原料を用いたエコロジーなポリエチレンフィルム

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

  • 原料配合機設備の種類:その他の設備
  • EPC装置グラビア印刷機IoT監視カメラグラビア印刷機紙継装置グラビア印刷機自動巻取機グラビア印刷機設備の種類:印刷機

事業の効果

本事業によって、バイオマス原料やリサイクル原料を用いて原反の製造から加工、印刷までの流れを内製化できる生産ラインが構築された。市町村向けやオリジナルのゴミ袋などの価格競争力を強化する環境が整い、既存取引先の増産ニーズにも応えられるようになった。

リサイクル原料を使ったゴミ袋の製造で、SDGsの実現にも貢献できると見込んでいる。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.1 / 5

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性HDPEを山口県で製造できるのは同社だけで、リサイクル業者との取引で高品質なリサイクル原料を安定調達できる強みを示している。
  • 4
    新しさ・高付加価値バイオマス・リサイクル原料を用いた環境配慮型ポリエチレンフィルムは製造が難しく、現行設備では対応困難な分野で差別化している。
  • 4
    波及効果・雇用廃プラを回収しリサイクル業者経由で再生原料化し、ゴミ袋を製造して元の工場へ納入する循環の流れを構築し、地域のリサイクルにも波及する。

もう一歩だった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標付加価値額や賃上げの具体的な目標値は記載がなく、実現可能性を示す数字が見当たらない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    既存のポリエチレンフィルム事業の延長で、バイオマス・リサイクル原料対応を販路拡大の柱に据えている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    HDPEを山口県で製造できるのは同社だけで、リサイクル業者との取引で高品質なリサイクル原料を安定調達できる強みを示している。

  • 課題の認識と解決3

    バイオ・リサイクル原料で生じる品質低下や印刷ロス、コスト上昇という課題を整理し、原料配合と印刷工程の改善で解決を図っている。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの具体的な目標値は記載がなく、実現可能性を示す数字が見当たらない。

  • 事業を進める体制3

    中央会のコーディネーターや過去採択企業の助言を受けて申請し、受注から納品までの品質管理とスケジュール管理の仕組みを重視している。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    お客様のニーズに的確に対応する仕組みづくりを掲げ、既存取引先からの高機能フィルム増産ニーズに応える計画を示している。

  • 事業化までの道筋3

    新工場建設や食品包装用フィルムへの展開など中長期の事業展開を見据え、生産ラインの活用計画を示している。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    バイオマス・リサイクル原料を用いた環境配慮型ポリエチレンフィルムは製造が難しく、現行設備では対応困難な分野で差別化している。

公的補助の必要性3.3
  • 波及効果・雇用4

    廃プラを回収しリサイクル業者経由で再生原料化し、ゴミ袋を製造して元の工場へ納入する循環の流れを構築し、地域のリサイクルにも波及する。

  • 費用対効果2

    補助金額に対する付加価値増加や生産性向上の数値は示されておらず、費用対効果は読み取れない。

  • イノベーションへの貢献4

    IoT監視カメラや自動制御、紙継装置などデジタル技術を活用し、リサイクル原料の循環でサプライチェーンの取り組みにも貢献する。

政策面3.0
  • 成長分野への進出3

    SDGsへの貢献や環境配慮型製品への転換を掲げ、脱炭素社会に向けたプラスチック製造の構造転換に資する取組である。

  • 地域経済への波及3

    山口県で唯一のHDPE製造という地域の強みを活かし、地元のリサイクル業者と連携して雇用と事業を維持・拡大する方向を示している。

今後の展望

自社の強みであるLLDPEとHDPEを武器に、既存取引先からの高機能フィルムの増産ニーズに応える。食品包装用フィルムの製造・加工という新たな事業展開も見据え、新工場の建設も進めている。

事業者の声

以前からものづくり補助金については知っていましたが、申請には時間と労力がかかるため、自力では難しいと感じていました。そこで、過去に採択されている同業他社や中央会のコーディネーターの方からアドバイスをいただきながら本事業に取り組みました。

我々が大切にしているのは、製品の品質確保や安定供給はもちろん、お客様のニーズに的確に対応できる仕組みづくりです。実現のためには、受注から納品までの一貫した品質管理やスケジュール管理が欠かせません。お客様に選ばれ続ける会社であるためには、設備投資による利益追求だけでなく、付加価値を提供する仕組みづくりも重要なテーマだと思っています。

公式の事例集より(原文のまま)

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。