和紙・トレーシングペーパーの印刷加工に特化した円滑な生産体制の構築

高知県の製造業の会社が、ものづくり補助金で超薄手の紙へ印刷できる印刷機を導入し、受注を3倍以上に増やした採択事例です。

有限会社西村謄写堂

成果受注能力 1倍→3倍

この事例のポイント

  • 和紙やトレーシングペーパーなど超薄手の紙は静電気を帯電しやすく、印刷すると紙詰まりや排紙時の紙暴れが頻出し、作業が止まるため作業効率が悪い。
  • 同社が少量から和紙印刷に取り組み、試行錯誤しながら研究してきた印刷技法を実施できる四六半裁4色オフセット印刷機を導入しました。
  • 受注能力 1倍→3倍。独自の工夫を行った新たな印刷機の導入により、静電気の滞留が格段に起こりにくくなった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社西村謄写堂
所在地高知県 高知市
業種印刷・同関連業
技術分野機械制御
従業員数102人
資本金350万円
設立1934年

事業の背景

当社は他社が敬遠する仕事こそが自社の強みになると考え、専門性の高い印刷やニッチな需要に積極的に応えながら効率性を高めてきました。特に同人誌印刷やグッズ製作の分野で全国的に注目を集めています。

顧客からは「和紙文具」の製作の問い合わせが多く寄せられています。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力和紙やトレーシングペーパーなど超薄手の紙は静電気を帯電しやすく、印刷すると紙詰まりや排紙時の紙暴れが頻出し、作業が止まるため作業効率が悪い。
  • 品質・精度紙詰まりや印刷のズレが生じて材料ロスが大きく、利益につながりにくいため、印刷業界では敬遠されている。
  • 人手・技能和紙文具は多品種少量印刷になりやすく、封筒の糊付けなど後工程も商品ごとに異なる労働集約型加工となり、仕上げ工程に人員が欠かせない。
  • 人手・技能紙粉が大量に出るため、こまめな清掃やメンテナンスに人員を充てる必要があり、印刷の精度と効率を上げることが重要となる。

やったこと

同社が少量から和紙印刷に取り組み、試行錯誤しながら研究してきた印刷技法を実施できる四六半裁4色オフセット印刷機を導入しました。独自の工夫を行うことで、和紙やトレーシングペーパーの紙詰まりや紙暴れを抑制し、印刷を実現しました。

本事業で導入した印刷機により、超薄手の紙への印刷物およびその紙を用いたグッズの製作を行っています。

新しい製品・サービス:和紙やトレーシングペーパーなど超薄手の紙への印刷物、およびその紙を用いたグッズ

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

  • 四六半裁4色オフセット印刷機設備の種類:印刷機

事業の効果

  • 受注能力 1倍→3倍

独自の工夫を行った新たな印刷機の導入により、静電気の滞留が格段に起こりにくくなった。これにより紙詰まりや紙暴れを高い割合で抑えられるようになり、作業が中断する回数や材料ロスが減少した。

排紙から検品にかかる人員を減らせたことで、仕上げ工程に人員を配置できるようになった。工程改善と人員増加により、以前と比べて3倍以上の受注を可能にする製造能力を持つことができた。

また、印刷の依頼が増えるほど印刷オペレーターの経験値が上がり、印刷技術も向上している。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.1 / 514観点のうち13観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性超薄手の紙の印刷に困る同業他社が多く、独自の工夫で紙詰まりを抑えられる点を競争優位として明確に示している。
  • 4
    課題の認識と解決静電気による紙詰まり・紙暴れという課題を特定し、印刷機導入で作業中断や材料ロスを減らす実効性の高い計画になっている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付けキャラクター企画業者から和紙グッズの提案を求められているなど顧客ニーズの裏付けがあり、他社が扱えない点が選ばれる理由になっている。

もう一歩だった観点

  • 2
    事業化までの道筋技術の向上や今後の提案活動は書かれているが、スケジュールや課題解決の具体的な進め方の記述は薄い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    同人誌印刷やグッズ製作で培った多品種少量・ニッチ需要対応の経験を、和紙印刷の強化という事業戦略に一貫して位置付けている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    超薄手の紙の印刷に困る同業他社が多く、独自の工夫で紙詰まりを抑えられる点を競争優位として明確に示している。

  • 課題の認識と解決4

    静電気による紙詰まり・紙暴れという課題を特定し、印刷機導入で作業中断や材料ロスを減らす実効性の高い計画になっている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標3

    導入後は以前の3倍以上の受注を可能にする製造能力を持つと示され、目標の根拠は一定程度ある。賃上げ目標の記載はない。

  • 事業を進める体制3

    印刷オペレーターや内職スタッフの技術向上に取り組み、人員配置の見直しも行っており、遂行体制は確保されていると読める。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    キャラクター企画業者から和紙グッズの提案を求められているなど顧客ニーズの裏付けがあり、他社が扱えない点が選ばれる理由になっている。

  • 事業化までの道筋2

    技術の向上や今後の提案活動は書かれているが、スケジュールや課題解決の具体的な進め方の記述は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    和紙やトレーシングペーパーの印刷は業界で敬遠される分野で、普及度が低く高付加価値化を図る取組として読み取れる。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    印刷業界で敬遠される超薄手紙の印刷を可能にし、和紙文具などの新たな需要を創出する点は補助の意義がある。

  • 費用対効果3

    材料ロスや作業中断が減り、排紙検品の人員を仕上げ工程へ振り向けられるなど生産性向上が示されている。ただし数値の費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    地域やサプライチェーンのイノベーションへの貢献は明示されておらず、同業他社への受注可能性が触れられている程度である。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    超薄手紙の印刷分野への進出は示されるが、日本経済の構造転換に資する成長分野との関係は書かれていない。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

キャラクター関連グッズの企画業者や文具メーカーなどに対し、和紙を用いたグッズの企画提案を行っていく。女性をターゲットにしたキャラクターでは和紙グッズの展開がしやすく、企画業者からも従前より提案を求められている。

同業の印刷業者からも受注できる可能性が出てきている。和紙の種類が多様なため、難しい依頼にも積極的に応えながら、印刷オペレーターや内職スタッフの技術を向上させていく。

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。