地鶏の店がレストランバスを走らせ、承継と新事業を同時に進める
サンはらいっぱい
熊本県の地鶏料理店(従業員1名)国が公開している採択事例です
この事例のポイント
- 接客に力を入れて店の評判を高めた後継者が、開業当初から店の運営を担っていた。
- コロナ禍のキッチンカー営業で、店と同じ水準の料理を出せない限界を感じた。
- 食品衛生法の改正を好機と見て、地元の商工会に相談し、事業承継の補助金でレストランバスを形にした。
- 補助金の採択をきっかけに、10年ほど話し合ってきた親子間の承継を実行した。
事業の経緯
2005年、建設業を営んでいた先代が、地鶏を食べる文化を広めたいと飲食店を開いた。後継者は開業当初から厨房に立ち、接客を磨いてコンテストでグランプリを取った。テレビで紹介されて客が増え、先代から店の運営を任されるようになり、地元産の地鶏を看板商品に育てた。
2020年からのコロナ禍で観光客向けの売上が消え、売上は半分以下に落ちた。キッチンカーで営業を続けながら、2018年頃に温めたレストランバスの構想を形にする機会をうかがった。2021年の食品衛生法の改正を機に地元の商工会に相談し、事業承継・引継ぎ補助金に採択されたのを機に親子間の承継も実行した。
事業の内容
- 課題:先代との考え方の違い建設業を営んでいた先代が地鶏を食べる文化を広めたいと飲食店を開いた。先代は料理の味を何より重んじたが、後継者は接客や店の雰囲気も料理と同じくらい大切だと考え、意見が分かれることもあった。後継者は接客を競うコンテストに出てグランプリを取り、テレビで紹介されて客が増え、店の運営を任されるようになった。
- 課題:コロナ禍での売上減少観光客を呼ぶために地元産の地鶏を取り入れ、注文の約9割を占める看板にしていたが、2020年春からのコロナ禍で観光客向けの売上がなくなり、売上は半分以下になった。キッチンカーで営業を続けたものの、店と同じ水準の料理は出せないと感じていた。
- 取り組み:レストランバスの構想2018年頃、県と観光協会が改造バスで行った観光ツアーに料理人として参加し、大型車両で料理を出す構想を持った。2021年の食品衛生法の改正で料理提供のルールが変わったことを好機と見て、地元の商工会に相談した。商工会から事業承継・引継ぎ補助金を提案され、県の商工会連合会の指導員の支援も受けて計画をまとめた。
- 取り組み:バスの整備と承継補助金で、テーブルと椅子を載せた大型車両の中で14人ほどの客にその場で料理を出せるよう、車内の調理設備と太陽光発電の機器を備えたレストランバスを整えた。採択をきっかけに、先代から後継者への事業承継を行った。
補助金を使った経費
記事の内容から、事業承継・M&A補助金の経費区分にあてはめた区分です。
| 設備費 | レストランバス用の大型車両 |
|---|---|
| 設備費 | 車内の調理設備 |
| 設備費 | 太陽光発電の機器 |
事業の効果
- 店舗とレストランバスの二本立てで営業するようになった。
- バスが店の宣伝になり、店舗への来店客が増えた。
- バスの車内でも、その場で調理した料理と得意の接客を14人ほどの客に届けられるようになった。
- 店の調理は分業の体制に移った。
事業者の声
接客や店の雰囲気なども、料理と同等に重要な店舗サービスである。
数多くの飲食店がある中で、自分が努力によって他店に勝てるとすれば接客だと考えました。サービスのレベルを競い合うコンテストに出場すれば、自店の水準を客観的に把握できるだけでなく、他店の優れた点も学べるのではないかと思いました。
キッチンカーで営業しながら、これから先に自分が実現したいサービスのイメージを思い描いていました。天草の風景をお客様にご覧いただきながら、店舗で提供するような本格的な料理を楽しんでもらいたい。ウェディングプランとタイアップした料理提供も行いたい。ただ、このキッチンカーでは、店舗で調理するような水準の料理を提供することはできないと感じていました。
新しいことに一歩踏み出そうとする際、商工会に事業の進め方について助言をいただき、活用できる補助金を紹介してもらえることは、本当に有難いと感じています。一方で、あまり頼りすぎてもいけないという意識も持ちながら、主体的に事業を進めることを心がけています。
それまでも、私が主導で事業を進めてきたため、10年ほど前から、いつ事業承継を行うかについて親子で会話を重ねていました。補助金の採択を受けたことを契機に、事業承継を行いました。
キッチンカーとは異なり、テーブルと椅子を載せて運行することで、14人ほどの顧客に対し、その場で調理した料理を提供できるため、私が得意とする接客も行うことができます。
今後は、九州エリアで多くの人が集まる場所にも新たな店舗を出店していきたいと考えています。これまで、私自身が調理を行いながらサービスを提供する形で事業を進めてきましたが、今後は他の従業員でも調理やサービスを担える体制への移行や、お客様自身で食材を焼いていただくサービスを提供していくことで、事業としての持続性をさらに高めていきたいと考えています。
熊本県の地鶏料理店(従業員1名)
出典
- 中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事(当社が書き直し・要約。事業者の声は記事中の発言の引用です)
- 経費区分は、事業承継・M&A補助金の公募要領の区分に当社があてはめたものです
- 採択率:中小企業庁「採択結果」(15次)
相談先と計画づくり
| 商工会 | 上天草市商工会 |
|---|---|
| 県などの公的支援機関 | 熊本県商工会連合会 |
キッチンカーでは出せなかった店と同じ水準の料理と接客を、観光地の景色の中で届けるという構想を、レストランバスの事業として整理した。あわせて事業承継の計画もまとめ、本人の言葉で計画書を書いた。
今後の展望
九州で人が多く集まる場所に新しい店を出したい考え。後継者だけでなく従業員も調理や接客を担える体制に移り、客が自分で食材を焼くサービスも取り入れて、事業を長く続けられる形にしていく。
この事例の取り組み
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