事業承継・M&A補助金16次公募|4つの枠の補助額と締切11/6
この記事の要点
事業承継・M&A補助金16次公募の締切は2026年11月6日17時。承継後の設備投資、M&Aの仲介手数料、統合、廃業の4枠の上限・補助率と、同じ回に申請できる組み合わせ、締切までの準備をまとめます。
この記事の目次
事業承継・M&A補助金の16次公募は、2026年11月6日(金)17:00まで受け付けています。
親族や社員への承継後の設備投資、M&Aの仲介手数料やデューデリジェンス費用、M&A後の統合作業、廃業費用が対象で、上限は枠により150万〜2,000万円です。
申請にはGビズIDプライムが必要で、発行に1〜3週間かかるため、ID未取得の会社は今週中に申し込みます。
会社を子どもや社員に継がせる、他社を買う、自社を売る。そのどれかを1年以内に考えている中小企業の社長に向けた記事です。16次公募の4つの枠の違い、補助額、締切までに準備することを、公募要領(2026年9月 Ver.1.0)をもとにまとめます。
事業承継・M&A補助金とは?16次公募の4つの枠
事業承継・M&A補助金とは、事業承継やM&Aをきっかけにした設備投資、M&Aの専門家費用、M&A後の統合、廃業にかかる費用の一部を国が補助する制度で、中小企業庁が実施し、事業承継・M&A補助金事務局が運営しています。16次公募は次の4つの枠に分かれます。
16次公募の枠ごとの補助上限と補助率を、公募要領の数字で並べた表です。
| 枠・類型 | 使い道 | 補助上限 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 事業承継促進枠 | 承継後の設備投資など | 800万円(賃上げ要件で1,000万円) | 2/3(小規模事業者等)、1/2 |
| 専門家活用枠 買い手支援類型 | M&Aで買う側の仲介手数料・DD費用 | 600万円(DD実施で+200万円) | 2/3 |
| 専門家活用枠 売り手支援類型 | M&Aで売る側の仲介手数料など | 600万円(DD実施で+200万円) | 1/2(赤字などの条件で2/3) |
| 専門家活用枠 100億企業特例 | 譲渡価額5億円以上の買収 | 2,000万円 | 1,000万円まで1/2、超える部分1/3 |
| 専門家活用枠 小規模売り手支援類型 | 小規模事業者の事業譲渡 | 450万円 | 2/3 |
| PMI推進枠 PMI専門家活用類型 | M&A後の統合の専門家費用 | 150万円 | 1/2 |
| PMI推進枠 事業統合投資類型 | M&A後の統合のための設備投資 | 800万円(賃上げ要件で1,000万円) | 2/3(小規模事業者等)、1/2 |
| 廃業・再チャレンジ枠 | 廃業にかかる費用 | 300万円 | 2/3 |
出典:事業承継・M&A補助金事務局 16次公募 各枠の公募要領「10. 補助上限額、補助率等」
小規模事業者等とは、従業員が製造業その他で20人以下、商業・サービス業で5人以下、宿泊業・娯楽業で20人以下の会社と個人事業主です1。
事業承継・M&A補助金16次公募の締切はいつ?
事業承継・M&A補助金16次公募の申請受付は、2026年10月2日(金)から11月6日(金)17:00までです。公募要領には「※厳守」とあり、締切を過ぎた申請は受け付けません。
16次公募の主な日程を、新しいものから並べた表です。
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2027年1月下旬(予定)〜14か月以内 | 補助事業期間(交付決定後に発注・契約) |
| 2026年11月6日(金)17:00 | 申請締切 |
| 2026年10月9日(金) | オンライン説明会、資料公開 |
| 2026年10月2日(金) | 申請受付開始(Jグランツ) |
| 2026年9月4日(金) | 公募要領の公開 |
出典:各枠の公募要領「8. 補助事業期間」「13. 公募申請」、事務局サイトのお知らせ(2026年10月13日確認)
採択結果は中小企業庁と事務局のホームページで公表され、個別の結果はJグランツで通知されます。公募要領に採択発表の日付は書かれていないため、事務局の案内を確認します。
事業承継促進枠は親族内承継の設備投資にいくら出る?
事業承継促進枠は、事業承継をきっかけに新しい取り組みをする中小企業に、上限800万円、賃上げ要件を満たすと1,000万円を補助します。補助率は小規模事業者等が2/3、それ以外が1/2で、800万円を超える部分は1/2です。補助額が100万円に届かない申請は受け付けません。
対象になる承継は、法人の代表者が交代する「類型1」と、個人事業主が事業を譲り渡す「類型2」です。承継は、16次公募の締切から5年後の2031年11月5日までに終えている必要があります2。
対象経費は設備費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費です。前の経営者に払うお金は対象外です。経費は原則2者以上から見積を取る必要があり、相見積が無い経費は補助の対象として認められません3。
1,000万円への引き上げは、補助事業が終わった年度の翌年度に「従業員1人当たりの給与支給総額」を3%以上上げることを、申請までに全従業員(または従業員代表)と役員に表明しておくことが条件です。達成できなかったときは、引き上げ分(最大200万円)を返します4。
専門家活用枠でM&Aの仲介手数料は補助される?
専門家活用枠は、M&Aの仲介手数料、ファイナンシャルアドバイザー(FA)費用、デューデリジェンス(DD:買う会社の財務や法務の調査)費用などを補助します。上限は買う側・売る側とも600万円で、DDを行うと200万円が加わり、最大800万円になります。補助率は買う側が2/3、売る側が1/2で、売る側でも直近の決算で営業利益か経常利益が赤字の会社などは2/3になります5。
仲介手数料とFA費用は、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録された業者に払うものだけが対象です。契約前に、仲介会社が登録されているかを登録機関データベースで確かめます6。
補助事業期間内にM&Aが成立しなかったときは、上限が300万円に下がり、原則としてDD費用だけが対象になります。補助の下限は50万円です。
100億企業特例(買い手)
100億企業特例は、売上高100億円を目指す会社の大型買収向けの類型で、上限2,000万円です。補助率は1,000万円までが1/2、1,000万円を超える部分が1/3です。対象は、譲渡価額が5億円以上で、申請時に「100億宣言」が100億企業成長ポータルで公表済みの会社です。買った会社の従業員の雇用を3年間維持する必要があります。通常の買い手支援類型と同じ回には申請できず、不採択になっても通常の類型には移りません7。100億宣言の中身は100億宣言の記事にまとめています。
小規模売り手支援類型
小規模売り手支援類型は、小規模事業者等が会社や事業を売るときの専門家費用を、上限450万円・補助率2/3で補助します。下限は無く、廃業費を合わせて申請すると150万円が加わります。M&Aが成立しなかったときの上限は50万円です。通常の売り手支援類型と同じ回には申請できません8。
PMI推進枠はM&A後の何に使える?
PMI推進枠は、M&Aの後に2つの会社の仕組みや業務をまとめる作業(PMI:Post Merger Integration)の費用を補助します。専門家に頼む費用と、統合のための設備投資で類型が分かれます。
PMI専門家活用類型は、統合の専門家への謝金・旅費・委託費を上限150万円・補助率1/2で補助します。専門家活用枠の買い手支援類型と同じ回に同時に申請できます9。
事業統合投資類型は、統合のための設備費・外注費・委託費を上限800万円、賃上げ要件で1,000万円まで補助します。M&Aのクロージング日から3年以内の取り組みが対象で、委託費のうちM&A仲介手数料やDD費用は対象外です。専門家活用枠の買い手支援類型とは同じ回に申請できません10。
廃業・再チャレンジ枠は廃業費用にいくら出る?
廃業・再チャレンジ枠は、事業をたたんで新しい挑戦をする人の廃業費用を、上限300万円・補助率2/3で補助します。補助対象経費が75万円に届かない申請は受け付けません。
対象経費は、廃業登記の司法書士費用などの廃業支援費(上限50万円)、在庫の処分費、建物や設備の解体費、借りていた店舗の原状回復費、リースの解約金、土壌汚染調査費です。事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠と組み合わせて申請でき、その場合は各枠の申請の中で廃業費を計上します11。
同じ回に申請できる枠・できない枠は?
事業承継・M&A補助金は、1つの会社が同じ回に申請できる枠の組み合わせが決まっています。組み合わせを間違えると、どちらかが受け付けられません。
16次公募で、同じ回に申請できるかどうかを枠の組み合わせごとにまとめた表です。
| 組み合わせ | 同じ回の申請 |
|---|---|
| 事業承継促進枠 + 専門家活用枠またはPMI推進枠 | できない |
| 専門家活用枠 買い手支援類型 + PMI専門家活用類型 | できる(同時申請) |
| 専門家活用枠 買い手支援類型 + 事業統合投資類型 | できない |
| 100億企業特例 + 通常の買い手支援類型 | できない |
| 売り手支援類型 + 小規模売り手支援類型 | できない |
| 廃業・再チャレンジ枠 + ほかの3枠 | できる(併用) |
出典:各枠の公募要領「4. 支援類型について」
事業承継・M&A補助金のポイント
ここからは、公募要領の審査項目と注意書きを読み込んだうえでの、専門家としての整理です。
向いている会社は、承継や買収の相手と時期がすでに決まっている会社です。専門家活用枠の審査では、買い手に「経営資源引継ぎの計画が補助事業期間内に適切に取り組まれるものであること」「財務内容が健全であること」が求められます12。相手探しから始める段階だと、補助事業期間(約14か月)の中で成立する計画を書きにくくなります。
採択されるために効くのは、加点項目の取りこぼしを無くすことです。事業承継促進枠には13の加点項目があり、経営力向上計画や経営革新計画の認定、事業継続力強化計画の認定、健康経営優良法人、従業員への2%以上の賃上げ表明などが並びます13。事業継続力強化計画は申請から認定まで時間がかかるので、すでに認定を持っている計画がないかを最初に確かめます。
よくある失敗は、交付決定の前に仲介会社と契約したり、設備を発注したりすることです。補助事業期間は2027年1月下旬からの予定で、それより前の契約・発注は補助の対象になりません。仲介会社が「M&A支援機関登録制度」に登録されていない場合も、手数料は対象外です。
申請の流れと締切までの準備
事業承継・M&A補助金の申請は、Jグランツ(国の補助金の電子申請システム)だけで受け付けます。締切の11月6日から逆算した準備の順番は次のとおりです。
- GビズIDプライムを取る:公募要領は発行に1〜2週間、混雑時は3週間程度かかるとしています。未取得なら今週中に申し込みます。取り方はGビズIDの記事にまとめています。
- 枠と類型を決める:上の「同じ回に申請できる枠」の表で組み合わせを確かめます。
- 見積を2者以上から取る:相見積が無い経費は対象外です。
- 賃上げを表明する:上限1,000万円や賃上げの加点を狙うなら、申請前に従業員と役員へ表明し、誓約書・表明書を用意します。
- Jグランツで申請する:添付ファイルにはパスワードを付けません。締切直前はアクセスが集中するため、11月4日ごろまでに送信を終えるのが安全です。
採択された後は、交付申請をして交付決定を受けてから、契約・発注・支払いをします。補助金は事業が終わって実績報告をした後に、かかった費用の一部が支払われる精算払いです。
よくある質問
個人事業主でも事業承継・M&A補助金は使える?
使えます。事業承継促進枠の「類型2」は、個人事業主が事業を譲り渡す承継が対象で、前の事業主と共同で申請します。小規模売り手支援類型や廃業・再チャレンジ枠も個人事業主が対象に含まれます。
もう仲介会社と契約してしまった。補助の対象になる?
原則として対象になりません。補助の対象は、交付決定日以降に契約・発注し、補助事業期間内に支払った経費です。これから結ぶ契約や追加の業務があれば、交付決定後に契約する形にできないか仲介会社と相談します。
どの仲介会社に頼んでも手数料は補助される?
補助されません。仲介手数料とFA費用は、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録された業者に払うものだけが対象です。契約前に登録の有無を確かめます。
M&Aがまとまらなかったら、補助金はもらえない?
一部はもらえます。専門家活用枠の買い手支援類型・売り手支援類型では、補助事業期間内にM&Aが成立しなかった場合、上限が300万円に下がり、原則としてDD費用が対象になります。小規模売り手支援類型では上限50万円になります。
専門家活用枠とPMI推進枠は一緒に申請できる?
買い手支援類型とPMI専門家活用類型の組み合わせなら、同じ回に同時に申請できます。買い手支援類型と事業統合投資類型の組み合わせは、同じ回にはできません。
GビズIDが締切に間に合わなかったら?
16次公募には申請できません。Jグランツでの申請にGビズIDプライムが必要なためです。次の公募に向けて、IDだけは先に取っておきます。
まとめ
16次公募は11月6日(金)17:00が締切で、残りは約3週間半です。GビズIDプライムが無い会社は、今日のうちに申し込むと間に合う可能性が残ります。どの枠で申請するか迷ったら、承継やM&Aの相手と時期を決めたうえで専門家に相談してください。
これまでの公募
この記事は事業承継・M&A補助金の最新の公募に合わせて更新します。過去の回はここに履歴として残します。
- 16次公募:受付 2026年10月2日(金)〜11月6日(金)17:00(受付中)
参考資料
- 事業承継・M&A補助金事務局 公式サイト
- 16次公募 事業承継促進枠 公募要領(Ver.1.0、2026年9月)
- 16次公募 専門家活用枠 買い手支援類型・売り手支援類型 公募要領(Ver.1.0、2026年9月)
- 16次公募 専門家活用枠 100億企業特例 公募要領(Ver.1.0、2026年9月)
- 16次公募 専門家活用枠 小規模売り手支援類型 公募要領(Ver.1.0、2026年9月)
- 16次公募 PMI推進枠 PMI専門家活用類型 公募要領(Ver.1.0、2026年9月)
- 16次公募 PMI推進枠 事業統合投資類型 公募要領(Ver.1.0、2026年9月)
- 16次公募 廃業・再チャレンジ枠 公募要領(Ver.1.0、2026年9月)
確認日:2026年10月13日
中小企業診断士 神谷 恒一が内容を確認しました(2026年10月13日)。
出典(13件)
- 事業承継促進枠 公募要領 p.11『5. 補助対象者』
- 事業承継促進枠 公募要領 p.12『6.1. 補助対象となる事業承継の要件』
- 事業承継促進枠 公募要領 p.17『9. 補助対象経費』、p.25『12.3. 申請までの流れ』
- 事業承継促進枠 公募要領 p.19『10. 補助上限額、補助率等』
- 専門家活用枠 公募要領 p.21『10. 補助上限額、補助率等』
- 専門家活用枠 公募要領 p.18『9. 補助対象経費』
- 100億企業特例 公募要領 p.13『6.1. 補助対象事業の要件』、p.21『10. 補助上限額、補助率等』
- 小規模売り手支援類型 公募要領 p.6『4. 支援類型について』、p.20『10. 補助上限額、補助率等』
- PMI専門家活用類型 公募要領 p.19『10. 補助上限額、補助率等』
- 事業統合投資類型 公募要領 p.6『4. 支援類型について』、p.11『6.2.』、p.14『9. 補助対象経費』、p.15『10. 補助上限額、補助率等』
- 廃業・再チャレンジ枠 公募要領 p.15『9. 補助対象経費』、p.16『10. 補助上限額、補助率等』
- 専門家活用枠 公募要領 p.38『15.1. 審査について』
- 事業承継促進枠 公募要領 p.36『15.2. 加点事由について』
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