温泉街の豆腐店がロゴと包装を整え、安いイメージから抜け出す
とうふ処 はせがわ
兵庫県の豆腐店(従業員3名)国が公開している採択事例です
この事例のポイント
- 売上の約85%を温泉旅館への卸が占め、コロナ禍で大きく落ち込んだ。
- 取引のある金融機関の担当者から商工会の指導員を紹介され、初めて事業計画を作った。
- ロゴを軸に包装・のれん・看板をそろえ、豆腐の安いイメージを変えて小売の単価を上げた。
- しおりやショップカードで、紹介や旅館からの案内による新しい客を呼び込んだ。
事業の経緯
1950年に祖父が温泉街で開いた豆腐店で、今もこの地で唯一の豆腐店として旅館への卸と店頭販売を続けている。1998年頃から売上が減り始め、2代目はおからを使った菓子や豆乳のドーナツを売り出して看板商品に育てた。
継ぐつもりのなかった後継者は、両親の高齢化を見て2017年に会社を辞めて店を手伝い始めた。2020年からのコロナ禍で旅館向けの売上が大きく落ち込み、金融機関の紹介で商工会の指導員に相談した。持続化補助金で店のブランドを整えて小売の単価を上げ、その後も市の補助金を使って店づくりを進めている。
事業の内容
- 課題:売上の減少と安いイメージ1950年に開業した温泉街で唯一の豆腐店で、旅館への卸と店頭での販売を続けてきた。1998年頃からコンビニの出店や常連客の高齢化、若い人の豆腐離れで売上が減っていた。早朝から手間をかけて作っても単価は低く、商品はビニール袋で売られていて若い人には手に取ってもらいにくかった。
- 課題:卸への依存2020年からのコロナ禍で旅館の休館が相次ぎ、売上の約85%を占めていた旅館向けの販売が大きく落ちた。卸に頼りすぎる売上の形を改め、小売で付加価値をつけて単価を上げたかったが、相談できる相手がいなかった。
- 取り組み:商工会への相談取引のある金融機関の担当者から地元の商工会の指導員を紹介された。指導員は課題を一から細かく聞き取り、販売単価を上げながら販路を広げる手段として持続化補助金を提案した。後継者は初めて事業計画を作り、ブランド力の向上と小売部門の強化を目標に据えた。
- 取り組み:店のブランドづくり補助金で、店全体の一体感と高級感を出して単価を上げるため、豆をかたどったロゴを作り、商品の包装やのれんにも使った。来店前に商品を理解してもらうため、看板には商品説明に加えて製造工程の写真を載せた。持ち帰りの商品にはしおりを入れて購入客からの紹介を促し、旅館にはショップカードを置いて宿泊客に案内してもらいやすくした。
補助金を使った経費
記事の内容から、小規模事業者持続化補助金の経費区分にあてはめた区分です。
| 委託・外注費 | ロゴ制作 |
|---|---|
| 新商品開発費 | パッケージ制作 |
| 広報費 | のれん |
| 広報費 | 看板 |
| 広報費 | しおり |
| 広報費 | ショップカード |
事業の効果
- 2024年12月期の売上高が、補助金を使う前の2022年12月期に比べて約2割増えた。
- 販売単価が上がり、来店客も増えた。
- しおりをきっかけにした紹介で、新しい客を得られるようになった。
- 採択後も、市の補助金でショーケースを入れたり店舗を改修したりと、事業計画に沿って次の手を打っている。
事業者の声
豆腐屋の息子ですが、実は豆腐があまり好きではありませんでした。
会社員時代は事業を継ぐ意思は全く無かったので、ほんの軽い気持ちで店を手伝い始めた。
祖父が創業し、父が一生懸命築いてきたこの店と伝統の味を無くすのは、勿体無い。
早朝から丹精込めて作っているにもかかわらず、豆腐の単価の低さには愕然とした。豆腐の安いイメージを何とか払拭したかった。せっかくの商品もビニール袋に入れて販売されており、これでは若者に手に取ってもらうのは難しいと感じた。
当時は、どん底まで落ちましたね。しかし、祖父から代々受け継いだ製法を維持し、この味を守りたいとの想いにブレはなかった。卸売に依存し過ぎる売上構成を改め、付加価値をつけることで小売部門での単価を上げたかった。
この課題を解決したいと思いましたが、周りに相談できる相手が一人もいませんでした。
自分には絶対に無理。
店を手伝い始めてから二位経営指導員に出会うまでは、日々の業務をこなすことで精一杯だった。しかし、持続化補助金の申請を行う過程で初めて事業計画を作成したことで、先のことを計画しながら考えることが楽しくなった。
自分が60歳になる2050年は、「とうふ処はせがわ」が節目を迎える創業100年目。その時に向けて、城崎温泉全体、さらに出石、香住、村岡などの周辺地域とのコラボレーションを推進し、当店だけではなく、豊岡市全体の価値を上げることを目指したい。自分の力はほんのわずかですが、当店のお客様、二位経営指導員をはじめとした豊岡市商工会、取材に来てくれた記者、ロゴデザイン等を生み出してくれたデザイナーなど、自分の周りの方々の支えがあったからこそ、今の自分があることに感謝したい。
兵庫県の豆腐店(従業員3名)
出典
- 中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事(当社が書き直し・要約。事業者の声は記事中の発言の引用です)
- 経費区分は、小規模事業者持続化補助金の公募要領の区分に当社があてはめたものです
- 採択率:中小企業庁「採択結果」(第19回)
販路開拓の手段
- ロゴと包装:豆をかたどったロゴを商品の包装やのれんに使い、高級感を出して単価を上げた。
- 看板:商品説明と製造工程の写真を載せ、来店前に商品を知ってもらえるようにした。
- しおり:持ち帰りの商品に入れ、購入客からの紹介で新しい客を呼び込んだ。
- ショップカード:温泉街の旅館に置き、宿泊客に店を案内してもらいやすくした。
相談先と計画づくり
| 商工会 | 豊岡市商工会 |
|---|
卸に頼る売上の形と、豆腐の安いイメージという2つの課題を整理し、ブランド力の向上と小売部門の強化を目標にした。単価を上げながら販路を広げるために、ロゴを軸にした店づくりと、紹介や旅館からの案内で客を呼ぶ手段を計画に落とし込んだ。
今後の展望
後継者が60歳になる2050年は創業100年の節目にあたる。それに向けて温泉街全体や周辺の地域と組み、店だけでなく市全体の価値を上げることをめざす。
この事例の取り組み
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小規模事業者持続化補助金について
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