酒販店が酒蔵を引き継ぎ、オーダーメイドの日本酒をつくる
株式会社小林酒店
栃木県の酒販店(従業員1名・グループ3名)国が公開している採択事例です
この事例のポイント
- 新しい酒類製造免許が出ないなか、後継者のいない酒蔵をM&Aで引き継いで酒造りに参入した。
- 醸造の入口(精米)と出口(香りの管理)にこだわった設備をものづくり補助金で入れた。
- 少量の持ち込み米でもつくれるオーダーメイド酒で、国内需要の減る日本酒市場で違いを出す。
- 商工会議所が計画づくりを、信用金庫が承継案件の紹介と資金面を支えた。
事業の経緯
1955年に酒販店として創業し、現代表は2001年に家業に入った。2019年に地元の商工会議所の地域プロジェクトで純米吟醸酒の共同開発に関わり、自分の蔵で酒をつくりたいという思いを強めた。ただ、酒類の新しい製造免許は出ておらず、参入は難しかった。
そこへ地元の信用金庫から、後継者がおらず譲り先を探している県内の酒蔵の話が持ち込まれた。2021年に事業承継・引継ぎ補助金を活用してM&Aの体制を整え、酒蔵を引き継いで廃校の体育館に醸造所を移した。その後、ものづくり補助金で精米機と調湿装置を入れ、オーダーメイド酒の事業を始めた。
事業の内容
- 課題:酒造りへの参入酒販店として酒蔵を持ちたいと考えていたが、酒類の新規の製造免許は出ておらず、自社で酒をつくるのは難しかった。日本酒の国内出荷量も減り続けており、ほかとの違いを出す必要があった。
- 取り組み:酒蔵の引き継ぎ地元の信用金庫から、後継者がおらず譲り先を探している県内の酒蔵の話を紹介された。2021年に事業承継・引継ぎ補助金を活用してM&Aによる新規の酒造事業の体制を整え、酒類製造免許とともに酒蔵を引き継いだ。市の廃校活用の取り組みを使い、中山間地の旧小学校の体育館に醸造所を構えた。
- 取り組み:扁平精米機の導入少量の酒米でも発注者が持ち込めるフルオーダーメイドの酒造りをめざし、ものづくり補助金で独自に改良した扁平精米機を導入した。
- 取り組み:湿式調湿装置の導入上槽室にカビ臭を取り除く小型の湿式調湿装置を置き、酒質の劣化を防いで風味を高めるようにした。
- 取り組み:麹室の整備引き継いだ酒蔵の古い扉を再利用し、地元産の認証材の杉で麹室を整えた。
補助金を使った経費
記事の内容から、ものづくり補助金の経費区分にあてはめた区分です。
| 機械装置・システム構築費 | 扁平精米機 |
|---|---|
| 機械装置・システム構築費 | 小型湿式調湿装置 |
事業の効果
- 市内で1987年に最後の酒蔵が廃業して以来、37年ぶりに酒蔵が復活した。
- 扁平精米機は期待どおりに稼働している。湿式調湿装置は試験醸造と分析を進めている段階で、収益への貢献はこれからである。
- 大手鉄道会社からオーダーメイド酒の依頼を受け、リピートも見込まれている。青果店や居酒屋からも引き合いがある。
- 商工会議所と連携してフランスの展示会に出展し、商談につながった。
事業者の声
いつかは酒造りをしたい。
自社で蔵を持ち、独自の酒造りをしたい。
自分の蔵を持ち、酒造りにも携わりたい。
ものづくり補助金の申請計画では、事業者として“やりたいこと”は描けるものの、今後の展望を描くのに苦労が多い。特に、金融機関も収益計画に注目しているため、利害関係者の協力を得るためにもこの部分をしっかり描く必要がある。
当社のような小規模事業者が大きな設備投資をすることになり、金融機関には資金面で下支えしていただいた。商工会議所には戦略的な部分や計画づくりの面でお手伝い頂いた。様々な支援機関の協力があったからこそ、当社は現在の状況にたどり着けた。
外国から注文が出てくるようになれば、日本国内に向けても好影響になるだろう。
オーダーメイドへの対応と池錦の復活に注力していて、自社の酒蔵で醸造すべきところが後手に回ってしまっている(苦笑)。
これまでと違い、責任というか背負うものが大きくなってきたと実感している。
栃木県の酒販店(従業員1名・グループ3名)
出典
- 中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事(当社が書き直し・要約。事業者の声は記事中の発言の引用です)
- 経費区分は、ものづくり補助金の公募要領の区分に当社があてはめたものです
- 採択率:中小企業庁「採択結果」(23次)
相談先と計画づくり
| 商工会議所 | 鹿沼商工会議所 |
|---|---|
| 信用金庫 | 鹿沼相互信用金庫 |
| 県などの公的支援機関 | 栃木県事業承継・引継ぎ支援センター |
| 県などの公的支援機関 | 栃木県のものづくり補助金地域事務局 |
オーダーメイド酒の事業を、醸造の入口の精米と出口の香りの管理という2つの技術課題に分けて計画にまとめた。金融機関も注目する収益計画と今後の展望を描くことに力を入れ、まずは本業の酒造りに集中する方針を固めた。
今後の展望
オーダーメイド酒の受注を広げ、海外からの注文も視野に入れる。引き継いだ酒蔵の銘柄を県北部で限定販売し、自社の銘柄の醸造にも力を入れる。長期的には自社の田んぼで米を育て、醸造から瓶詰めまで一貫して行うドメーヌ化も考えている。
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ものづくり補助金について
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