事業承継・M&A補助金令和3年度補正予算 第1次公募・経営革新枠卸売・小売青森県

父のケーキ店を継ぎ、改装とイートインで若い客と観光客を呼び込む

株式会社ブランカッセ

青森県のケーキ店(従業員4名)国が公開している採択事例です

この事例のポイント

  • 「同じ店を続けるのは駄目だ」という先代の言葉を受け、店を変える前提で承継を考えた。
  • 承継の前に事業計画をつくり、資金の規模と調達の方法をはっきりさせた。
  • 先代の時代の客単価や売れ筋を分析し、評判はよいが採算に合っていない価格を見直した。
  • 迷ったときは自分で書いた計画に立ち戻り、方針がぶれないようにしている。

事業の経緯

先代は県内の洋菓子店を展開する会社を30代半ばで辞めて独立し、1993年に個人事業主としてケーキ店を開いた。似顔絵を描いたホールケーキを看板に29年間営業を続けた。現代表は20歳ごろにケーキ職人を志し、専門学校を出たあと一流のケーキ店やブライダル事業会社で8年間修行した。

修行中に先代から「同じ店をやるのは駄目だ」と言われ、店を変えることを意識するようになった。2021年後半に先代の体調不良が続いて承継の話し合いを始め、2022年1月に市の支援施設に相談して事業計画をつくった。計画をもとに事業承継・引継ぎ補助金に申請し、店の改装と設備の増強を行った。

事業の内容

  1. 課題:古い店と採算に合わない価格先代が1993年に創業し、似顔絵を描いたホールケーキを看板に29年間営業してきた。店舗は古く、若い世代の客を増やすには改装が必要で、客が増えたときに対応できる設備も足りなかった。似顔絵ケーキは質が高く評判だったが、価格が商売として採算に合っていなかった。休みなく営業していて、家族の暮らしとの両立も難しかった。
  2. 課題:観光客の取りこぼし市が配る観光ガイドマップを見て来店する観光客がいたが、店で食べる場所がなく、需要を取りこぼしていた。理想の店をつくるには中途半端ではない初期投資が必要だったが、どれだけの資金がいり、どう調達すればよいかが分からなかった。
  3. 取り組み:承継前の計画づくり2021年後半に先代の体調不良が続いて親子で承継の話し合いを始め、2022年1月に市の創業・ビジネス支援施設に相談した。担当者は県の制度融資の利用も見すえて計画づくりを支え、市場調査や環境分析、先代の時代の客単価・販売商品の種類・販売個数の分析も行った。計画づくりを通じて事業の姿がはっきりし、それを先代に話したことで承継の了承を得た。
  4. 取り組み:補助金の申請インターネットで事業承継・引継ぎ補助金を見つけ、策定した事業計画をもとに申請書と計画書を自分で書いた。支援施設の担当者は、第三者が読んで分かりやすくなるよう書き方を助言した。
  5. 取り組み:店舗の改装と設備の増強若い世代の客を呼ぶために店の内装を改装し、客の増加に対応できるよう冷蔵ショーケースを入れ、プレハブ冷蔵庫・冷凍庫の屋根工事も行った。観光客の需要を取り込むためにイートインのスペースも設けた。

補助金を使った経費

記事の内容から、事業承継・M&A補助金の経費区分にあてはめた区分です。

設備費店舗の内装工事
設備費冷蔵ショーケース
設備費プレハブ冷蔵庫及び冷凍庫の屋根工事

事業の効果

  • 補助金の申請時につくった5年間の売上計画について、承継から2年で最終年度の目標を達成した。
  • これまでの客に加え、若い世代の新しい客が増えた。
  • 店のSNSの反響がよく、SNS経由の注文が着実に増えている。
  • 地元テレビ番組での紹介をきっかけに、近隣のショッピングセンターでの催事出店が好調。
  • 事業の拡大と生産性の向上で、働き方も改善した。

事業者の声

当時、私は調理の専門学校に通っていましたが、自分が職人として生きていくことに、まだ自信を持てていませんでした。父は、家のローンもある中で独立開業に踏み切っており、自信を持って自分の道を歩んでいるように見えていました。

とにかく、ケーキ作りが大好きで、夢中で取り組んでいるうちに、少しずつ自分の腕に自信が持てるようになりました。

父が得意としていた似顔絵イラストケーキは、客観的に見てもクオリティが高いと感じていました。他方、お客様が声を揃えて“安い“と仰っていただいていたのは良いのですが、商売として採算に見合った価格設定ができていなかったと見ていました。

弘前市では、“アップルパイガイドマップ“という冊子を配布する取り組みをしています。ガイドマップを見て、来店される観光客がいます。せっかく観光客の方にうちのお店に来ていただいても、観光客には帰って食べる場所がなく、需要を取りこぼしているということに気づきました。

父から言われていた”同じお店をやるのは駄目だ”という言葉の意味が実感できていた時期でした。

中途半端な店舗増強では、必要なお客様へのサービスができないことがわかっていました。自分の構想を実現するための設備投資や店舗改装をする場合、どのくらいの資金が必要で、その資金をどのように調達して良いのかが皆目見当もついていない状況でした。

中途半端ではない理想のお店づくりのための初期投資が必要でした。

お店をこう変えていきたい、ネットを通じた販売にも挑戦してみたい。

自分のやりたいことを事業計画という形で文字に起こしはじめると、頭の中だけで考えていたやりたいことのイメージが次々と思い出され、追記していく流れになりました。現在は、その計画に沿って事業を行っていますが、迷ったときには計画に自分で書いたことを思い出し、当初の計画からぶれない活動を実践することに役立っています。

想定以上の反響があり、おかげ様で顧客数も売上も増加しました。現在は、対応できるキャパシティの限界が近づいており、今後は人員体制の見直しやさらなる生産性の向上が課題になります。

青森県のケーキ店(従業員4名)
出典

相談先と計画づくり

県などの公的支援機関ひろさきビジネス支援センター

市場調査と環境分析に加え、先代の時代の客単価・販売商品の種類・販売個数を分析し、売れ筋の似顔絵ケーキの客単価が低いことを確かめた。そのうえで店の変え方、必要な投資の規模、制度融資を含めた資金調達の流れを計画にまとめた。

今後の展望

対応できる量の限界が近づいており、人員体制の見直しと生産性のさらなる向上が次の課題。計画に入れていたネット販売への挑戦も続ける。

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