畳の裁断と框縫いを協働ロボットに任せ、洋室向けの畳に挑む

株式会社久保商店

成果1日2.8時間かかっていた手作業が0.7時間になった。

この事例のポイント

  • 創業113年の老舗で、熟練職人の技とブランド力に加え、京都で修行した畳製作1級技能士の4代目が加わっている。
  • 手作業が多く1日2.8時間の負担があり、30kg以上の畳の運搬や裁断・縫着で職人の体に負担がかかっていた。
  • 組合の勉強会で中央会の指導員から補助金を紹介され、同業者の活用例もあって申請を決めた。
  • 空いた時間を営業や新商品開発に回し、洋室向けの畳やミニ畳など新しい市場をねらう。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社久保商店
所在地山口県
業種畳の製造
従業員数2人
資本金500万円
相談先中央会

事業の経緯

創業113年の老舗の畳店で、熟練職人の技術力とブランド力を持つ。京都で修行した畳製作1級技能士の4代目が加わり、伝統を受け継いでいる。代表は畳工業組合の理事長を務めている。

手作業の多さと高齢化で生産量が頭打ちになり、和室の減少で従来の需要も縮んでいた。組合の勉強会で中央会の指導員から省力化投資補助金を紹介され、同業者がすでに活用していたこともあって、協働ロボットの導入を決めた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 手作業中心の製造と職人の負担手作業の工程が多く、1日2.8時間の手作業負担があった。畳の移動や裁断・縫着の作業で職人の身体の負担が大きく、高齢化で生産能力に限界が出て生産量が頭打ちになっていた。割付は手計算のためヒューマンエラーの危険もあり、職人が機械のそばに付きっきりになって営業や新商品開発の時間が取れなかった。
  • 縮む和室需要と新しいニーズ和室の減少で従来の畳需要が縮む一方、洋室向けやインテリア畳、外国人向けといった新しい畳ニーズに応える余力が足りなかった。人手不足で受注拡大に向けた体制もつくれなかった。

やったこと

  1. 協働ロボットと割付ソフトの導入框縫い(畳表を畳床に縫い付ける作業)を全自動にするため、両框裁断付・片框縫機の協働ロボットを導入した。ミリ単位の精度で多様な畳のサイズ・厚みに対応でき、既存設備とシステム統合したオーダーメイド仕様にした。あわせて畳割付計算ソフトを入れ、割付の自動計算と図面の自動作成を行い、図面は職人の指示書として使っている。組合の勉強会で中央会の指導員から補助金の紹介を受け、同業者がすでに活用していたことも後押しになった。

事業の効果

  • 自動裁断・自動框縫いで、手作業時間が1日2.8時間から0.7時間になった。
  • 30kg以上ある畳の手作業での運搬が減り、身体の負担が軽くなった。
  • ミリ単位の精度が安定し、品質が上がった。
  • 生産スピードが上がり、納期短縮と受注増に対応できるようになった。
  • 省力化で生まれた時間を営業・提案活動に向け、新規顧客の開拓や地域と連携したイベント開催に取り組んでいる。
  • 洋室向け畳やミニ畳など、新しい市場向けの商品開発ができるようになった。
  • 高齢化・人手不足を解消し、持続可能な製造体制をつくった。

審査の観点ごとの評価

中小企業省力化投資補助金の公募要領にある審査の観点10つで見ています

観点の平均2.6 / 5
直近の回(第6回)の採択率63.9%応募1,841件・採択1,176件

出典:公募要領 p.30(審査項目)

技術面55%
  • 省力化の効果4

    手作業時間が1日2.8時間から0.7時間になったと数字で示されているが、省力化指数そのものや算出根拠は書かれていない。

  • 投資の回収1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 付加価値の伸び1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 自社に合わせた設備5

    既存設備とシステム統合したオーダーメイド仕様と明記され、畳の多様なサイズ・厚みに対応する構成が示されている。

計画面50%
  • 体制と資金2

    従業員2名や4代目が加わった体制はうかがえるが、資金調達や財務状況、サイバーセキュリティ対策は書かれていない。

  • 優位性とスケジュール3

    導入後の効果と空いた時間の使い道は書かれているが、遂行スケジュールや段階的な進め方は具体的に読み取れない。

  • 賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 会社全体への効果4

    省力化で生まれた時間を営業・提案や新商品開発に振り向け、新規顧客開拓につなげている点が具体的に書かれている。

政策面50%
  • 地域経済への波及3

    山口県の畳製造業で地域と連携したイベント開催に取り組むとあるが、地域経済への波及効果の規模は書かれていない。

  • イノベーション2

    協働ロボットと割付計算ソフトの導入はうかがえるが、先端技術によるイノベーションを牽引する広がりまでは読み取れない。

補助金を使った経費

冊子の内容から、省力化投資補助金の経費区分にあてはめた区分です。

  • 機械装置・システム構築費協働ロボット両框裁断付・片框縫機畳割付計算ソフトウェア

事業者の声

今回の省力化投資は、伝統技術と最新技術を融合し、次の100年につながる体制をつくるために決断しました。

ベテラン職人の技と若い技術者の力、そしてロボット技術を組み合わせることで、これまで以上に質の高い畳をつくれるようになりました。

これからも伝統を守りながら、新しい価値を創り出し、地域とともに歩み続けたいと思います。

山口県の畳製造業(従業員2名)
出典

相談先と計画づくり

県などの公的支援機関中央会

框縫いの全自動化と割付の自動計算で手作業を減らし、生まれた時間を営業・提案活動と新商品開発に向ける計画にした。既存設備とのシステム統合を前提に、多様なサイズ・厚みに対応するオーダーメイド仕様を選んだ。

今後の展望

省力化で生まれた時間を営業・提案活動に向け、新規顧客の開拓や地域と連携したイベント開催を進める。洋室向け畳やミニ畳など新しい市場向けの商品を開発し、伝統を守りながら次の100年につながる体制をめざす。

この事例と同じ山口県では、中小企業省力化投資補助金で75社が採択されています(第1回〜第6回)。山口県の採択事例と採択数を見る

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