大きな鋼板の曲げを2人でこなし、新しい市場に挑む
マルシン機工株式会社
北海道の食品加工機械メーカー(従業員18名)国が公開している採択事例です
この事例のポイント
- 主な顧客である道内の水産加工場が30年で約35%減り、新しい市場を探していた。
- 大判の鋼板を曲げるには4名で支える必要があり、受注を見送ることもあった。
- 工作機械メーカーの展示会で知った機械を、付き合いのある専門家の提案で省力化投資補助金を使って導入した。
- 人手を減らしただけでなく、農業や大学・研究機関向けの大型設備に挑めるようになった。
事業の経緯
1979年に設立し、食品加工機械や搬送設備をつくってきた。製造品目の約8割が水産加工業界向けで、打ち合わせから設計、製造、保守まで一貫して対応できることを強みにしている。しかし道内の水産加工場は過去30年で約35%減り、新しい市場への挑戦が欠かせなくなっていた。
農業分野や大学・研究機関からの依頼はあったが、大判の鋼板を曲げるには4名が必要で、人手不足のなか受注を見送ることもあった。工作機械メーカーの展示会で大型の折曲げ機を知り、付き合いのある専門家の提案で省力化投資補助金を申請した。導入後は2名で大判の鋼板を曲げられるようになり、2026年4月には溶接シミュレーターも稼働させた。
事業の内容
- 課題:主要市場の縮小食品加工機械や搬送設備をつくり、打ち合わせから設計、製造、納品後の保守まで一貫して対応できるのが強み。製造品目の約8割が水産加工業界向けで、ホタテ関連の機器が主力だが、道内の水産加工場は過去30年で約35%減った。
- 課題:大きな鋼板が曲げられない新しい市場と見ている農業分野や大学・研究機関の設備では、5×10鋼板(1,524mm×3,048mm)を曲げる必要がある場合が多い。以前の機械で高精度かつ安全に曲げられるのは3×6鋼板程度までで、大きな鋼板は自重でしなるため最低4名で支える必要があった。約70kgある鋼板を支えるのは重労働で、4名を取られると他の作業に響き、受注を見送ることもあった。採用しても応募は少なく、高年齢の従業員も多かった。
- 取り組み:展示会と専門家への相談工作機械メーカーの展示会で、大判の鋼板を2名で曲げられる自動追従装置付きの折曲げ機を紹介された。これを入れれば大きな製品をつくれて新しい市場に入れると考え、付き合いのある専門家に相談したところ、省力化投資補助金(一般型)の活用を提案された。申請は初めてだったが、専門家とメーカーの支援を受けて仕上げた。
- 取り組み:大型の折曲げ機の導入大判の鋼板を少人数で高精度に曲げるため、鋼材をエアーで吸着して上げ下げする機能を持つ自動追従装置付きの大型鋼板折曲げ機(ハイブリッドドライブベンダー)を導入した。操作が簡単になり、プログラミングや金型交換にかかる時間も短くなった。
補助金を使った経費
記事の内容から、省力化投資補助金の経費区分にあてはめた区分です。
| 機械装置・システム構築費 | ハイブリッドドライブベンダー |
|---|
事業の効果
- 大きな鋼板の曲げ作業が4名から2名でできるようになり、重労働が軽くなった。
- プログラミングと金型交換の時間が短くなり、加工時間が約7割減って残業も減った。
- 外注を迷っていた製作物を社内で仕上げられるようになり、外注費が減った。
- 生まれた時間で、組立や溶接に人を回せるようになった。
- 5×10鋼板に対応でき、農業分野や大学・研究機関の設備の受注に挑めるようになった。
事業者の声
最大の強みは、発注者との打合せ、機器の設計から製造、納品後のメンテナンスまで、全て当社及び協力会社で一貫して対応できる体制を構築しており、高いエンジニアリング力と高精度なものづくり技術の両方をもっていること。
農業分野と大学・研究機関の設備は新市場と捉えており、これまでも受注依頼はありました。しかし、この両分野では大きな5×10鋼板(1,524mm×3,048mm)を折り曲げる必要があるケースが多く、導入前の機械では、高精度かつ安全に折り曲げることが出来るのは3×6鋼板(914mm×1,829mm)程度まででした。無理に大きな鋼板を折り曲げようとすると、大きな鋼板は自重でしなるため、支える従業員が最低でも4名必要でした。この作業に4名取られてしまうと、他の作業に影響することもあり、受注を見送り他社を紹介することもありました。
当社に導入すれば、これまで自社では製作出来なかった大きさの製品が可能となり、新たな市場にも参入出来るのでは。
過去にIT導入補助金(現:デジタル化・AI導入補助金)を活用したことはあったものの、省力化投資補助金の申請は初めてでした。大変ではあったが、中小企業診断士や株式会社アマダの支援のお蔭で乗り切れました。申請書を作成する過程で、当社の今後の推移を、数字を用いて具体的に考えたことは、何よりも得難い経験でした。
大きな鋼板を曲げる作業は、従来は4名を必要としていたが、現在は2名で対応できるようになりました。これにより、外注でお願いするか躊躇していた製作物についても、現在の人員体制で完結できるようになりました。大きな鋼板は約70kgあり、4名で支えても担当する従業員にはかなりの重労働でしたが、導入した機械には、エアーで鋼材を吸着し上げ下げする機能も装備されており、2名での作業が可能になりました。
従来の機械と比べて操作が簡易化されたことで、。
また、加工時間短縮に伴い、新たに生み出された時間で組立や溶接作業などを行う人員も確保でき、作業工程全体で効率化を図ることができました。
北海道の食品加工機械メーカー(従業員18名)
出典
- 中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事(当社が書き直し・要約。事業者の声は記事中の発言の引用です)
- 経費区分は、省力化投資補助金の公募要領の区分に当社があてはめたものです
- 採択率:中小企業庁「採択結果」(第6回)
相談先と計画づくり
| 民間の専門家 | |
|---|---|
| 民間の専門家 | 株式会社アマダ |
大判の鋼板を少人数で曲げる機械を入れ、従業員の負担を軽くすることと、新しい市場に挑むことを両輪として計画にまとめた。申請書をつくる過程で、自社の今後の推移を数字で具体的に考えた。
今後の展望
将来の溶接人材の不足を見据えて溶接シミュレーターを導入し、2026年4月から動かしている。農業分野や大学・研究機関の設備を新しい市場として挑み続けながら、水産加工業界向けの機器でも知見と提案力を生かしていく。
製造業のほかの採択事例
中小企業省力化投資補助金について
直近の第6回の採択率は63.9%(応募1,841件・採択1,176件)。いま申請できる回の締切・補助額・対象経費は、最新の公募の解説でまとめています。
最新の公募を見る