研磨機とネットショップで、木のおもちゃの製造と販路を広げる
株式会社こまむぐ
埼玉県の木製玩具メーカー(従業員7名)国が公開している採択事例です
この事例のポイント
- 1個磨くのに約2時間かかる手作業を、研磨機の導入で効率化した。
- 地元の商工会議所の指導員の勧めで持続化補助金を知り、これまでに5回採択された。
- コロナ禍で小売店の注文が止まったとき、製造業のテレワークを題材にしたプレスリリースでネットショップの注文を一気に増やした。
事業の経緯
実家は地元で続く木型の町工場で、現代表も木型づくりに携わっていたが、鋳物業が減るなかで続けるのは難しくなった。2003年に自ら事業を始め、母が始めた保育事業とつなげて木のおもちゃをつくるようになった。創業後2〜3年は全国で飛び込み営業を続け、テレビ出演をきっかけに講演やワークショップの依頼も増えた。
手工具中心で機械化が遅れ、製造数が頭打ちになっていたため、2014年に商工会議所の指導員の勧めで持続化補助金を使い研磨機を入れた。2016年に法人化し、持続化補助金でネットショップも立ち上げた。コロナ禍で小売店の注文が止まると、プレスリリースで直接販売を伸ばし、2023年には事業再構築補助金で集客型の新社屋を建てた。
事業の内容
- 課題:機械化の遅れ実家は地元で続く木型の町工場だったが、鋳物業が減るなかで木型業を続けるのは難しく、2003年に自ら事業を始めた。母が始めた保育事業とつなげ、木のおもちゃをつくるようになった。手工具の多い木型業から始めたため機械化が遅れ、おもちゃを1個磨くのに約2時間かかり、製造数が頭打ちになっていた。
- 取り組み:研磨機の導入2014年ごろ、研磨機の導入を考えていたところ、地元の商工会議所の指導員から持続化補助金を勧められた。やりたいことを自分の言葉で書き、指導員が第三者に伝わるよう整理するやり取りを繰り返して計画書をつくり、研磨工程を効率化するスポンジサンダーを導入した。
- 課題:コロナ禍で小売店の注文が止まる持続化補助金でネットショップを立ち上げたばかりのころにコロナ禍となり、売上の大半を占めていた小売店からの注文がぴたりと止まった。
- 取り組み:プレスリリースで直接販売指導員の提案で広報の専門家と一緒にプレスリリースを出した。卓上の機械や工具を自宅に持ち帰り、部品を宅配便でやり取りして組み立てを分担する、製造業では珍しいテレワークを題材にした。全国紙や全国ニュースで取り上げられ、ネットショップに注文が集まった。
- 取り組み:集客型の工場2023年には、商工会議所の支援で採択された事業再構築補助金を使い、工房・直営ショップ・カフェ・木育スペースを備えた新社屋を建てた。工房はガラス戸越しに来店客から見えるようにした。
補助金を使った経費
記事の内容から、小規模事業者持続化補助金の経費区分にあてはめた区分です。
| 機械装置等費 | スポンジサンダー |
|---|---|
| ウェブサイト関連費 | ネットショップ |
事業の効果
- 研磨機の導入で、1個約2時間かかっていた研磨の工程を効率化した。
- プレスリリースの後、ネットショップの売上が1か月で小売店向けの売上を超えた。
- 落ち着いた今も、ネットショップの売上が全体の約35%で安定している。
- 取り組みが翌年、高校の現代社会の教科書に載った。
- 代表が経営計画や会社の年度計画を自分で組み立てられるようになった。
事業者の声
鋳物屋さんが減少する中で木型業を継続するのは難しく、自分で事業を立ち上げることになりました。ちょうど母が保育事業をスタートさせており、新事業で木工事業と保育事業をうまくつなげられないか、との思いから今の形になりました。
手工具の多い木型業からスタートしたこともあって機械化が遅れていました。おもちゃを1個磨くだけで2時間かかるありさまで、製造数が頭打ちとなっていた。
小林さんには状況をお話ししていたのですが『小規模事業者持続化補助金を申請してはどうですか』と提案をもらったときは、『そんなのがあるの? 本当にお金がもらえるの?』と本当に驚きました。補助金の存在はどこかで聞いていたかもしれませんが、まさか自分が対象になるとは思っていなかった。
小林さんには赤ペン先生になっていただきました(笑)。そこでよく言われたのが『まずはやりたいことを明確にして、次にどう進めるかを決めましょう。補助金は後からついてきます』という言葉。最初は『お金がもらえるなら何か考えよう』という感覚だったのが、それを聞くうちに『これをやりたいけど使える施策はない?』という感覚に変わっていった気がします。
小売店からの注文がピタッと止まったので、これはやばいなと思いました。当時は、スポンジサンダーの後にネットショップ(ECサイト)が小規模事業者持続化補助金の採択を受け、ちょうど立ち上げたばかりでしたが、売上高のほとんどは依然として小売店。最悪の事態も頭をよぎりました。
何をPRするかという話になって私からいくつか案を出しましたが、広報活動の専門家は良い顔をしません。そこで小林さんが『こまむぐさんはテレワークをしていますよね。製造業のテレワークはどうでしょう。珍しい取り組みですし』と提案したところ、その専門家の表情が緩んで『それにしましょう!』と。即決でした。
プレスリリースをきっかけにネットショップへ注文が殺到し、1カ月で小売店への売上高を超えました。その後は落ち着きましたが、現在でもネットショップでの売上高が全体の約35%で安定しています。商工会議所のおかげで販路を拡大して最悪の事態を免れることができ、本当に感謝しています。
経営計画の作成は ” 簡単にできるようになった ” と言うのは語弊がありますが、最初に比べるとだいぶスムーズにできるようになったと思います。会社の年度計画も自分で作成するようになりました。
『集客型製造工場』としてこだわったのは、来店したお客さまから製造現場である工房を見えるようにすること。子供たちがものづくりや会社に興味を持ち、『ものづくりっておもしろいな』『中小企業はおもしろいな』と感じる子が一人でも増えればいいなと思います。
私が子供のころ川口はものづくりがもっと身近でした。実家が町工場だったのもありますが、歩いているだけでものづくりの音や臭いが感じられ、今でも時々思い出されます。それを今の子供たちが感じられる環境が失われつつある中で、自社の事業やものづくりに興味をもってもらう場所を提供することは、川口のものづくりを次世代へ継承することにつながる大切な取組だと思っています。
職員にとっても、自分が作ったものが誰の笑顔につながっているのか、どう使われているのかを見ることはとても大事なことです。得意な人はそこで接客をすればいいし、苦手な人はものづくりをしているところを見てもらって、子供から『すごいね』とキラキラした目で見てもらうだけで、本人のやる気や成長へつながります。
埼玉県の木製玩具メーカー(従業員7名)
出典
- 中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事(当社が書き直し・要約。事業者の声は記事中の発言の引用です)
- 経費区分は、小規模事業者持続化補助金の公募要領の区分に当社があてはめたものです
- 採択率:中小企業庁「採択結果」(第19回)
販路開拓の手段
- 飛び込み営業:創業後2〜3年は車中泊をしながら全国の店を回った。
- テレビ出演・講演・ワークショップ:テレビ番組への出演をきっかけに依頼が続き、全国で発信した。
- ネットショップ:持続化補助金で立ち上げ、小売店に頼らない直接販売の柱にした。
- プレスリリース:製造業のテレワークを題材に発信し、全国紙や全国ニュースに取り上げられた。
- 集客型の工場:工房が見える直営ショップ・カフェ・木育スペースを備えた新社屋で、お客さまを呼び込む。
相談先と計画づくり
| 商工会議所 | 川口商工会議所 |
|---|
まずやりたいことをはっきりさせ、次にどう進めるかを決め、補助金はそれに合わせて使うという順番で考えた。代表が自分の言葉で書いた計画を、指導員が第三者に伝わる形に整理することを繰り返した。
今後の展望
工房が見える新社屋で、子どもたちがものづくりや中小企業に興味を持つきっかけをつくる。地元のものづくりを次の世代につなぐ取り組みと位置づけている。職員が自分の作ったものの使われ方を見ることで、やる気と成長にもつなげたい。
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小規模事業者持続化補助金について
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