ものづくり補助金平成25年度製造業静岡県

世界基準の食品衛生管理で製造された粉末緑茶の輸出拡大

杉本製茶株式会社

この事例のポイント

  • 静岡茶の価格は国内消費の低迷で毎年下落しており、生産農家の収入も減少し続けている。
  • 今回の補助事業では、乾燥茶葉を粉砕機で粉砕した後、粉末茶を人の手に触れることなく充填できる充填機を導入した。
  • 粉砕工程の自社管理が可能となり、加工期間がこれまでの約半分になった。

事業者のプロフィール

事業者名杉本製茶株式会社
所在地静岡県 島田市
業種食料品製造業
技術分野バイオ,精密加工
資本金1,000万円
設立1946年

事業の背景

当社は昭和21年に杉本商店として創業し、大井川流域の山間部で栽培されたお茶を製造・販売してきた。平成10年に米国への海外輸出を始め、平成17年に現地法人を設立し、平成24年からは粉末緑茶の輸出も開始した。米国では粉末緑茶の機能性食品としての需要が増えている一方、市場の約8割は東南アジアの低価格商品が占めている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他静岡茶の価格は国内消費の低迷で毎年下落しており、生産農家の収入も減少し続けている。
  • 販路・情報発信米国市場では約8割を東南アジアの低価格商品が占め、品質の良い日本茶は価格面で負けており、価格差が大きいと品質で勝っていても市場確保が厳しい。
  • 生産能力粉末緑茶の粉砕を外部委託していたため、粉末粒子のサイズや色、香りなどを委託業者に頼らざるを得なかった。
  • 品質・精度食品衛生管理は委託先の情報をもとに製造工程のハザード分析やCCP・OPRPの管理を行っている状況で、満足のいくものではなかった。

やったこと

今回の補助事業では、乾燥茶葉を粉砕機で粉砕した後、粉末茶を人の手に触れることなく充填できる充填機を導入した。導入した粉砕機はビーズと呼ばれる球体の媒体を用いてマイクロもしくはナノメートルの領域まで細かく粉砕させ、冷却装置を併用して粉砕工程での茶葉の温度上昇を抑えることで、色と風味を損なわずに自社管理を可能にし、これまでの約半分の期間で加工ができるようになった。充填機の導入により粉末緑茶に直接手を触れずに菌汚染を防ぎ、正確な検体の採取も可能になった。併せて社内の食品安全管理体制を構築し、世界基準の食品衛生管理マネジメントを確立した。そして平成26年3月に、緑茶の製造から梱包を対象とした食品安全マネジメントシステムFSSC 22000の認証を取得した。

加工機粉砕機
加工機充填機

事業の効果

粉砕工程の自社管理が可能となり、加工期間がこれまでの約半分になった。充填機の導入により粉末緑茶への菌汚染を防ぎ、正確な検体採取もできるようになった。FSSC 22000の認証取得で食品の安心・安全の管理体制が確立され、味・香り・色調に優れた高品質な粉末茶を低価格で生産できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の海外輸出(1998年米国、2012年以降粉末緑茶)と現地法人設立の延長に粉末緑茶の輸出拡大が位置づけられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    米国市場で東南アジア製の低価格品が約8割を占める中、低コスト・短納期・高品質化の課題を具体的に挙げ、対応策を示している。

  • 課題の認識と解決4

    外部委託粉砕や委託先任せの衛生管理という課題を認識し、粉砕機・充填機の導入で加工期間を約半分にする計画が示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    加工期間が約半分になると書かれているが、売上増や賃上げにつながる具体的な目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    FSSC22000認証取得や社内食品安全管理体制の構築が書かれ、実施体制の一端はうかがえるが、人材や事務体制の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    色・香り・風味を損なわず高品質な粉末茶を低価格で生産できる点や、米国の取引先からの要望が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    導入設備と認証取得の順序は示されているが、中長期の課題検証や詳細なスケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    粉末緑茶の機能性食品需要が米国で増加し、高品質化で価格競争を避ける方針が示され、高付加価値化の意図が読み取れる。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    静岡茶の生産農家の収入減や産地存続への懸念がうかがえるが、雇用創出や波及効果を明示する記述は少ない。

  • 費用対効果2

    加工期間が約半分になったと書かれているが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    ビーズ式粉砕や充填機による非接触充填など新技術の導入はあるが、サプライチェーン全体への貢献は具体的に書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    海外輸出や機能性食品市場への進出はうかがえるが、日本経済の構造転換に資する点は明示されていない。

  • 地域経済への波及3

    大井川流域の山間部で栽培された地元茶を世界に提供する方針が書かれ、地域特性を活かす姿勢が読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後はさらに多くの地元のお茶を世界に提供していくことを目指している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。