ものづくり補助金平成27年度製造業山形県

IoTを活用した高度生産システムの構築と高精度加工技術の開発

株式会社上和電機

成果材料セット量 2t→16t

この事例のポイント

  • NC加工の前後工程である材料投入と曲げ加工がボトルネックとなり、NC加工の時間短縮が生産全体に生きなかった。
  • NC加工前の材料棚をセルローダーストッカ(自動材料棚)にして材料段取りを自動化し、加工順序の変更を可能にした。
  • 材料セット量 2t→16t。材料パレットへのセット作業がなくなり、材料投入の時間が短縮され、加工順序も容易に変更できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社上和電機
所在地山形県 高畠町
業種電気機械器具製造業
技術分野情報処理,製造環境
従業員数78人
資本金2,700万円
設立1989年

事業の背景

当社は配電盤、制御盤、分電盤等の電気設備を設備ごとに受注製造しており、設計から製作開始までのリードタイム短縮と、自動搬送装置による無人化運転(時間外作業)を実現していた。事業の前年にNCタレットパンチプレスと自動搬送装置を導入し、NC加工プログラミングを自動化していた。一方、東京オリンピック・パラリンピック事業を中心に、復興事業や再開発事業等の建築関連事業が拡大し、1,000億円以上の市場になると予測されていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力NC加工の前後工程である材料投入と曲げ加工がボトルネックとなり、NC加工の時間短縮が生産全体に生きなかった。
  • 人手・技能曲げ加工は熟練者の経験に依存しており、技術を次世代へ伝承する必要があった。
  • 人手・技能板金材料の投入は3人作業か天井クレーン等の使用が必要で、工数がかかり危険な作業だった。
  • 品質・精度曲げ加工で角度の補正加工ができず、大物・重量物を曲げられなかった。
  • 生産能力従来設備では材料を2tまでしかセットできず、連続運転は3時間までだった。

やったこと

NC加工前の材料棚をセルローダーストッカ(自動材料棚)にして材料段取りを自動化し、加工順序の変更を可能にした。セルローダーストッカは材料を2t×8段(16t)まで収納でき、24時間の連続運転が可能になった。曲げ加工では従来のベンダーをハイブリッドベンディングマシン(高速・高精度ベンダー)に置き換え、データを一元化して自動プログラミングにより誰でも曲げ加工ができるようにした。付属装置も設置し、1人でも効率よく安全に曲げ加工ができるようにした。さらにIoTを活用した高度生産システムを構築し、工程の可視化とスケジュール管理を実現した。

その他セルローダーストッカ(自動材料棚)
加工機ハイブリッドベンディングマシン(高速・高精度ベンダー)

事業の効果

  • 材料セット量 2t→16t
  • 連続運転時間 3時間→24時間

材料パレットへのセット作業がなくなり、材料投入の時間が短縮され、加工順序も容易に変更できるようになった。自動プログラミングにより誰でも曲げ加工ができ、付属装置とあわせて1人でも安全に効率よく曲げ加工ができるようになった。IoTを活用した高度生産システムにより作業工数が削減され、スケジュール管理と工程の可視化が実現した。これらにより定時に業務を完了でき、短時間労働による働き方改革を実現した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.3 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    前年にNCタレットパンチプレスと自動搬送装置を導入した経緯があり、その延長として曲げ工程を改善しており、過去の取組との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    販路拡大の武器にする記述や、建設・電機設備工事業者をターゲットとする想定はあるが、競争優位の根拠となる市場データや強み分析は示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    曲げ加工のボトルネック、3人作業や天井クレーン使用による工数と危険性という課題が具体的に示され、材料棚やベンダー導入で解決する計画になっている。

事業の実現可能性40%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    ストッカで連続運転3時間から24時間へ、材料投入2tから16tへといった数値はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員78名の会社で一括管理システムや一気通貫生産システムを運用している記述はあるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の詳細は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    短納期化と突発的な引き合いへの対応が強みとして示されるが、顧客ニーズの裏付けや選ばれる理由の定量的整理は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    導入後の成果は述べられるが、スケジュールや中長期の課題検証、遂行方法の詳細は公開事例からは読み取りにくい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    大型・中堅規模の製品OEMや大規模・中堅メーカーにはないシステムと記述されるが、分野の普及度や高付加価値化の水準を示す数値はない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    建築関連の市場が1,000億以上に拡大するという予測や、東京オリンピック・パラリンピック等の需要に触れており、波及効果の一端がうかがえる。

  • 費用対効果2

    短時間労働の実現や作業工数削減は書かれるが、補助金投入額に対する付加価値増加や生産性向上の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    IoTで情報を一元化し自動プログラミングで高度生産システムを構築した点は、デジタル活用によるものづくりの改善として読み取れる。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    山形県高畠町に立地する企業であることは示されるが、地域の特性を活かして雇用や地域経済を牽引する記述は限られる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

生産プロセスの改善により短期製作の強みを充実させ、突発的な引き合いにも対応できるようになったため、販路拡大の武器になると見込んでいる。販路拡大のターゲットは建設業者および電機設備工事業者を想定している。大規模・中堅メーカーの製品のOEMにも積極的に取り組み、板金を外注している大型・中堅規模の市場に対応していく計画である。

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

ねじ寸法自動計測システムの試作開発

平成25年度ものづくり補助金を活用し、人手に依存せず検査精度と生産性を向上させる「ねじ寸法自動計測システム」を試作開発した。

効果:計測面の焦点深度 2mm→5mm

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。