ものづくり補助金平成27年度製造業高知県

蒲鉾工場の「生産ライン効率化」と「品質管理強化」による売上拡大と雇用促進

株式会社 司食品

成果土佐天の週間生産数 1,200枚→2,400枚

この事例のポイント

  • 現在の設備では市場から求められる生産数量に対応できず、関連会社への納品数を減らして対応していた。
  • 永野蒲鉾店から引き継いだ蒲鉾事業の生産ラインを強化するため、2種類の機械を導入した。
  • 土佐天の週間生産数 1,200枚→2,400枚。1日2ライン生産が可能になり、従来日替わりだった2品を1日で連続製造できるようになったことで、生産量は2倍に増えた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 司食品
所在地高知県 高知市
業種食料品製造業
技術分野製造環境
従業員数5人
資本金1,000万円
設立1996年

事業の背景

平成26年、保存料を使わない製法と本物の味で人気だった創業136年の永野蒲鉾店が、後継者問題により廃業することになった。同社の「司」「祢保希」では永野蒲鉾店製の「上さし」と「土佐天」を年間6万個以上販売しており、県内産業と雇用の存続が強く望まれたことから、平成26年12月に事業の一部を引き継いだ。県内では永野の商品の人気が根強く、平成28年1月から外販を開始したが、生産能力が市場ニーズに追いつかない状況だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力現在の設備では市場から求められる生産数量に対応できず、関連会社への納品数を減らして対応していた。
  • 人手・技能上さしの生産ラインでは内側と外装のフィルム包装を同一機械で行っていたため、設定変更や機械の清掃に時間がかかり、熟練の技術者の操作が不可欠だった。
  • 生産能力熟練技術者を含む常時3名の体制のため、上さしの製造中は土佐天の製造に人員を割けず、2品を日替わりで製造せざるを得なかった。
  • 品質・精度検品はハンディ式金属探知機で1本ずつ手作業で行っており、時間がかかる上に検出精度が低く、3cm以上の異物しか検知できなかった。

やったこと

永野蒲鉾店から引き継いだ蒲鉾事業の生産ラインを強化するため、2種類の機械を導入した。1つ目は板付きかまぼこ用の新型フィルム包装機で、完成品の外装と賞味期限の印字を自動で行い、印字ミスをチェックする機能を持つ。これにより内側のフィルム包装専用機として既存の包装機を使えるようになった。2つ目は自動金属探知機で、0.3mm以上の異物を検出でき、生産ライン上に組み込んで検品を自動化した。

加工機新型フィルム包装機(板付きかまぼこ用)
検査測定自動金属探知機

事業の効果

  • 土佐天の週間生産数 1,200枚→2,400枚
  • 上さしの週間生産数 2,000個→4,000個
  • 上さし製造の人員 3名→2名
  • 検出可能な異物サイズ 30mm→0.3mm

1日2ライン生産が可能になり、従来日替わりだった2品を1日で連続製造できるようになったことで、生産量は2倍に増えた。包装切り替え時の清掃作業約30分が削減され、熟練者でなくても上さしを2名で製造できるようになった。賞味期限シールのラベリング作業も自動化され、1回の製造で約60分の手間が省かれた。自動金属探知機の導入で検品効率が大幅に上がり、異物検出精度も高まったことで、ブランド維持に欠かせない品質の信頼性が向上した。供給力不足が解消されて外販にも対応できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    永野蒲鉾店の事業引き継ぎを機に外販を開始し、供給力不足の解消を目的とした設備投資と位置づけられている。過去の取組との一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置づけの記述は限定的。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    高知県内の永野商品への根強い人気や県外への販路拡大に触れているが、市場動向と自社の強み・弱みを比較した分析までは書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    上さしの包装切替に約30分、賞味期限ラベリングに約60分、金属探知で1,000本あたり100分以上の時間短縮と、課題と効果が数値で示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    生産量が週2回から週4回へ増え、上さし2,000個から4,000個、土佐天1,200枚から2,400枚と2倍になる目標が数字で示されている。ただし付加価値額や賃上げ目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制4

    熟練者を含む3名体制から2名体制へ改善し、永野蒲鉾店の従業員3人を雇用・継承している点が具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    永野蒲鉾店の味への市場の根強い要望や、供給待ちの取引先が多いことは読み取れるが、顧客ターゲットの整理は具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋3

    新規店への定番化交渉や県内食品会社経由の販売、かまぼこ専門店の出店計画は述べられているが、スケジュールや課題解決の方法は詳細でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    永野蒲鉾店の伝統製法や人気商品の味を復活させる点はうかがえるが、ジャンル全体の普及度や高価格化の水準は書かれていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    県内産業の存続や雇用の継続が強く望まれたこと、元従業員3人の雇用継承など地域雇用への貢献が述べられているが、波及効果の定量的記述はない。

  • 費用対効果3

    時間削減や生産量2倍の効果は数値で示されているが、補助金額に対する付加価値増加の費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    自動印字・金属探知機の導入は示されるが、先端的デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は明確に書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    高知県内の蒲鉾事業の存続と雇用創出、地域の食文化の継承に言及しており、地域の特性を活かした事業であることがうかがえる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

永野ブランドの復活と蒲鉾事業拡大の見通しが立った。これまでスポット販売で対応していた新規店には定番化に向けた交渉を行う。県内外で供給待ちの取引先も多く、県内の食品会社を通じた販売拡大を進める。かまぼこ販売に特化した店舗の出店も計画している。元永野蒲鉾店の従業員3人を雇用して技術を継承しており、地域の雇用と産業を守り蒲鉾市場全体の活性化に貢献したいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。