高効率熱処理技術の確立によるラッピングクロスの品質向上と熱加工受注の事業化

静岡県の製造業の会社が、ものづくり補助金で熱処理工程を内製化し、加工時間を大幅に短縮した採択事例です。

有限会社ファイバー浜松

成果熱処理加工時間 4,320分→55分

この事例のポイント

  • 熱処理を委託していた外注先が後継者不在で廃業の意向を示し、近隣に新たな委託先を見つけることが困難で、遠方の事業者では納期遅延のリスクがありました。
  • 同社は、合成繊維製品の品質安定化に不可欠な熱処理工程と検査工程を内製化するため、独自に「細幅織物熱セット加工機」と「自動巻取機」を開発しました。
  • 熱処理加工時間 4,320分→55分。外注時には約72時間かかっていた熱処理加工時間が約55分に大幅に短縮されました。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社ファイバー浜松
所在地静岡県 浜松市
業種繊維工業
技術分野製造環境
資本金650万円
設立1994年

事業の背景

有限会社ファイバー浜松は、産業用資材として用いられる細幅織物の製造・販売を手掛けています。同社の製品は、物流資材、車両関連製品、建築土木資材、生活資材、紐、濾布、ラッピングクロスなど、産業用途から日用品まで幅広く利用されています。

企画から素材選定、織り、縫製、金具部品の組み付けまで一貫生産できる体制を構築しており、顧客の多様なニーズにワンストップで応えられることが強みです。合成繊維製品の品質安定化に不可欠な熱処理工程は外部に委託していましたが、委託先の廃業により内製化が唯一の選択肢となりました。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程熱処理を委託していた外注先が後継者不在で廃業の意向を示し、近隣に新たな委託先を見つけることが困難で、遠方の事業者では納期遅延のリスクがありました。
  • 品質・精度一般的なドラム型加工機は金属ロールで加熱するため、製品の表と裏で加熱温度にばらつきが生じ、均一な品質を保つことが難しい状況でした。
  • 品質・精度自然冷却を待つ必要があり、完全に冷めない状態で箱詰めするとシワやヨレといった不良が発生しやすいという問題がありました。
  • その他冷却スペースの確保が必要な上、放熱によって室温が上昇し、労働環境の悪化を招いていました。
  • 人手・技能顧客からの品質検査要求が厳しくなる中、目視による検品には人員の確保が大きな課題となっていました。

やったこと

同社は、合成繊維製品の品質安定化に不可欠な熱処理工程と検査工程を内製化するため、独自に「細幅織物熱セット加工機」と「自動巻取機」を開発しました。熱セット加工機には加熱工程と強制冷却工程の2つのボックスを配置し、効率的な熱処理を可能にしました。

ガスヒーターで全体を均一に加熱する方式を採用し、安定した品質を確保しました。完全に冷却された状態で箱詰めする仕組みとし、シワやヨレといった不良品の発生を防ぎました。

検査工程では、自動巻取機に傷探知機能を持たせ、目視に代えて高感度カメラで検査する仕組みとし、その機械装置の製作は外部に依頼しました。

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

  • 細幅織物熱セット加工機設備の種類:縫製・繊維
  • 傷探知機能付きテープ巻取機自動巻取機設備の種類:検査・測定

事業の効果

  • 熱処理加工時間 4,320分→55分

外注時には約72時間かかっていた熱処理加工時間が約55分に大幅に短縮されました。ガスヒーターによる均一加熱と完全冷却後の箱詰めにより、加熱ムラやシワ・ヨレといった不良品の発生を防ぎ、製品の品質向上につなげることができました。

目視検査を高感度カメラの自動巻取機に代替したことで、人員を別の工程に配置することが可能となりました。熱処理工程の内製化によりコストダウンにもつながりました。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.0 / 514観点のうち13観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性企画から縫製・金具組付けまで一貫生産できる体制と、顧客の多様なニーズへのワンストップ対応を強みとして明示している。
  • 4
    課題の認識と解決外注の廃業で熱処理が困難になった課題を特定し、加工時間を約72時間から約55分に短縮する実効性の高い解決策を示している。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標熱処理加工時間を約72時間から約55分へ大幅短縮し、コスト削減にもつながったと結果が数字で示されている。

もう一歩だった観点

  • 2
    新しさ・高付加価値細幅織物の製品は幅広く利用されているが、高付加価値化や高価格化を図る記述は薄い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    合成繊維製品の品質安定化に不可欠な熱処理工程を外部委託から内製化する流れで、既存事業の延長に位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    企画から縫製・金具組付けまで一貫生産できる体制と、顧客の多様なニーズへのワンストップ対応を強みとして明示している。

  • 課題の認識と解決4

    外注の廃業で熱処理が困難になった課題を特定し、加工時間を約72時間から約55分に短縮する実効性の高い解決策を示している。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標4

    熱処理加工時間を約72時間から約55分へ大幅短縮し、コスト削減にもつながったと結果が数字で示されている。

  • 事業を進める体制3

    自社で機械を考案し外部に製作を依頼するなど、設備導入と内製化を進める体制の記述がある。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    顧客からの品質検査要求の厳格化に対応する品質向上が目的として整理されており、ニーズの裏付けがある。

  • 事業化までの道筋3

    熱処理と検査工程を内製化する方針と、検査の高感度カメラ化で人員を別工程へ配置する計画が書かれている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性2.0
  • 新しさ・高付加価値2

    細幅織物の製品は幅広く利用されているが、高付加価値化や高価格化を図る記述は薄い。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用2

    地域の委託先が見つからない中での納期遅延回避という課題はあるが、経済波及や雇用創出への言及はない。

  • 費用対効果3

    加工時間の大幅短縮とコスト削減、人員の配置転換が示され、費用対効果の一定の根拠がある。

  • イノベーションへの貢献3

    独自開発の熱セット加工機と高感度カメラ式の自動巻取機というデジタル技術を活用した検査の自動化が記載されている。

政策面2.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及2

    浜松の地域企業だが、地域特性を活かした雇用創出や地域成長を牽引する記述は薄い。

今後の展望

今後は、更なる市場シェアの獲得を目指しています。新たな需要を開拓できないか模索しています。

事業者の声

当社の技術や製品を活用して新たな需要を開拓できないか模索している

公式の事例集より(原文のまま)

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。