小麦の製粉機材を導入することで販路拡大と利益率の向上化を狙う

奈良県の農業・林業の会社が、ものづくり補助金で製粉機材を導入し、製粉を内製化して古代小麦の小麦粉を販売できるようになった採択事例です。

株式会社農園いち八

この事例のポイント

  • 取引先事業者が良質な国産小麦の挽きたて品を探しても製粉ロットが合わず、当社に製粉を依頼するケースが発生していました。
  • 補助事業により精麦機・石臼・乾燥機など、製粉工程に必要な設備一式を導入しました。
  • 製粉工程を内製化したことで、当社初の加工品である古代小麦の小麦粉を販売できるようになりました。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社農園いち八
所在地奈良県 天理市
業種農業
技術分野精密加工

事業の背景

当社は農業法人勤務を経て独立した専業農家で、天理市内の農地で米・小麦や一般的な野菜を、化学肥料・農薬を使わない有機栽培で生産しています。農協を通さず、飲食店や卸業者、ベーカリー、製菓業、製麺所など事業者との直接取引を基本にしてきました。

一方、グルテンフリーの米粉需要が増えたことで小麦を扱わなくなる製粉業者が増え、製粉ロットは中小事業者には大きすぎる設定になりつつあります。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信取引先事業者が良質な国産小麦の挽きたて品を探しても製粉ロットが合わず、当社に製粉を依頼するケースが発生していました。
  • コスト・採算近隣に製粉業者がなく、遠方でトン単位の製粉しか委託できないため採算が合いませんでした。

やったこと

補助事業により精麦機・石臼・乾燥機など、製粉工程に必要な設備一式を導入しました。これにより、細かい挽き方や挽き具合のニーズに対応できる製粉作業の完全内製化が完了しました。

当社の小麦は有機栽培のグルテンフリーな古代小麦であり、農薬を使用したグルテン含有小麦とは製粉ラインを分ける必要があったため、内製化により自社で製粉できるようになりました。

新しい製品・サービス:古代小麦の小麦粉

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

製粉工程を内製化したことで、当社初の加工品である古代小麦の小麦粉を販売できるようになりました。古代小麦の小麦粉を通じて当社を知り、野菜の購入につながったケースもあり、販促効果が認められています。

また、無農薬でかび毒検査をクリアした小麦であれば、他農家産の小麦でも製粉のみを受託でき、事業領域が広がりました。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均2.9 / 5

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性グルテンフリー古代小麦の純国産品質と挽きたて小ロット供給で、製粉業者が撤退した隙間に入る競争優位が具体的に示されている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け取引先事業者の挽きたて小ロット需要を確認し、古代小麦粉を販売して野菜購入につながった事例もあり、ニーズの裏付けがある。
  • 4
    新しさ・高付加価値有機栽培でグルテンフリーの古代小麦を製粉し、加工品として販売する点は一般的な普及度が低い分野への取り組みと読める。

もう一歩だった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標記載された範囲では付加価値額や賃上げの具体的な目標値は示されておらず、実現可能性を判断する材料が薄い。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    有機栽培の直接取引や給食納入など、創業以来の事業の延長として製粉内製化を位置付けており、一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    グルテンフリー古代小麦の純国産品質と挽きたて小ロット供給で、製粉業者が撤退した隙間に入る競争優位が具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決3

    製粉業者の近隣不在や遠方・トン単位の委託という課題を認識し、製粉内製化で解決する計画になっている。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    記載された範囲では付加価値額や賃上げの具体的な目標値は示されておらず、実現可能性を判断する材料が薄い。

  • 事業を進める体制3

    既存の直接取引・給食納入の実績があり、農業経営を運営してきた体制で製粉設備の内製化を進める前提が読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    取引先事業者の挽きたて小ロット需要を確認し、古代小麦粉を販売して野菜購入につながった事例もあり、ニーズの裏付けがある。

  • 事業化までの道筋2

    製粉設備一式の導入と完全内製化の完了は述べられているが、中長期の課題検証やスケジュールの記述は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    有機栽培でグルテンフリーの古代小麦を製粉し、加工品として販売する点は一般的な普及度が低い分野への取り組みと読める。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用3

    食品廃棄物や家畜糞を活用する環境循環型農業で、地元の飲食店や小中学校給食への納入など地域の食材供給に貢献している。

  • 費用対効果2

    補助金額に対する付加価値増加や生産性向上の数値が示されておらず、費用対効果は判断しにくい。

  • イノベーションへの貢献2

    サテライト農地やECサイトの活用など新しい取り組みはあるが、デジタル技術の活用による地域イノベーションとしての記述は弱い。

政策面3.0
  • 成長分野への進出2

    有機農業や地産地消の六次産業化への第一歩とされているが、日本経済の構造転換に資するという観点の記述は薄い。

  • 地域経済への波及4

    天理市内の地元企業として地域の小中学校給食や直売所を通じ、地域の特性を生かした事業展開が具体的に示されている。

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。