小規模事業者持続化補助金飲食・宿泊千葉県

デジタル制御のエスプレッソ機で、誰が淹れても同じ味に

tarte&cafeいとお菓子

千葉県のタルトとカフェの店(従業員3名)国が公開している採択事例です

この事例のポイント

  • 約18年パティシエを務めた代表が、家族を亡くした後に菓子づくりへの思いを取り戻して開業を決めた。
  • 地元の商工会議所の創業スクールでつくった計画書を、そのまま補助金の事業計画書に生かした。
  • パソコンを使ったことがなかったが、経営指導員が機器選びから計画書の書き方まで支えた。
  • 計画書の月次の収支計画をもとに、材料選びや夏の売上対策を考えるようになった。

事業の経緯

代表は子どもの頃から菓子づくりに親しみ、ホテルや洋菓子店で約18年パティシエを務めた。2020年に夫を亡くして一時は仕事への意欲を失ったが、友人にケーキを頼まれたことで菓子づくりへの思いを取り戻し、開業を決めた。

2022年にカフェの専門学校の社会人コースで持続化補助金を知り、地元の商工会議所の創業スクールを受けた。そこでつくった計画書をもとに補助金に採択され、思い出の桜並木の近くに2024年3月に店を開いた。開店後も経営指導員が定期的に訪ね、経営の相談にのっている。

事業の内容

  1. 課題:開業の準備ホテルや洋菓子店で約18年パティシエを務めたが、店の経営は初めてだった。創業計画書の作成やプレゼンにはパソコンが欠かせないのに、使ったことがなく不安があった。
  2. 取り組み:創業スクールと計画書カフェの専門学校の社会人コースで持続化補助金を知り、地元の商工会議所の創業スクールを受けた。そこでつくった創業計画書をもとに補助金の事業計画書を書いて採択された。経営指導員はパソコンの選び方から思いを言葉にする方法まで教え、計画書に写真を加えるなどの助言もした。
  3. 取り組み:商圏の調査と発信商圏を決め、近くの店が何を売りにしているかを実際に訪ねて調べた。商圏内の客を集めるため、インスタグラムでの発信も始めた。キッチンカーのバリスタのもとでラテアートも学んだ。
  4. 取り組み:エスプレッソの機器温度と湿度をデジタルで調整できるエスプレッソミルと、圧力をデジタルで管理できるエスプレッソマシンを入れた。アルバイトのスタッフでも安定した味を出せるようにするのが目的。
  5. 取り組み:収支計画にもとづく運営夏はケーキの売上が落ちると聞いていたため、月次の収支計画に減少分を織り込み、季節限定のかき氷の売上計画を上乗せした。

補助金を使った経費

記事の内容から、小規模事業者持続化補助金の経費区分にあてはめた区分です。

機械装置等費エスプレッソミル
機械装置等費エスプレッソマシン

事業の効果

  • アルバイトでも安定した味のコーヒーを出せるようになった。
  • 開店後は毎日多くの客が訪れ、客層は幅広く、40代の女性の2人連れが多い。
  • 計画書をつくったことで収益にも目が向き、材料選びを考えるようになった。
  • 夏の売上の落ち込みは想定より小さかった。

事業者の声

子供の頃は母がよくお菓子を作ってくれました。勤務先のお菓子工場から業務用の大きな機械を借りてきて、ワッフルやクレープを焼いてくれたのが忘れられない思い出。業務用の機械で焼いたクッキーはカリカリして、お店の味のようで凄くおいしかった。いつの間にか自分でもお菓子作りを始め、いずれはお菓子作りを仕事にしたいと考えるようになりました。

高校生の頃は手作りのオペラケーキを学校に持っていき、友達に食べてもらうのが楽しみでした。その後の専門学生時代のアルバイトが、カフェと焼き菓子づくりの原体験。マスターに教わってチーズケーキを焼き、初めてお客さまに召し上がっていただいた。仕事を任せてもらったとの思いとお客さまの反応が嬉しくて、俄然やる気が出ました。

焼き菓子についていろいろ研究する機会になりました。

人を喜ばせることができるのがパティシエの仕事だ。

私が生きていくにはケーキ作りが必要だ。

自分の得意分野を活かせたら、今後の人生も悔いなく過ごせるかなと思って、開業準備を始めることにしました。

創業計画書の作成やプレゼンが予定されており、パソコン操作は必須。パソコンを使ったことがない私には不安しかありませんでした。しかし芝入さんには、どんなパソコンを買ったらよいかから始まり、自分の思いをどのように言葉に乗せたらよいか丁寧に教えていただいたことで自信が付き、本当にありがたかったです。

友人と『ここで開業したいね』なんて話をしながら散歩していた。するとある時、その友人から『あの場所空いたみたいよ』と連絡が入り、すぐに契約しました。

店名の『いとお菓子』は、友人や周りの人に助けられた、人と人のつながりを表す『糸』。『いとおかし』は古文で『とても可愛らしい』の意味。自分が作ったお菓子を見てそう感じてほしい、との気持ちを込めました。

商圏を決めて、近隣にどのようなお店があって何を売りにしているか。実際にお店を訪問して調査しました。また商圏内のお客さまを集めるためにインスタグラムの投稿も始めました。

温度や湿度をデジタルで調整できるミルと、デジタルで圧力を管理できるマシンを導入することで、アルバイトの方でも安定して味が提供できるようになりました。

開業前は、できるだけ高級な材料を使って美味しいタルトを作ろうと意気込んでいましたが、事業計画書を作ったことで収益にも目が向くようになった。どの材料を使ったらお客さまに喜んでいただきながら収益も出せるか——。計画書を作っていなかったら”どんぶり勘定”になっていたかもしれません。

以前働いていたお店のシェフから『7月、8月はケーキ類の売り上げが落ちる』と聞いていたので、創業スクールで作成した月次の収支計画へ減少予想額を反映し、そこにかき氷の売上計画を上乗せした。数字を見たことでイメージが湧いて、具体的な対策が必要と気付かされた。実際には想定ほど売り上げは落ちませんでしたが、勉強になりました。

桜並木がきれいな場所なので、散歩のついでに立ち寄ってもらえるようインスタグラムの投稿を頑張りたい。また近い将来には、私が生まれた愛知県の喫茶文化を千葉で伝えられるよう、モーニングサービスをこの店で提供したい。

いつか一緒にこの店に立てたらいいなと思っています。

千葉県のタルトとカフェの店(従業員3名)
出典

販路開拓の手段

  • エスプレッソの機器:誰が淹れても同じ味を出せるようにした。
  • インスタグラム:商圏内の客と散歩の途中の人に向けて発信する。
  • 商圏の調査:近くの店を訪ねて売りものを確かめた。
  • 季節の商品:夏の売上減を見込んでかき氷を出した。

相談先と計画づくり

商工会議所千葉商工会議所

創業スクールで、商圏と競合店、ねらう客層、月次の収支計画を整理した。そのうえで、アルバイトでも同じ味を出せる設備を入れることを補助事業の中心にした。

今後の展望

インスタグラムの発信を強め、散歩のついでに立ち寄る客を増やしたい。代表の地元・愛知の喫茶文化を伝えるため、モーニングの提供も考えている。製菓の専門学校に進む娘と、いつか一緒に店に立つことを思い描いている。

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