事業承継・M&A補助金令和3年度・経営革新枠製造業三重県

マグロの仲卸から加工品づくりへ転じ、未利用部位も商品にする

尾鷲金盛丸

三重県のマグロ加工品の製造・販売業(従業員10名)国が公開している採択事例です

この事例のポイント

  • 人口減少や核家族化で鮮魚仲卸の販路が年々細っていた。
  • 承継の前から地元の商工会議所と事業承継計画をつくり、承継後の補助金活用につなげた。
  • 展示会への出展をきっかけに、販売は取引先に任せて自社は製造に徹すると決めた。
  • 廃棄していたマグロの端材を、消費者向けと業務用に分けて商品にする計画を立てた。

事業の経緯

1930年に魚の海上輸送から始まり、戦後は魚の仲卸に転じて3代目まで続いてきた。2010年に現代表がUターンして家業を手伝い始め、数年後には経営の舵取りを担うようになった。田舎で商売をする難しさを感じ、若手経営者の勉強会に通いながら、マグロの角煮の商品化に取り組んだ。

人口減少などで仲卸の販路が細るなか、承継前から地元の商工会議所と事業承継計画をつくり、2020年に事業を承継した。承継後は消費者向けの加工品販売へ移るため、商工会議所の紹介で事業承継・引継ぎ補助金を活用し、アンテナショップの工事を行った。HACCP対応の工場にも投資し、加工品の製造を中心とする会社へと変わってきている。

事業の内容

  1. 課題:細る仲卸の販路地域の人口減少で取引先が少しずつ減り、核家族化で大きな魚の部位や手間のかかる調理が避けられるようになった。鮮魚の仲卸の販路は年々細っていた。食品加工の工場にはHACCPへの対応も強く求められるようになっていた。
  2. 課題:限られた資源地域のマグロの漁獲量が減り、限られた資源をどう商品にして流通させるかが課題になっている。
  3. 取り組み:加工品への転換地元の特産を使った消費者向けの商品として、マグロの角煮の商品化に取り組んだ。最初は手作りで、その後デザイナーの協力を得てパッケージや包装を改善した。マグロ1本を数万円単位で近くの業者に売る仲卸から、加工した商品を1個数百円で売る形へ移った。
  4. 取り組み:製造に徹する域外で売るため、商工会議所や金融機関の協力を得て展示会に出展した。そこで出展商品を売ってくれる事業者の存在を知り、自社は製造に徹するほうがよいと判断した。販路は取引商社が開拓している。
  5. 取り組み:発信の拠点と工場への投資承継後、早く消費者向けの加工品販売に移るため、商工会議所から紹介された事業承継の補助金を活用した。自社商品を発信し販路を確保するため、補助金でアンテナショップの工事を行った。あわせてHACCPに対応した工場と設備への投資にも踏み切った。
  6. 取り組み:未利用部位の活用これまで廃棄していたマグロの端材を使い、居酒屋向けの商品を開発・販売する計画を立てた。未利用の部位は消費者向けの商品と業務用の食材に分けて製品計画をつくっている。

補助金を使った経費

記事の内容から、事業承継・M&A補助金の経費区分にあてはめた区分です。

設備費アンテナショップの工事

事業の効果

  • 仲卸から加工品の製造へ業態を変え、取引商社による販路開拓で販売が好調に推移している。
  • HACCP対応の工場などへの投資を進め、従業員が承継時の5人から10人に増えた。
  • 地域の経営者の集まりで役割を引き受けるうちに、理解者や仲間が増えた。

事業者の声

実家に戻り、田舎で商売をしていく難しさを痛感しており、商売の勉強を必死にしました。青年経営者との勉強会にも継続して参加し、都会の経営者から刺激も受けていました。感覚で商売をやって、たまたまうまくいくことがあったとしても、事業として成功する確率も低く、失敗した時の振り返りもできないのではと考えていました。

尾鷲から域外で商品を販売していくため、商工会議所や金融機関の協力を経て、展示会に出展しましたが、出展した商品を販売してくれる事業者の存在を知り、自社は製造に徹するという立ち位置をとった方が良いと考えました。

金融機関、商工会議所も全面的に応援すると言ってもらえましたし、何より妻が賛成してくれたことが心強かったです。

意識をしていても、計画の形にしていないと、忙しい時に振り返りがおざなりになってしまいます。計画として可視化することで、自分の考えを整理する上では良かったと思います。

未利用部位を適切に利用し、消費者に向けた製品と業務用の食材に分けて製品計画を策定しています。

三重県のマグロ加工品の製造・販売業(従業員10名)
出典

相談先と計画づくり

商工会議所尾鷲商工会議所

仲卸から加工品の製造・販売へ移る道筋と、未利用部位を消費者向けと業務用に分けて商品にする計画を整理した。商工会議所と専門家の三者で書類と計画をつくり、自分の考えを計画として目に見える形にした。

今後の展望

未利用部位を生かし、消費者向けと業務用の製品計画を進める。地域の水産加工をけん引する立場として雇用を増やし、地元で育つ子どもたちに会社の成長を見せたいと考えている。

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