事業承継・M&A補助金製造業千葉県

3D設計と人事改革で現場を変え、海外展開に備える

株式会社吉野機械製作所

千葉県のプレス機械メーカー(従業員53名)国が公開している採択事例です

この事例のポイント

  • 熟練者への属人化と2次元図面に頼る組立で、設計の納期遅れが日常になっていた。
  • 後継者が自ら3次元CADを覚えて2次元設計をやめ、給与配分も見直して若手が育つ現場にした。
  • 事業承継を機に、頭打ちの国内市場から海外展開へと成長の軸を移す計画を立てた。
  • 市の産業振興財団が海外展開の支援の中で補助金を案内し、計画づくりに伴走した。

事業の経緯

1948年に東京都江戸川区で創業し、鉄道車両の窓枠の取っ手をつくっていた。5年後に汎用プレス機械の製造を始め、1987年に千葉県船橋市へ移って2代目に引き継がれた。2代目の時代に他社の技術者を受け入れて自社設計の力をつけ、オーダーメイドからカタログ製品の開発・販売へと転換した。

創業者の孫にあたる現代表は、別の業界で経営経験を積んだのち30歳で再入社し、専務として3次元CADの導入や人事制度の見直しに取り組んだ。業績が大きく改善したことを受け、顧問税理士の提言もあって2023年1月に会長から経営を引き継いだ。社長就任後は海外展開を成長の柱に据え、市の産業振興財団の支援を受けて事業承継・引継ぎ補助金に申請した。

事業の内容

  1. 課題:属人化と納期遅れ仕事が熟練技術者に頼りきりで、非効率なやり方が改まらなかった。2次元CADの図面には職人の経験に頼る情報が多く、組立に手間がかかり、設計工程の納期遅れが日常になっていた。若手はノウハウを学ぶ機会が乏しく、早く辞めてしまう環境だった。
  2. 課題:国内市場の頭打ち国内市場は先細りが見込まれ、従来と違う付加価値を出すか、市場規模の大きい海外に出ていく必要があった。手狭になった事業所の移転には多額の借入も必要だった。
  3. 取り組み:3次元CADの導入専務時代の後継者が自ら3次元CADを習得し、2次元CADでの設計をやめて現場に広めた。設計情報をそのまま組立に生かせるようにし、組立を容易にして納期遅れを改善した。
  4. 取り組み:人事制度の見直し一部の高齢社員を固定給から時間給に切り替え、給与の一部を若手の報酬に回した。熟練職人の稼働を効率化し、若手が主役として活躍できる風土をつくった。
  5. 取り組み:海外展開の準備社長就任後にロボット製作の経験者を集めてロボティクス事業部を立ち上げ、新製品の開発に着手した。市の産業振興財団の海外展開支援を受けるなかで事業承継・引継ぎ補助金の案内を受け、社内の経営戦略室が計画をまとめて申請した。補助金では五面加工機用の工具一式をそろえた。

補助金を使った経費

記事の内容から、事業承継・M&A補助金の経費区分にあてはめた区分です。

設備費五面加工機用工具一式

事業の効果

  • 生産現場の改革で、収支がとんとんだった業績が、1年の決算で数億円規模の利益を出せる水準になった。
  • 若手社員の定着率が上がり、離職率が改善した。
  • 全従業員に会社の情報を定期的に発信し、ビジョンに向けて一丸となる体制をつくっている。

事業者の声

ものづくりの事業会社で、目的に向けて物事を考え、自分で業務のあり方を創る・変えるという仕事に、自分の力をぶつけていきたいという想いが日増しに強くなっていました。

ベテラン職員に遠慮や萎縮しながら仕事をしていた若手が、のびのびと主役として活躍し、成長していく風土が生まれました。

社長に就任してからは、会社が掲げたビジョンに向けて、経営者と従業員が一丸となって前に進むために、会社の情報を定期的に全従業員に発信しています。

これから先の時代、日本の市場が頭打ちになることは、明白であり、国内市場で生き残るためには従来とは異なる付加価値を提供する必要があると考えている。一方で、海外市場に目を向ければ市場規模は大きく、自社の成長にとって海外進出が不可欠である。

自分が頭の中で考えていることをしっかり聞いていただき、計画として形にすることで、改めて自分がやるべきことを実感できる、気づかされるという側面があります。

創業以来からの妥協しないものづくり、ものづくりに対する情熱は大切にしています。

県内の大学に、自ら積極的に足を運び、自分たちが目指すものづくりのビジョンをしっかり発信していきたいと思います。入社した社員には、事業の成果をしっかり還元し、社員が頑張りたいと思えるような処遇やコミュニケーションを実践していきます。

千葉県のプレス機械メーカー(従業員53名)
出典

相談先と計画づくり

県などの公的支援機関公益財団法人千葉市産業振興財団

社長の頭の中にある構想を支援者がじっくり聞き取り、実行すべき事業を計画の形にまとめた。社内の経営戦略室が計画を書き、支援者と対話を重ねながら申請を進めた。

今後の展望

日本市場の頭打ちを見据え、海外市場への展開を成長の柱にする。将来は売上100億円、直近3年で30億円を目標に掲げる。県内の大学を訪ねて人材を確保し、評価制度の導入や管理職の育成で社内の体制を固める。

製造業のほかの採択事例

製造業の事例をすべて見る

事業承継・M&A補助金について

直近の15次の採択率は61.3%(応募551件・採択338件)。いま申請できる回の締切・補助額・対象経費は、最新の公募の解説でまとめています。

最新の公募を見る