つまみ細工を「体験」で広げ、廃棄される反物をキットに生かす
Palette Japan
大阪府のつまみ細工の製作・販売(個人事業)国が公開している採択事例です
この事例のポイント
- 「モノ」の販売に「体験」を加えたいが、何から手を付ければよいか分からなかった。
- 地元の商工会議所と5回前後の面談を重ね、事業の目的や顧客、収支を自分の言葉で計画にした。
- 持続化補助金を3回使い、ワークショップ、オンライン講座、初心者向けキットと事業を段階的に広げた。
- 傷や滲みで廃棄される反物を、子どもでも作れるキットの材料に生かした。
事業の経緯
現代表は夫の出身地に移り住み、繊維商社で働くなかで見本の生地に触れ、つまみ細工にひかれた。趣味の作品を海外向けにネットで売ったところ想像以上の反響があり、2018年4月に個人で創業した。勤務時代から、海外には日本の伝統工芸の情報が届いていないと感じていた。
販売に加えて体験で売上を伸ばしたいと考え、地元の商工会議所に相談して事業計画を練り直した。2019年に外国人観光客向けのワークショップ、2020年にオンライン講座へと持続化補助金を使って事業を広げた。その後、廃棄される反物を生かした初心者向けキットを考え、3回目の補助金でPRに取り組んだ。
事業の内容
- 課題:体験事業の進め方が分からない繊維商社で見本の生地に触れる中でつまみ細工にひかれ、海外向けにネットで売ったところ大きな反響があり、2018年4月に個人で創業した。勤めていたころから、海外の人が日本の伝統工芸に興味はあっても情報が少ないと感じていた。販売に加えて体験で売上を伸ばしたいと考えたが、進め方が分からず、資金の余裕もなかった。
- 取り組み:計画の練り直し市役所の知人の紹介で地元の商工会議所に相談した。担当の指導員はやりたいことをすべて聞き取ったうえで、5回前後の面談で助言を重ねた。事業の目的、顧客のニーズ、ターゲット、実施計画、収支計画を一から整理し、「体験を通じて多くの人に伝統工芸を楽しんでほしい」という事業の軸にたどり着いた。
- 取り組み:ワークショップとオンライン講座1回目の補助金(2019年)では、外国人観光客向けの体験ワークショップのために刺繍用ミシンを導入した。ミシン刺繍で絵を作り、その上につまみ細工をのせる体験にした。コロナ禍で「自分で作ってみたい」という需要が強まると、2回目(2020年)ではつまみ細工のオンライン講座の周知に補助金を使った。
- 取り組み:廃棄反物を使ったキット市の産業支援機関の案内で、地元の伝統工芸である注染染めの工場を見学し、わずかな傷や滲みでも一反まるごと捨てられていることを知った。子ども用浴衣になる生地をキットの下地に使い、専用のピンセットがなくても作れる初心者向けのキットを考えた。資金面の不安から迷っていたが、指導員の助言で「世界へ広める」視点を計画に入れ、3回目の補助金でカタログ用の写真撮影とPR用のウェブサイト制作を行った。
補助金を使った経費
記事の内容から、小規模事業者持続化補助金の経費区分にあてはめた区分です。
| 機械装置等費 | 刺繍用ミシン |
|---|---|
| 広報費 | オンライン講座の周知 |
| 広報費 | キットのカタログ掲載用写真撮影 |
| ウェブサイト関連費 | PR用ウェブサイト制作 |
事業の効果
- 2023年の売上が2019年と比べて約7倍になった。
- キットは2023年から市内の小学校の授業で使われ、小学生でも30分ほどで完成できる。
- 2025年の大阪・関西万博で、つまみ細工のワークショップを1日開いた。
- シンガポールではオンライン講座から講師が7人育ち、その講師がキットを販売している。
- 補助金の有無にかかわらず毎年事業計画をつくり、年度の途中でも見直すようになった。
事業者の声
つまみ細工を、上品な生地であるちりめんで作りたい!
課題を感じていたものの、具体的に何から手を付けて、どのように進めて行けば良いのか見当が付かない上に、資金余力も乏しかった。
単に『体験』で売上を伸ばしたいのではなく、『体験』を通じて多くの方々に伝統工芸を楽しんでほしい、楽しむ姿を見るために自分はこの事業を続けたい。楽しんでいる姿を見ることが一番幸せ!
事業目的、顧客ニーズ、ターゲット、実施計画、収支計画等を、首藤指導員に一から説明を受け、熱意だけでは事業を成功させることはできないと気付かされました。
大量の反物が廃棄されると聞き、衝撃を受けました。自分たちの工夫で蘇らせることができないだろうか。
簡単に作れるキットとして提供すれば、より多くの人に作って楽しんでもらえるはず、廃棄反物も有効利用できるに違いない。
1回目と2回目の申請の際は、事業計画を作成する際にやや消費者目線が欠落していた。しかし、3回目の申請に際しては、このつまみ細工DIYキットを手にした消費者の目線で考え、消費者が感動し喜ぶ姿が想像できた。年々、事業が進化していることを実感している。
首藤指導員は、私の話の中から的確に要点を拾い上げてくれる存在であった。個人事業主は独りよがりになりがちなため、第三者の客観的な視点が必要であり、首藤指導員には感謝の念に堪えない。
創業当時、事業計画を作成することは、正直、面倒で大変なことだと感じていた。しかし、今では補助金申請の有無に関わらず毎年事業計画を必ず作成し、年度途中でも見直して、当初計画とブレが無いかを常に確認している。個人では日々の業務に忙殺され事業計画が無いと間違った方向に流されてしまうだけでなく、そもそも流されていることにすら気付けない。事業計画の重要性に気付かされた意味でも、商工会議所に相談し、補助金を申請して良かった。
むしろチャンス!今後は個人個人が活躍する時代がやってきたから、組織に属さない自分は有利。
大阪府のつまみ細工の製作・販売(個人事業)
出典
- 中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事(当社が書き直し・要約。事業者の声は記事中の発言の引用です)
- 経費区分は、小規模事業者持続化補助金の公募要領の区分に当社があてはめたものです
- 採択率:中小企業庁「採択結果」(第19回)
販路開拓の手段
- 体験ワークショップ:外国人観光客向けに、ミシン刺繍とつまみ細工を組み合わせた体験を提供。
- オンライン講座:コロナ禍の「自分で作りたい」需要に合わせ、講座を開いて周知。
- 初心者向けキット:廃棄反物を使い、カタログ写真とPR用ウェブサイトで販売を後押し。
- 海外向けネット販売:創業時からの柱として、和風小物を海外へ販売。
相談先と計画づくり
| 商工会議所 | 堺商工会議所 |
|---|
事業の目的、顧客のニーズ、ターゲット、実施計画、収支計画を一から整理し、体験を通じて伝統工芸を楽しんでもらうという事業の軸を固めた。キットの構想では、あいまいだった計画を「誰でも手軽にできるキットの開発」として具体化し、世界へ広める視点を加えた。
今後の展望
つまみ細工をはじめとする工芸品の魅力を、まずアジア、ゆくゆくは世界中に広めたい。付加価値を加え、ときに組み合わせて新しい価値を生む役割を続けていく。
この事例の取り組み
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