政府は12月17日、2024年(令和6年)度補正予算案が国会通過しました。中小企業・小規模事業者等関連予算では、生産性向上や事業承継、新規事業進出への支援など、厳しい経営環境に直面する中小企業の「稼ぐ力」を強化するための施策が大きな柱となっています。特に、新たな補助金制度の創設や既存制度の見直しを通じ、賃上げを含む中小企業の成長を後押しする内容が目立ちます。
今回は、中小企業庁の補正予算における補助金の最新情報をまとめました。
目次
- 1 中小企業庁 令和6年度補正・R7年度予算案
- 2 R6年度補正予算で見直し・拡充された補助金
- 3 1.ものづくり補助金 2025
- 4 2.IT導入補助金 2025
- 5 3.小規模事業者持続化補助金 2025
- 6 4.事業承継引継ぎ補助金 2025
- 7 5.新市場進出補助金 2025
- 8 新市場進出補助金の要件
- 9 新市場進出補助金の補助対象経費
- 10 6.中小企業成長加速化補助金 2025
- 11 中小企業成長加速化補助金の要件や補助対象
- 12 7.中小企業省力化投資補助金 2025
- 13 2025年度補助金 申請相談窓口
- 14 DL推奨!R6年補正予算&R7年度版 補助金ガイド
- 15 公式LINEで最新公募情報をGET!!
中小企業庁 令和6年度補正・R7年度予算案
国や地方自治体は毎年、予算を組み、予算をもとに様々な政策に取り組んでいます。しかし、当初予算で対応できないときに新たにつくるのが、補正予算です。改めて国会で補正予算案を審議する必要があり、議決されると補正予算として成立します。
出典:中小企業庁 令和6年度補正予算案 中小企業・小規模事業者等関連ポイント
2024年は、第216臨時国会が11月28日に召集されました。石破内閣の「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」の実現に向けた2024年度補正予算案が審議されます。
このうち、経済産業省に関連する予算案は合計4.4兆円に上ります。中小企業関連では、中小企業成長加速化補助金や新事業進出補助金があらたに創設されるほか、既存の補助金でも、拡充されるものがあります。注目度の高い補助金や支援策について整理しました。
R6年度補正予算で見直し・拡充された補助金
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 事業承継・M&A補助金
- 新市場進出補助金
- 中小企業成長加速化補助金
- 中小企業省力化投資補助金
それぞれ解説してきます。
1.ものづくり補助金 2025
ものづくり補助金の2025年実施に向けて、中小企業庁は国会で補正予算が成立することを前提に2024年12月16日、ものづくり補助金の事業概要を公表しました。それによると、補助上限は4000万円で、補助金交付額を限度に収益分を返納する「収益納付」は求めないと明記されています。
申請類型
- 製品・サービス高付加価値化枠
- グローバル枠
補助対象経費
ものづくり補助金の対象経費としてまず、機械装置・システム構築費は必須となります。このほか、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費も補助対象です。
グローバル枠のみ、海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費も補助金の対象経費となります。
補助上限
補助上限は以下の通りです。()内が大幅賃上げ特例を達成した場合です。
- 5人以下750万円(850万円)
- 6~20人1000万円(1250万円)
- 21~50人1500万円(2500万円)
- 51人以上2500万円(3500万円)
2.IT導入補助金 2025
IT導入補助金とは、中小企業等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDXの推進、サイバーセキュリティ対策、インボイス制度への対応等に向けたITツールの導入を支援するための補助金です
政府の2024年度補正予算に、IT導入補助金も含む中小企業生産性革命推進事業として3400億円が盛り込まれました。
申請類型
- 通常枠
- 複数社連携IT導入枠
- インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)
- セキュリティ対策推進枠
補助対象経費
- ITツールは1機能なら50万円まで。2機能以上なら350万円まで
- PC・タブレット等は10万円まで
- レジ・券売機等は20万円まで
補助上限
補助額は、ITツールがカバーする業務プロセスが1~3つまでなら5万~150万円。4つ以上なら150万~450万円となります。
補助率は中小企業の場合原則1/2ですが、3ヵ月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員数が全従業員数の30%以上であることを示した事業者は2/3となります。
3.小規模事業者持続化補助金 2025
中小企業庁より、令和6年度補正予算案(中小企業・小規模事業者等関連予算)が発表されており、その中に今後の「小規模事業者持続化補助金」についての記載があります。
持続化補助金 2025年度も公募濃厚
令和6年度補正予算案(中小企業・小規模事業者等関連予算)の資料に2025年度の小規模事業者持続化補助金について以下の記載があります。
生産性向上支援の拡充
(ものづくり補助金、IT導入補助金、持続化補助金、事業承継・M&A補助金)
【3,400億円(生産性革命推進事業)の内数】
中小企業・小規模事業者の設備投資、販路開拓、IT導入、事業承継等を支援
例えば、以下の措置拡充を実施
最低賃金近傍の事業者に対する支援として、補助率を1/2→2/3に引上げ(ものづくり補助金、IT導入補助金
引用:経済産業省HPより「令和6年度補正予算案(中小企業・小規模事業者等関連予算)」
詳しい内容については、以下のリンクをご覧ください。
小規模事業者持続化補助金の詳細はこちら
申請スケジュールや注意点、採択のポイントなどを詳しく解説しています。準備を進める際の参考にぜひご活用ください!
2025年度 持続化補助金の申請類型
最も選択されるのは「通常枠」ですが、追加要件を満たせば「賃金引上げ枠」や「創業枠」などの特別枠にも申請できます。また2024年1月1日に発生した能登半島地震の被災事業者の方はより優遇して補助を受けられる「災害支援枠」に申請できます。
申請枠によって要件や提出書類が異なりますので、詳しく各記事で説明している内容をご覧ください。
4.事業承継引継ぎ補助金 2025
中小企業庁によると、事業承継・引継ぎ補助金とは、中小企業者と個人事業主が事業承継、事業再編・事業統合を契機に、新たな取り組みをする事業について、その経費の一部を補助することで、事業承継、事業再編及び事業統合を促進することを目的とする補助金です。
申請類型
- 事業承継促進枠
- 専門家活用枠
- PMI推進枠
- 廃業・再チャレンジ枠
補助対象経費
- 謝金
- 旅費
- 外注費
- 委託費
- システム利用料
- 保険料等
補助上限
買い手支援類型の補助率は、2/3ですが、100億企業要件を満たす場合、1000万円以下の部分は1/2、1000万円超の部分は1/3となります。
売り手支援類型の補助上限は、800万円を上限にデューデリジェンス費用の申請する場合に600万~800万円となります。
5.新市場進出補助金 2025
日本の中小企業・小規模事業者は、物価上昇や深刻な人手不足、最低賃金の引き上げなど、経営を取り巻く環境が一段と厳しさを増しており、従来と同じやり方では持続的な成長を見込むことが難しい局面に直面しています。こうした状況を打開し、市場での存在感を高めていくためには、新規事業への進出や既存事業の再編といった戦略的な変革が不可欠です。今後求められるのは、自社の強みを見極めながら、新たなビジネスモデルを創出し、成長軌道へと乗せる力です。
こうした挑戦を後押しするのが、新市場進出補助金です。
新市場進出補助金の要件
下記は令和6年度補正予算案に記載されている、新市場進出補助金の要件のポイントです。実際の公募時には多少変更される可能性はあります。
【想定される要件】
1. 企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦(新規性)
- 成長や事業拡大に向けた新たな事業展開を計画している。
- 新規性があり、既存事業との差別化が明確である。
2. 賃金要件
- 賃金引き上げを行う。
新市場進出補助金の補助対象経費
新市場進出補助金は、新事業進出や事業転換にかかる経費が補助対象となります。主な補助対象経費は以下のとおりです。
- 建物費
- 機械装置費
- システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
新市場進出補助金の詳細はこちらをご覧ください。
https://leon-strategy.com/r6_hosei_shinsijyo
6.中小企業成長加速化補助金 2025
中小企業成長加速化補助金は、意欲ある中小企業・小規模事業者の飛躍的挑戦を実現するため、売上高100億円超えを目指す中小企業への設備投資支援や、中小機構による多様な経営課題(M&A、海外展開、人材育成など)の支援を行う制度です制度です。
政府は、改正産業競争力強化法のもと、中堅企業を新たに定義し、成長意欲のある中堅企業への支援を強化しています。特に地域経済の活性化や外需拡大への貢献、さらには持続的な利益創出を通じた賃上げの実現を目指す企業が対象となり、その目安として売上高100億円超が一つの基準とされています。
中小企業成長加速化補助金の要件や補助対象
補助金の対象経費には、建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費などが含まれ、企業が成長戦略を具現化するための幅広い用途が認められる予定です。さらに、売上高100億円を目指す明確なビジョンや潜在力の提示、賃金引き上げなどの要件が設けられます。
こうした「売上高100億円企業」を目指す中小企業に対し、政府はリスクマネーの供給を含む多面的な支援を計画しています。具体的には、設備投資の補助、中小機構を通じたM&A、海外展開、人材育成といった経営課題への支援が予定されています。また、生産性革命推進事業の予算3400億円の一部を活用し、これらの取り組みを後押しする方針です。
7.中小企業省力化投資補助金 2025
申請類型
- 一般形
- カタログ型
カタログ型とは、清掃ロボット、自動券売機、スチームコンベクションオーブン、無人搬送車など、人手不足解消に効果がある汎用製品を「カタログ」に掲載し、中小企業等が選択して導入できるようにすることで、簡易で即効性がある省力化投資を促進する類型です。
補助対象経費
- 謝金
- 旅費
- 外注費
- 委託費
- システム利用料
- 保険料等
補助上限
一般型
- 5人以下…750万円(1000万円)
- 6~20人…1500万円(2000万円)
- 21~50人…3000万円(4000万円)
- 51~100人…5000万円(6500万円)
- 101人以上…8000万円(1億円)
カタログ型
補助率は1/2で、補助上限は従業員数によって異なります。()内は、大幅な賃上げを行う場合の上限額です。
- 5人以下…200万円(300万円)
- 6~20人…500万円(750万円)
- 21人以上…1000万円(1500万円)
2025年度補助金 申請相談窓口
DL推奨!R6年補正予算&R7年度版 補助金ガイド
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