ものづくり補助金製造業石川県

氷の計量と袋詰めを自動化し、海外と家庭に販路を広げる

株式会社クラモト氷業

石川県の製氷会社(従業員17名)国が公開している採択事例です

この事例のポイント

  • 祖父の代からの構想だった製氷業への転換を、父の代に新幹線の延伸を機に実現した。
  • 溶けにくい氷をつくる技術を磨き、アメリカへの輸出につなげた。
  • 自動計量器で袋詰めの工程から人の付きっきり作業をなくした。
  • コロナ禍で業務用の需要が減ると、家庭向けの小容量品と輸出で立て直した。

事業の経緯

1923年に創業し、長く氷の卸売を営んできた。祖父の代から製氷業への転換を考えていたが、融資が受けられず実現しなかった。父の代になり、北陸新幹線の延伸を機に鉄工所の跡地を工場にして融資を得て、2016年に製氷業に転じた。

5代目となる専務の発信がきっかけで、2018年にアメリカでの共同販売の話が持ち込まれ、2020年に輸出を始めた。ものづくり補助金で砕氷・計量・個包装の機械を順に入れ、輸出と家庭向けの小容量品に対応した。コロナ禍で2020年は大きく落ち込んだが、輸出と家庭向けの需要で売上を回復させている。

事業の内容

  1. 課題:卸売から製氷業への転換1923年の創業から氷の卸売を続けてきた。祖父の代から製氷業への転換を考えていたが融資が受けられなかった。北陸新幹線の延伸を機に鉄工所の跡地を工場にし、金融機関の融資を得て、2016年に製氷業に転じた。
  2. 取り組み:溶けにくい氷の技術マイナス8〜10℃で48〜72時間かけ、かき混ぜるように圧力を加えながら冷やすことで、気泡や不純物を除いた結晶の大きな氷をつくる。2015年ごろにはものづくり補助金で砕氷機械を入れ、砕氷の技術を取り入れた。野菜や肉の氷温熟成にも挑み、商品化はしなかったが氷の粒を制御する技術が上がった。
  3. 取り組み:輸出向けの自動計量2018年に商社勤めの日本人からアメリカでの共同販売を持ちかけられ、2020年から輸出を始めた。2019年に申請したものづくり補助金でコンピュータースケール(自動計量器)を入れ、アメリカ向けの分量に合わせて砕いた氷を量り、袋詰めまで自動でできるようにした。
  4. 取り組み:家庭向けの個包装コロナ禍で飲食店向けの業務用氷が急に減った。2020年6月に採択されたものづくり補助金で、かち割り氷の個包装機械を入れ、家で飲む需要に合わせた600gの小容量品をつくれるようにした。
  5. 取り組み:氷の定期配送別の補助金(事業再構築補助金)を使い、最初はグラスと氷をセットで送り、その後は氷だけを定期的に届けるサービスを立ち上げた。

補助金を使った経費

記事の内容から、ものづくり補助金の経費区分にあてはめた区分です。

機械装置・システム構築費砕氷機械
機械装置・システム構築費コンピュータースケール
機械装置・システム構築費かち割り氷の個包装機械

事業の効果

  • 袋詰めの工程に付きっきりの社員が要らなくなり、工程の時間が20%短くなった。
  • 製氷から袋詰めまでを5人から3人で回せるようになり、残る2人を成形などの工程に回せた。
  • 氷の総生産量が2.5倍になった。
  • アメリカ向け輸出は2020年と2021年にそれぞれ300%増え、2022年も40%増えた。
  • 2020年12月期は売上が前期比40%減ったが、2021年は10%増、2022年は30%増と回復した。

事業者の声

祖父の代から製氷業への転換を考えていましたが、融資が下りなかった。ところが、好材料が重なって父の代で実現できたのです。

水にはミネラルなど不純物や小さな気泡が含まれています。低すぎない温度で、かき混ぜるように圧力を加えながら冷やしていくと、気泡が剥がれ、不純物を取り除きながら凍らせることができる。そうしてできあがった氷は家庭で作られたものよりも結晶が大きく、結晶と結晶の間の隙間が少ないため、溶けにくくなるのです。

2014年に新婚旅行でラスベガスに行ったとき、ホテルのバーで一杯20ドルもするカクテルを注文したら、不純物の多い残念な氷とともに出てきたのです。その頃からブログで、いずれは海外にクラモト氷業の氷を送り出したいと発信し続けてきました。

最初は、父に『詐欺を疑いたくなるほどよくできた話だから気をつけろ』と言われました。最終的にはやってみれば良いと了承してくれました。

砕いた氷の重さを測って、一定の分量だけ出して、パッケージ化するところまで自動化できるようになりました。その結果、以前は一人の社員が付きっきりで行っていた袋詰めの工程をゼロにすることができ、その工程に要する時間も20%短縮することができました。

この挑戦によって氷の粒のコントロール技術が格段に向上した。

コロナ禍で2020年は過去最悪の業績に転落しました。事業縮小は避けられないだろうというところまで追い詰められましたが、21年、22年と倍々で売上が伸びたのです。

自宅で飲むお酒に合わせて初回はオリジナルグラスと氷をセットで送り、その後は氷だけを定期配送するサービスです。

石川県の製氷会社(従業員17名)
出典

今後の展望

氷の定期配送サービスを本格化し、消費者に直接届ける事業を伸ばす。専用サイトで好みのお酒や音楽に合わせて氷やグラスを提案する仕組みも計画している。創業100周年を機に、企業向け中心から消費者向けへの展開を進める。

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