事業承継・M&A補助金令和5年度 第6回・経営革新枠 M&A型卸売・小売静岡県

食品卸が廃業する飴菓子の製造を引き継ぎ、作り手に転じる

株式会社丸繫

静岡県の食品卸売業(従業員11名)国が公開している採択事例です

この事例のポイント

  • 取引先の廃業が続き、承継時には売上が毎月1割ずつ減っていた。
  • 仕入先が菓子部門をやめると知り、自ら引き継ぎを申し出て、商工会議所の仲立ちで事業譲渡がまとまった。
  • 1回目の申請は通らず、商工会議所の助言で計画書と申請書を見直して2回目で採択された。
  • 製造の記録を取って条件を探り、障害福祉施設と工程を分け合う体制で安定した製造にこぎつけた。

事業の経緯

1953年に設立し、調味料や缶詰などの加工食品を県内のスーパーや小売店に卸してきた。現代表は機械メーカーでの勤務を経て2001年に入社し、2015年に三代目として事業を継いだ。そのころには地域の取引先の廃業が続き、売上は毎月1割ずつ減り、採算の悪い仕事も増えていた。

2023年、仕入先から菓子部門を廃業するという知らせを受け、自ら引き継ぎを申し出た。商工会議所の仲立ちで事業譲渡がまとまり、倉庫を製造の場に改修するために事業承継・引継ぎ補助金を申請した。1回目は不採択だったが、商工会議所の助言で見直して採択され、卸から菓子製造への転換を進めている。

事業の内容

  1. 課題:取引先の廃業と利益率の低下調味料や缶詰、即席めんなどを県内のスーパーや小売店に卸してきたが、地域の取引先の廃業が続き、2015年の承継時には売上が月に1割ずつ減っていた。売上を補うために受けた仕事は採算が悪く、利幅の薄い商品は値下げ競争になりやすかった。
  2. 取り組み:菓子部門の事業譲受2023年、仕入先から菓子部門を廃業するという知らせが届き、事業を続けさせてほしいと申し入れた。先方がすでに相談していた商工会議所が間に入り、製造機械一式、ブランド名、包装や意匠の権利、約半年の製造技術の指導を引き継ぐ条件で事業譲渡がまとまった。価格は出荷量と今の売上から投資を何年で回収できるかを試算し、自社の販路で回収できると判断して先方の希望額を受け入れた。
  3. 取り組み:倉庫を製造の場に改修改修費が大きくなるため、自ら補助金を調べて商工会議所に相談した。1回目は自分で書いた計画で不採択となり、2回目は商工会議所の助言で計画書と申請書を見直して採択された。補助金で、倉庫だった建物を菓子づくりに必要な環境にするための電気・ガス設備工事と壁面工事を行い、熱処理を行う設備も新しくした。
  4. 取り組み:製造条件の記録と分業承継1年目は夏と冬の温度や湿度の違いで製造に苦労した。仕上がりを確かめながら温度・湿度・空気の流れを細かく記録し、どの条件でうまくいき、どの条件で失敗するのかを試行錯誤で確かめた。製造を任せる担い手が育たなかったため、2年目に障害福祉施設と組んで工程をいくつかに分け、分担して作る体制を整えた。

補助金を使った経費

記事の内容から、事業承継・M&A補助金の経費区分にあてはめた区分です。

設備費電気・ガス設備工事
設備費壁面工事
設備費熱処理設備

事業の効果

  • 市内の土産店への供給率が、承継前の20%から90%に上がった。
  • 県内の道の駅や都内の百貨店でも売られるようになった。
  • 隣県の道の駅向けに、地元の味噌を使ったOEM商品の製造を受注した。
  • 地元産の牛乳を使った新商品を開発し、商品化した。
  • 承継2年目には、季節が変わっても安定した品質で作れるようになった。

事業者の声

当社を一度リセットする必要がある。それができるのは自分しかいない。

うちで事業を続けさせて欲しい。

商品の出荷量を先方にヒアリングし、現状の売上高との対比をしながら、買収に要する費用を何年で回収できるのかを試算しました。その結果、当社の販売チャネルへの展開などを通じて回収可能な投資額であると判断し、先方の提示価格を受け入れることとしました。

その都度、商品の仕上がりを確認しながら、温度・湿度・空気の流れを細かく記録しました。どのような条件で完成度の高い商品ができ、どの条件が失敗につながるのかを仮説立てし、試行錯誤を重ねていきました。

みそ玉づくりを続けてくれてありがとう、というお手紙を地域のお客様から頂くことがあります。こうした手紙を頂くことで、自分たちは単に自社のためだけに事業を行っているのではないのだと気づかされます。

静岡県の食品卸売業(従業員11名)
出典

相談先と計画づくり

商工会議所富士宮商工会議所

引き継ぐ菓子のブランド力と自社の卸の販路を組み合わせれば事業として成り立つ、という筋道を立てた。出荷量と売上から投資の回収年数を試算し、1回目の不採択のあと計画書と申請書を見直した。

今後の展望

引き継いだブランドを自社の販路で広げること、小売店のプライベートブランド商品のOEM製造、地域の特産品を使った新商品の開発の3つを柱にする。後継者がいない食品の作り手の事業を引き継ぎ、地域の食文化を次の世代へつなぐことをめざす。

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