衣料品卸を継ぎ、自社ブランドと共創の場で価値をつくり直す
竹栄株式会社
北海道の衣料品卸売業(従業員32名)国が公開している採択事例です
この事例のポイント
- 自社で企画・生産をせず、卸の枠から踏み出せていないことを課題ととらえた。
- ネット通販の部署を立ち上げ、北海道の気候に合う自社ブランドを段階的に育てた。
- 事業承継の補助金でフロアを改装し、社員と取引先が一緒に商品を考える場をつくった。
- 経営方針と中期経営計画を社内に公開し、社内のやり取りも見える形にした。
事業の経緯
和歌山産の起毛生地を船で北海道に運んで売ったことから事業が始まり、1928年に小樽で正式に創業した。1950年に会社を設立し、1970年に本社を札幌へ移して衣料品の卸売を続けてきた。現代表は大学卒業後に市役所に勤め、物産展や特産品の価値づくりに携わった経験を持つ。
2008年に先代から声がかかって入社し、インターネット事業部を立ち上げて自社ブランドを育てる方向に舵を切った。一方で、社内は経営者と社員の対話が少なく、新しい取り組みが生まれにくい状態だった。地元の商工会議所の支援を受けて事業承継・引継ぎ補助金を申請し、フロアを共創の場に改装した。
事業の内容
- 課題:卸の枠から出られない自社で商品の企画や生産を行っておらず、卸売の枠組みから十分に踏み出せていなかった。会社の歴史やノウハウを生かしきれていないことに問題意識があった。
- 課題:閉じた職場経営者と社員の対話が少なく、与えられた業務をこなすだけの閉じた職場だった。社員は商品在庫の間に分かれて働いており、一緒に新しい商品や販路を考えることが難しかった。
- 取り組み:ネット通販と自社ブランド直接の販売と在庫管理を自社で行うため、インターネット事業部を立ち上げた。最初は他社ブランドを扱い、段階的に自社ブランドへ切り替えて販売先を絞って育てた。北海道の気候に合った機能とデザインを追求している。
- 取り組み:社内の対話と方針づくりグループウェアを導入し、社内のやり取りを見える形にして履歴も残るようにした。業務のデジタル化による効率化、ブランディングによる企業価値の向上、社内で掲げる独自の戦略という3つの方針を定め、中期経営計画をつくって社内に公開した。
- 取り組み:フロアの改装社員が一か所に集まっていつでも話せ、経営者・社員・取引先が一緒に商品を考えられる空間にするため、補助金を使ってフロアを改装した。春と秋の年2回、新商品の展示会を開き、常設の展示も行う。取引先に来社してもらい、商談や商品企画をする形に移した。
- 取り組み:無人店舗と会員の声本社1階に登録会員制の無人店舗を設け、本人確認をしたうえで24時間買えるようにした。ネット通販の商品の受け取りにも対応する。登録会員から商品開発に協力するアンバサダーを募り、感想や要望を集めている。
補助金を使った経費
記事の内容から、事業承継・M&A補助金の経費区分にあてはめた区分です。
| 設備費 | フロアの改装工事 |
|---|
事業の効果
- 取引先の小売店と共同で開発する案件が増え、大手量販店への販路が広がった。
- 自社ブランドの認知が高まり、ネット通販の売上が伸びた。
- 年2回の展示会や常設展示で、取引先が来社して商談・商品企画をする形が定着しつつある。
事業者の声
自社ブランドへのこだわりは、会社の歴史やノウハウを活かしきれていない現状への問題意識、そして小樽市役所に勤務していた頃に物産のブランド価値向上に取り組んだ経験が基になっていると思います。
当時は経営者と社員間のコミュニケーションがなく、日々与えられた業務をこなすだけであり、閉鎖的な職場環境でした。このままでは、商品開発や販路拡大などの新しい取組はできないと考えていました。
卸売業の本質は「繋ぐ」ことにあると考えています。取引先やお客様だけでなく、地域の皆様とも繋がりながらアイデアを出し、北海道の地域性を活かした商品開発をさらに進めていきたい。また、アンバサダーをはじめとした繋がりを通じて、北海道の内外に向けた情報発信も強化し、将来的には、海外展開も視野に入れていきたいと考えています。
北海道の衣料品卸売業(従業員32名)
出典
- 中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事(当社が書き直し・要約。事業者の声は記事中の発言の引用です)
- 経費区分は、事業承継・M&A補助金の公募要領の区分に当社があてはめたものです
- 採択率:中小企業庁「採択結果」(15次)
相談先と計画づくり
| 商工会議所 | 札幌商工会議所 |
|---|
業務のデジタル化、ブランディングによる企業価値の向上、社内で掲げる独自の戦略という3つの方針に経営理念を落とし込み、中期経営計画にまとめた。社員と取引先が共創できる空間づくりを計画の柱にした。
今後の展望
取引先や客だけでなく地域の人ともつながりながら、北海道の地域性を生かした商品開発を進める。アンバサダーなどを通じて道内外への発信を強め、将来は海外展開も視野に入れる。フロアの一部を市民に開放し、有料のコワーキングスペースとして運営する考えもある。
この事例の取り組み
卸売・小売のほかの採択事例
事業承継・M&A補助金について
直近の15次の採択率は61.3%(応募551件・採択338件)。いま申請できる回の締切・補助額・対象経費は、最新の公募の解説でまとめています。
最新の公募を見る