自社ECサイトを開き、観光みやげ頼みから全国の個人客へ
有限会社千葉恵製菓
岩手県の和洋菓子メーカー(従業員98名)国が公開している採択事例です
この事例のポイント
- 東北の人口減少とコロナ禍で、地元のみやげもの中心の販売に限界が見えた。
- 大手モールでの失敗を踏まえ、顧客情報を自社で使える自社サイトを選んだ。
- 電話注文と郵便振替の手間を、ECサイトとカード決済で減らした。
- 観光で知った人が、遠くの地域からネットで買うようになった。
事業の経緯
戦後、祖父が果物を仕入れて売り始めたことが原点となり、1962年に父が菓子店を創業した。1973年に有限会社に改め、1998年に現社長が就任した。東北6県のスーパーやコンビニ、みやげもの店を中心に和洋菓子を売ってきた。
震災後の復興需要が5年ほど続いたあと売上の減少が目立ち、大手モールに出店したが成果が出ず撤退した。さらに東北の人口減少とコロナ禍による観光客の減少で、みやげもの店の販売が大きく落ち込んだ。社内システムを担当する会社からの提案を受け、IT導入補助金で2021年6月に自社ECサイトを開いた。
事業の内容
- 課題:市場の縮小とコロナ禍東北6県のスーパーやコンビニ、みやげもの店を中心に売ってきたが、東北は人口が減り、地域の外への転出も増えていた。コロナ禍で観光客が減り、みやげもの店で1日1,000箱売れていた商品が0箱になるなど、販売が大きく落ち込んだ。
- 課題:電話注文と過去の失敗電話注文は宛先や到着日時を1件ずつ確かめるため、1件に10分以上かかり、代金も郵便振替だけだった。以前に大手モールへ出店した際は、顧客情報を自由に使えず、費用も想定より膨らみ、撤退に約半年かかった。
- 取り組み:自社ECサイト社内システムを担当する会社の社長から、パッケージで自社のサイトをつくる提案を受けた。IT導入補助金の対象になると分かったことも後押しになり、2021年6月に自社ECサイトを開いた。営業企画部長が直接担当し、管理や運用の方法をシステム会社と確かめた。
- 取り組み:決済と集客支払いを便利にするためクレジットカードと代金引換の決済を入れ、個人宅向けの梱包も用意した。おみやげの包みへのチラシの同封、電話注文の際の案内、SNSでの発信で知らせ、毎週の商品会議で社内から改善案を集めている。
補助金を使った経費
記事の内容から、デジタル化・AI導入補助金の経費区分にあてはめた区分です。
| ソフトウェア購入費 | ECサイト構築パッケージ |
|---|
事業の効果
- 2021年10月から12月の3か月で、個人客から250件近くの注文があった。
- 以前は月10件前後だった電話注文に比べ、約8倍に増えた。
- 2022年に入っても、販売のペースは少しずつ上がっている。
- 関東や関西よりも、四国や東海からの注文が多いことが分かった。
事業者の声
当社のお菓子は東北6県のスーパーやコンビニ、みやげもの店などを中心に販売してきました。ところが、コロナ禍で観光客が減り、みやげもの店で日に1,000箱売れていた商品が0箱になるなど、販売数は大きく落ち込みました。何か手を打たなければとはじめたのがネット販売です。全社の売上高から見ればまだわずかですが、手応えは十分にあります。
東北地方はもともと6県合わせても神奈川県より人口が少ないのに、自然減に加えて東北エリア外への転出も増えていました。マーケットが東北地方だけでは、業績の先細りは明らかでした。
失敗の経験から不安はありましたが、いまの時勢を鑑みたらネット通販は不可欠だろうと判断しました。営業企画部長が直接担当し、管理や運用方法をシステム会社と確認していきました。特に大手ECサイトを利用したときの不満がどう解消できるかは重要な問題でした。
観光で東北を訪れたときに、みやげもので当社のお菓子を知っていただき、ネット通販で購入されているようです。販売データを見ていると、いろいろ気づくことがありますね。
半年が経過して、以前よりおもしろさを感じています。スマホで管理できて、顧客分析に役立つ。経費は安く抑えることができています。
岩手県の和洋菓子メーカー(従業員98名)
出典
- 中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事(当社が書き直し・要約。事業者の声は記事中の発言の引用です)
- 経費区分は、デジタル化・AI導入補助金の公募要領の区分に当社があてはめたものです
- 採択率:中小企業庁「採択結果」(26年4次)
相談先と計画づくり
| ITベンダー |
|---|
大手モールで顧客情報を使えず費用も膨らんだ失敗を振り返り、その不満をどう解消できるかを重視した。自社のサイトにすることで顧客情報を販売に生かし、管理や運用の方法をシステム会社と確かめた。
今後の展望
ECサイト向けの商品開発を進め、品数を増やす。ネット販売の売上比率を高め、安定した事業の柱に育てることが当面の目標である。
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