デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)福祉・医療兵庫県

バイタル記録をタブレット化し、利用者と向き合う時間を増やす

有限会社鈴木在宅ケアサービス

兵庫県の在宅介護事業者(従業員約110名)国が公開している採択事例です

この事例のポイント

  • 異業種から事業を継いだ現代表が、業界の慣習になじみながら他業界のやり方を取り入れている。
  • 事務が増えて利用者と接する時間が減るのは本末転倒と考え、ITツールを検討した。
  • 先代からつきあいのあるベンダーの紹介で、介護向けのソフトとタブレットを入れた。

事業の経緯

薬剤師だった現代表の母が1999年に創業した。居宅介護支援、訪問介護、通所介護、サービス付き高齢者向け住宅などを、地域ごとにエリアを区切って一つの窓口で提供している。職員の多くは地元に住む人で、パートから社員になる人も多い。

現代表は大学卒業後にタイヤ販売会社で法人営業をしていたが、事業拡大の時期に母から誘われて介護事業を継ぎ、代表になって約9年になる。介護業界はデジタル化が遅いと感じ、業界の慣習になじみながら他業界のやり方を取り入れてきた。デイサービスの利用者が増えて紙での管理が難しくなり、IT導入補助金で介護向けソフトとタブレットを入れた。

事業の内容

  1. 課題:紙での情報管理デイサービスの登録者が約60名に増え、1日に30人ほどの利用者情報を管理する必要があった。手書きや紙での対応が難しくなり、事務の負担で利用者と接する時間が減っていた。
  2. 課題:記録の順番待ちと転記体温・血圧・脈拍・呼吸といったバイタルの記録は事業所のパソコンで入力する必要があり、台数が限られて順番待ちが起きていた。複数の帳票に同じ情報を書き写す手間もあった。
  3. 取り組み:介護向けソフトの導入事務機器などを頼んでいた関係で先代からつきあいのあるベンダーから、介護福祉向けのITツールを紹介された。利用者情報の管理と日報業務をデジタル化し、記録を一元管理するために導入した。
  4. 取り組み:タブレットでの記録ソフトと同時にタブレット端末を入れ、事業所のパソコン以外からでも記録できるようにした。導入の前後でベンダーのサポートが丁寧で、対応も早かった。

補助金を使った経費

記事の内容から、デジタル化・AI導入補助金の経費区分にあてはめた区分です。

ソフトウェア購入費利用者情報管理・日報ソフトウェア

事業の効果

  • タブレットから記録できるようになり、パソコンの順番待ちがなくなって記録の時間と手間が大きく減った。
  • 介護記録が一元管理され、複数の帳票への転記がなくなった。
  • 補助金は導入のハードルが高いと思っていたが、効果と資金面の助けが大きかった。

事業者の声

もともと私は大学卒業後にタイヤの販売会社で、法人営業をやっていました。弊社は薬剤師だった母が1999年に創業した会社なのですが、事業を拡大するタイミングで母から介護事業をやってみないかと話しがあり、その話しを受け今現在は私が代表を務めています。代表に就任して9年くらい経過したところです。

介護業界は、他の業界に比べてデジタル化や業務効率化への変革速度が遅いイメージがあります。他業界でのスタンダードを少し持ってくるだけで、色々な事が変わると思うのですが、業界ごとに色や風習等があるのも事実です。しっかりと業界の色に馴染んでいきながら、他業界の感性を入れていくのが重要だと思っています。

弊社のスタッフは、概ねこの地域に住む方々で構成されています。地域密着というのはサービスを利用して頂く方だけではなく、その地域の雇用も生み出すことで、より地域に貢献したいと思っています。特に社員に関しては募集して採用するというよりは、主婦の方がパートタイマーから社員になるケースが多いです。

デイサービスの登録者は約60名前後、利用者が増えれば管理が必要となる情報量も増えるため、さすがに手書きや紙ベースでの対応も難しくなってきていましたし、何より事務作業が負担となり利用者の方々と接する時間が減ってしまうのは本末転倒ですので、その部分をまずは解決できないかということで、ITツールの導入を検討していました。

1つは、バイタル※等の日々の記録が効率化できたことです。利用者のバイタル記録について、以前は事業所のパソコンで入力する必要があり、事業所のパソコンの順番待ちのような場合もあり非常に非効率でした。ITツール導入後は、ソフトと同時に導入したタブレット端末を活用して、数が限られた事業所のパソコン以外からでも記録が可能になり、入力の簡易化ができ、パソコンの順番待ちも無くなったため、時間と手間が大幅に削減され、業務効率が向上しました。2つめは、介護記録情報が一元管理できるようになったことです。以前までは複数の帳票に同じような情報を転記する必要がありましたが、情報が一元化されたことで転記等の手間がなくなりました。日に30人程度の利用者情報を管理する必要がありますので、この点が一元管理できるのは非常に大きなメリットでした。IT導入補助金を実際に活用するまでは、ハードルが高いイメージがありましたが、チャレンジしてみるとその効果や資金面での恩恵も非常に大きいと感じました。

介護業界も少しずつIT化は進んでいるものの、他業界と比べて見ればまだデジタル化は、遅い方だと思っています。私としては最先端を求めるというよりは、日常業務から少しずつIT化を進めていき、介護スタッフが利用者との時間をできるだけ増やしたいと思っています。そしてそのような取り組みの中で介護業界の標準を少しだけ引き上げる存在でありたいと考えています。

兵庫県の在宅介護事業者(従業員約110名)
出典

相談先と計画づくり

ITベンダー

利用者と接する時間を取り戻すことを目的に置き、バイタル記録の入力と帳票への転記という二つの手間に絞ってツールを選んだ。

今後の展望

最先端を追うより、日常の業務から少しずつIT化を進め、介護スタッフが利用者と向き合う時間を増やす。そうした取り組みで、介護業界の標準を少しずつ引き上げる存在になりたいと考えている。

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