小規模事業者持続化補助金卸売・小売山梨県

食物アレルギーに対応した米粉パンの店を開く

さんぼんパン

山梨県の米粉パン店国が公開している採択事例です

この事例のポイント

  • 卵・乳製品・小麦グルテンを使わない米粉パンの店がなく、同じ悩みを持つ人を助けたいと起業を決めた。
  • アレルギー対応のため設備をすべて新品でそろえる必要があり、補助金と銀行融資で開業資金の悩みを解消した。
  • 申請書をつくるなかで必要な売上が分かり、月・曜日ごとに目標を立てて店を運営している。

事業の経緯

デザイン会社に勤めていた代表は、長男の食物アレルギーが分かり、離乳食から自分でつくる生活になった。子どもにパンやお菓子を食べさせたいと米粉パンを学ぶうちに、同じ悩みを持つ人が多いのに対応する店がないと知り、起業を考えるようになった。市の中心部のレンタルキッチンで月1回の販売を始めると開店前から行列ができ、マルシェや自然食品店でも売るようになった。

しかしレンタルキッチンでは毎回の掃除と器具の持ち込みが重い負担で、営業日を増やせなかった。自分の店を持つと決めたが、アレルギー対応のため設備をすべて新品でそろえる必要があった。市の創業セミナーで持続化補助金を勧められ、商工会議所の支援で申請書をまとめて採択され、銀行の融資も受けて2023年11月に開業した。

事業の内容

  1. 課題:同じ悩みを持つ人がいる長男の食物アレルギーが分かり、離乳食から自分でつくる生活になった。子どもにパンやお菓子を思う存分食べさせたいと米粉パンの教室や研修で学ぶうちに、同じ悩みを持つ人が多いのに、アレルギー対応の米粉パンを出す店がないことに気付いた。
  2. 課題:レンタルキッチンでは増やせない市の中心部のレンタルキッチンで月1回の製造・販売を始めると、開店前から行列ができた。ただ、ほかの食材の成分が残らないよう製造前に約30分かけて掃除し、器具もすべて持ち込む必要があり、営業日を増やせなかった。マルシェや自然食品店での販売も始め、自分の店を持つことを決めた。
  3. 取り組み:申請書づくりで計画を具体化市の創業セミナーで持続化補助金(創業枠)を勧められ、地元の商工会議所に相談した。経営指導員が制度をかみ砕いて説明し、申請書の構成の整理や小見出し・図表の追加など、読みやすくするための助言をした。申請書を書くなかで、利益を残すのに必要な売上高がはっきりした。
  4. 取り組み:業務用設備で開業家庭用のオーブンや発酵器では十分な量のパンがつくれず、アレルギー対応のため設備はすべて新品が必要だった。大量のパンを焼くために補助金でスチームコンビオーブンを購入し、小型の発酵器や冷蔵冷凍庫もそろえた。補助金の採択に続いて銀行の融資も受けられ、2023年11月に店を開いた。

補助金を使った経費

記事の内容から、小規模事業者持続化補助金の経費区分にあてはめた区分です。

機械装置等費スチームコンビオーブン

事業の効果

  • 2023年11月に店を開き、開店時に20種類以上の米粉パンを並べた。
  • 週3日(火・木・土)、10時から16時まで営業している。
  • 必要な売上高を月間、さらに土曜と平日に分けて日々の目標を立て、目標の個数を売り切るまで店を開けている。
  • 県外からもうわさを聞いたお客さまが訪れる。

事業者の声

食物アレルギーのため離乳食も自分で作る必要がありました。当時は材料として店頭に並ぶ食品の表示が分かりにくく、知識と注意力が必要。うっかり見落として反応が出てしまい、慌てて薬で抑えるか病院へ直行する——その繰り返しでした。

子供にお菓子やパンを思う存分食べさせてあげたい。

研修で受講者と話すうちに、同じ境遇で悩む方が多いことに気付きました。皆さん外出しづらい、旅行に行っても食べるものがないというストレスを抱えており、私だけじゃなかった。当時食物アレルギー対応の米粉パンを提供するお店は見当たらず、私がこうした方たちを救いたい——それが起業を考えるようになったきっかけです。

食物アレルギーの方を救いたいという思いで始めた事業ですが、自分がつくりたいものをつくり、買った人に喜んでもらえることに、やりがいを感じると共に自信もつきました。一方で、お客さまからはもっと購入したい、営業日を増やしてほしいとの声を頂きましたが、それには応えることができなかった。

当時はマルシェへの出店や自然食品のお店での販売なども開始し、パンづくりを続けることの不安はなくなっていた。そこでもっと自由にパンをつくれるようお店を持つことにしました。

商工会議所へ相談するよう勧められましたが、これまで縁がなく何をしている所なのかも知らなかったため、電話をするにも勇気が必要でした。意を決してかけたところ、出てくださったのが志村さんでした。

すごく分かりやすくて、これならできそうと勇気が湧きました。

申請書を作るのはとても楽しかったです。文書を書く仕事の経験はありませんが、やりたいことは全て決まっていたから、作り出したら止まらない。書きながら『これもできるかも』『あれはどうだろう』という気付きが止まらなくて、新たな発見の連続でした。

小規模事業者持続化補助金の申請を経験したことで自分が成長したと感じるのが、売上目標を立てるようになったこと。申請書を作ることで、お金を残すために必要な売上高が分かったため、それを月間、さらに土曜と平日へ分解して、日々の目標を設定している。その達成に必要な個数のパンをつくっているので、売り切るまではお店を閉めない。閉店時刻は16時だが、天候によっては売れ行きが鈍い日もあり、そうした日は閉店を遅らせている。すると会社帰りの方が立ち寄って最後のパンを買ってくれると『やった!』ということもしばしば(笑)。

これから食物アレルギーに対応したサンドイッチやデザートなども提供していきたい。

さらにその次の段階では、冷凍パンをネットショップで販売したい。山梨県外の方にもパンを届けて、食物アレルギーの方に喜んでもらいたい。

山梨県の米粉パン店
出典

販路開拓の手段

  • 自分の店:2023年11月に開業し、週3日営業で20種類以上の米粉パンを並べる。
  • レンタルキッチンでの販売:開業前に月1回の製造・販売を続け、食物アレルギーのある家族を持つお客さまをつかんだ。
  • マルシェ・自然食品店:開業前から出店や委託販売を始め、続けられる手応えを得た。
  • ネットショップ(計画):冷凍パンを通信販売し、県外の食物アレルギーのある人にも届ける。

相談先と計画づくり

商工会議所甲府商工会議所
県などの公的支援機関

伝えたい思いが強く長くなりがちな申請書を、全体の流れに沿って構成し直し、小見出しや図表で読みやすくした。書く過程で、利益を残すために必要な売上高を明らかにした。

今後の展望

食物アレルギーに対応したサンドイッチやデザートも出していく。その次は冷凍パンをネットショップで売り、県外の食物アレルギーのある人にも届けたい。

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