老舗旅館を継ぎ、空きスペースを体験の部屋に変える
有限会社大和館
神奈川県の温泉旅館国が公開している採択事例です
この事例のポイント
- 旅行会社の運転手やバスガイドが使う割安な宿から、一般の客にも選ばれる宿への転換をめざした。
- 補助金の要件(5年以内の承継計画)が、事業を継ぐ決心のきっかけになった。
- 1回目は不採択だったが、文面を分かりやすく直して次の公募で採択された。
- 商工会議所は中身を指示せず、問いを重ねて女将自身に考えてもらった。
事業の経緯
江戸時代初期から続く源泉を引く温泉旅館で、運営会社は1952年に設立された。長く旅行会社の運転手やバスガイドの定宿として親しまれ、割安な宿という位置づけだった。現女将は大手リゾート施設運営会社で営業企画を担当し、旅館の家の男性と結婚した。
義母が引退を望んだことから、夫は外で働き続け、女将が勤め先を辞めて経営を継いだ。コロナ禍で経営が落ち込むなか、補助金の承継要件が後押しとなって申請に踏み切った。1回目は不採択だったが、次の公募で採択され、空きスペースを多目的室に改修して体験企画を始めた。
事業の内容
- 課題:待ちの営業と客層の偏り長く旅行会社の運転手やバスガイドの定宿として、割安な宿という位置づけだった。コロナ禍で経営が落ち込み、常連を待つだけの営業から抜け出し、時代のニーズに合った、適正な宿泊料をいただける宿に変える必要があった。
- 取り組み:事業の承継女将は大手のリゾート施設運営会社で営業企画を担当し、選ばれるきっかけを自分からつくることを学んだ。旅館の家の男性と結婚後、義母が引退を望み、夫は外の会社に勤め続けたまま、女将が勤め先を辞めて経営を継いだ。補助金の公募要件が、承継に踏み出すきっかけになった。
- 取り組み:申請書づくり頭の中にあった考えやアイデアを申請書式に書き出し、地元の商工会議所の経営指導員に見てもらった。指導員は細かな指示はせず、どんな客に来てほしいのか、そのために何をするのかを問い続けた。売上や経費の見込みの立て方も支援を受けた。1回目は不採択だったが、文面を分かりやすく直して再申請し、採択された。
- 取り組み:多目的室の改修温泉に入る以外の体験を用意して幅広い客層を呼び込むため、使っていなかったスペースを改修し、セミナーや体験企画を行う多目的室をつくった。館内の通路も整えた。多目的室では書道・絵画・英会話の教室や温泉のセミナーを開いている。
- 取り組み:温泉水を使った書道体験書道の師範資格を生かし、温泉水を使って書を描く体験を始めた。温泉の香りを楽しみながら温泉の知識に触れる時間を設け、客室の緑茶を温泉水に混ぜて書くことで、入浴前の水分補給の大切さも伝えている。
補助金を使った経費
記事の内容から、事業承継・M&A補助金の経費区分にあてはめた区分です。
| 設備費 | 多目的室の改修工事 |
|---|---|
| 設備費 | 館内通路の整備 |
事業の効果
- 補助金申請時の事業計画を上回る売上を達成した。
- 多目的室で書道・絵画・英会話の教室や温泉セミナーを開けるようになった。
- 申請書づくりを通じて、どの段階で何をすべきかがはっきりした。
事業者の声
ぜひ挑戦してみたい。
補助金公募の条件にもなっているし、自分が事業を承継するきっかけになると考えました。
頭の中にあったさまざまな考えやアイデアを申請書式に書き出し、内田さんに見ていただきました。自分が書いた内容を、補助金の申請書式にどのように落とし込むのが良いのか、事業計画の売上や経費の見込み数値をどのように作成すれば良いのかといった点を中心に、支援していただきました。補助金の申請書や計画書の作成を内田さんと一緒に進めていただいたことで、これから自分がどの段階で何を行っていくべきかが明確になりました。
箱根の温泉宿で書道教室を開く意義を見い出し、新たな取り組みとして「温泉水書道®」(商標登録申請中)を進めています。温泉水ならではの香りを楽しみながら、温泉に関する知識に触れる時間も設けています。また、入浴前の水分補給の大切さを体感していただけるよう、客室に備え付けの緑茶を温泉水に混ぜて書を描くというユニークな工夫も取り入れています。さらに今年からは、小学生の夏休みの宿題を特別な体験として楽しめる企画も進行中です。
現在は、私が中心となって、顧客対応から事務作業まで幅広く担当しています。今後は、パートタイムスタッフの雇用も視野に入れ、自分以外の働き手の確保に取り組んでいきたいと考えています。
神奈川県の温泉旅館
出典
- 中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事(当社が書き直し・要約。事業者の声は記事中の発言の引用です)
- 経費区分は、事業承継・M&A補助金の公募要領の区分に当社があてはめたものです
- 採択率:中小企業庁「採択結果」(15次)
相談先と計画づくり
| 商工会議所 | 小田原箱根商工会議所 |
|---|
どんな客に来てほしいのか、そのためにどう動くのかという基本の問いに答えながら、女将自身が計画を組み立てた。書き出したアイデアを申請書式にどう落とし込むか、売上や経費の見込みをどう立てるかを整理した。
今後の展望
旅館を一棟まるごと貸すプランに取り組む予定。小学生が夏休みの宿題を特別な体験として楽しめる企画も進めている。いまは女将が接客から事務まで担っており、パートタイムの採用も含めて働き手の確保に取り組む。
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事業承継・M&A補助金について
直近の15次の採択率は61.3%(応募551件・採択338件)。いま申請できる回の締切・補助額・対象経費は、最新の公募の解説でまとめています。
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