薄畳による和モダン空間の提案での新規顧客拡大

山梨県の畳店が、ものづくり補助金で全自動の平刺・返縫機を導入し、床暖房対応の薄畳を作る取り組みをした採択事例です。

成果畳1枚あたりの製造時間 40分→30分

この事例のポイント

  • 畳の製造は村松さん一人で行っており、製造枚数に限界があった。
  • 平刺しと返し縫いを行う機械を最先端の機種に買い換え、新たな製造ラインを構築して、床暖房対応の薄畳の開発と作業全体の効率化を目指しました。
  • 畳1枚あたりの製造時間 40分→30分。ロボット導入により、全工程が30分で完了し、1時間に2枚の畳を製造できることが確認できました。

事業者のプロフィール

所在地山梨県 笛吹市
業種その他の製造業
技術分野機械制御
従業員数1人
設立1932年

事業の背景

同店は県内の工務店を主な取引先とし、新畳の製造販売に加え、表替えや裏返しなどのアフターケアにも力を入れている。住宅の洋風化により和室に敷く洋風になじみやすい薄畳の需要が増えており、住宅メーカーや工務店のサイトの和室プランもそのほとんどが薄畳を使った提案である。

一方で県内では畳の製造に対応している畳店が少ない。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力畳の製造は村松さん一人で行っており、製造枚数に限界があった。
  • 人手・技能平刺しの工程は機械による縫い付けが難しく手作業での仕上げが必須で、工程ごとに畳を別の機械に移したり向きを変えたりする必要があり人が付いていなければならず、同時進行が難しかった。
  • 生産能力畳1枚あたりの製造時間が40分かかっていた。
  • 新製品・新技術住宅の洋風化に伴い需要が増えている薄畳は、裁断や縫着の技術が難しく従来の機械や製造方法では量産が難しかった。
  • 品質・精度従来の機械では平刺しで±1~2ミリの誤差が生じることがあり、手作業の調整が必要だった。
  • 新製品・新技術業界全体として、顧客に畳の魅力をあらためてアピールできる新たな選択肢や提案を用意することが求められていた。

やったこと

平刺しと返し縫いを行う機械を最先端の機種に買い換え、新たな製造ラインを構築して、床暖房対応の薄畳の開発と作業全体の効率化を目指しました。導入したのは全自動平刺・返縫機両用ロボット『VICTORY』で、刃物の角度は0°~13°まで変更可能であり、薄畳や縁なし畳などの特殊な畳にも対応します。

パソコンで専用ソフトに畳のサイズや種類などを入力すると本体にデータが転送され、運転ボタンを押せば自動で作業します。厚さ15ミリの薄畳の試作では、工程③で生じやすい誤差の範囲と全工程にかかる時間を検証しました。

その結果、誤差なく縁付けができることと、全工程が30分で完了し、1時間に2枚の畳を製造できることが確認できました。

新しい製品・サービス:床暖房対応の薄畳

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

  • 畳1枚あたりの製造時間 40分→30分
  • 1時間に2枚の畳を製造できることが確認できた

ロボット導入により、全工程が30分で完了し、1時間に2枚の畳を製造できることが確認できました。機械が動いている間に他の作業ができるため作業効率が上がり、体の負担も減りました。

誤差なく縁付けができることも確認でき、未経験者や女性も機械オペレーターとして雇用できる設備になると見込んでいます。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.4 / 514観点のうち12観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性住宅の洋風化で薄畳需要が増える市場動向と、国産原材料・職人の技術を踏まえ、工務店30社との連携で新規顧客を狙う強みが示されている。
  • 4
    課題の認識と解決平刺しの手作業調整や製造時間40分/枚といった課題を認識し、全工程30分・1時間2枚という改善効果で解決している。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標製造時間が畳1枚40分から全工程30分へ、1時間2枚の製造が確認されており、効率化の目標達成の見通しが示されている。

もう一歩だった観点

  • 2
    波及効果・雇用業界全体の課題や地域で製造できる畳店が少ない点に触れるが、経済波及や雇用創出の国の補助理由は薄い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    創業1932年からの畳製造を継ぎ、薄畳やリフォームなど既存事業の延長で新製品開発に挑戦している点が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    住宅の洋風化で薄畳需要が増える市場動向と、国産原材料・職人の技術を踏まえ、工務店30社との連携で新規顧客を狙う強みが示されている。

  • 課題の認識と解決4

    平刺しの手作業調整や製造時間40分/枚といった課題を認識し、全工程30分・1時間2枚という改善効果で解決している。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標4

    製造時間が畳1枚40分から全工程30分へ、1時間2枚の製造が確認されており、効率化の目標達成の見通しが示されている。

  • 事業を進める体制3

    職業訓練校で4年学んだ一級畳製作技能士の代表が事業を担い、機械導入の経験も積んでいる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    床暖房対応・つまづきにくい薄畳という価値を示し、工務店の提案ニーズに合うことから選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    厚さ15ミリの薄畳の試作で誤差と全工程時間を検証し、工務店との連携による営業展開の方針が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    和室減少の中で薄畳は増加する需要があり、床暖房対応や和モダン空間といった高付加価値の提案で差別化を図っている。

公的補助の必要性2.5
  • 波及効果・雇用2

    業界全体の課題や地域で製造できる畳店が少ない点に触れるが、経済波及や雇用創出の国の補助理由は薄い。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献3

    最先端の全自動平刺・返縫機両用ロボットを導入し、製造ラインを構築して新たな製造方法を実現している。

政策面4.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及4

    山梨県笛吹市の地場で国産い草を使い、地域工務店と連携して新規顧客を開拓する地域密着型の事業である。

今後の展望

取引をしている工務店30社と連携し営業を展開していく。マイホームを検討している人の選択肢を広げたいという工務店のニーズにも合い、新規顧客の獲得が期待できる。

仕事が増えたら人を増やすことも検討している。

事業者の声

全自動なので、畳の向きを変えるといった作業がなく、人がついている必要はありません。この機械が動いている間、別の畳の框を縫うなど他の作業ができるので効率が上がりました。体の負担も減りました。

年を取ってくると、畳を作るだけでなく運ぶことも大変になってきます。例えば団地の5階から畳を上げ下ろしして…。だから仕事がこれ以上増えてきたら人を増やすことを考えなければならないですね。VICTORYならボタン操作で作業が可能なので、未経験者や女性の方も機械オペレーターとして雇用できる設備だと思います。

うまく話せるか自信がなく、当初は取材を受けるか迷った。補助事業や機械のことなど、日ごろから何でも相談している同業の先輩から『記念になるよ』と背中を押されて。貴重な経験になりました。

ものづくりの楽しさと、お客さんから『畳がきれいになった』と喜んでいただけるのがうれしくて、畳屋になって良かったなと思います。生まれ育った御坂は適度に自然豊かで、人も温かく、本当に良いところ。祖父の代からのお客さんも多く、支えられてきました。地域の皆さまのためにもこれからも頑張っていきたいですね

公式の事例集より(原文のまま)

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。