裁断工程を革新化することにより高級路線への転換する取組み

静岡県の製造業の会社が、ものづくり補助金で一枚切り自動裁断機を導入し、高級路線への転換を目指した事例です。

渥美縫製株式会社

成果裁断から縫製までの所要時間(1着あたり) 5時間→4時間

この事例のポイント

  • 超短納期の要請に加え、数百ある裁断を型紙に合わせて手作業で行うため、多くの時間を要していた。
  • 同社の強みを活かした一点物サンプル縫製の受注体制の構築を目指し、設備選定基準に合致した一枚切り自動裁断機ECOPIAを導入した。
  • 裁断から縫製までの所要時間(1着あたり) 5時間→4時間。自動裁断機の導入により裁断作業が自動化され、切断担当と裁縫担当を分けていた工程を1人で担当できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名渥美縫製株式会社
所在地静岡県 浜松市
業種繊維工業
資本金1億円
設立1976年

事業の背景

同社はデニムや皮以外のフルアイテムの縫製を行っており、ライン生産ではなく1点1点手作業でオーダー通りに仕上げる技術を持つ。プレタポルテ(高級既製服)ブランドからの一点物パターンオーダーの縫製が主な業務となっている。

近年はプレタポルテブランドからの縫製依頼が増加しており、ショーに出品する前のサンプルや試作段階の縫製の依頼が増えている。ショー向けの縫製品はデザインの盗用を防ぐためショーの直前に発注され、納期は2週間と超短納期となっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程超短納期の要請に加え、数百ある裁断を型紙に合わせて手作業で行うため、多くの時間を要していた。
  • 品質・精度一点物のため柄の位置や切り替わり、縞のパターンなどが細かく指定されており、裁断時の確認が必要となっていた。
  • 生産能力一点物のオーダーが増加し、ショー向けサンプルや試作の縫製依頼も増えて納期短縮の要請が急増していたが、1点ずつ手作業で縫製しているため短納期への対応が非常に困難だった。

やったこと

同社の強みを活かした一点物サンプル縫製の受注体制の構築を目指し、設備選定基準に合致した一枚切り自動裁断機ECOPIAを導入した。機器は専用にカスタマイズして試作を行い、同社のCAD/CAMと連動させることで精密な裁断に対応できることを確認した。

自動裁断機を導入して裁断作業の自動化を図り、同社のCAD/CAMと連動させた革新的裁断工程を構築した。導入後は切断担当と裁縫担当を分けず、一連の工程を1人で担当できるようになった。

裁断する生地にプロジェクターで図面を投影し、機械がカメラで投影された生地を撮影して裁断を行っている。

新しい製品・サービス:一枚切り自動裁断機ECOPIAを用いた革新的裁断工程によるプレタポルテ向け高品質製品

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

  • 裁断から縫製までの所要時間(1着あたり) 5時間→4時間
  • 短納期化(4時間/着)を実現した。

自動裁断機の導入により裁断作業が自動化され、切断担当と裁縫担当を分けていた工程を1人で担当できるようになった。リードタイムが短縮され、プレタポルテ向け作品は1着あたり5時間から4時間になった。

プロジェクターとカメラによる撮影画像を発注先と共有することで、生地の柄の切断に関してより正確な情報共有が可能となった。プレタポルテブランド向けの高品質製品を出荷する体制が整い、強みを活かしたより柔軟な製造工程が確立された。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.1 / 514観点のうち13観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性手作業で1点ずつ仕上げる強みと、ショー向け短納期需要の増加を踏まえ、CAD/CAM連動の自動裁断機で差別化している。
  • 4
    課題の認識と解決課題の超短納期(2週間)と裁断の手作業負担を明確化し、1着5時間から4時間への短縮という実効性ある解決策を示している。
  • 4
    顧客とニーズの裏付けショー向けサンプル・試作の短納期ニーズを具体的に把握し、プレタポルテブランド向け高品質製品を選ばれる理由として整理している。

もう一歩だった観点

  • 2
    事業化までの道筋導入後に多くの製品へ対応できる体制づくりを目指すとあるが、中長期の遂行方法やスケジュールの記述は薄い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    一点物パターンオーダーの縫製が主業務で、プレタポルテブランドからの依頼増加を受けて裁断工程を革新する流れが、既存事業との一貫性を示している。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    手作業で1点ずつ仕上げる強みと、ショー向け短納期需要の増加を踏まえ、CAD/CAM連動の自動裁断機で差別化している。

  • 課題の認識と解決4

    課題の超短納期(2週間)と裁断の手作業負担を明確化し、1着5時間から4時間への短縮という実効性ある解決策を示している。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標3

    1着の作業時間を5時間から4時間へ1時間短縮する目標を示し、導入後の実績も確認されている。賃上げ目標の記載はない。

  • 事業を進める体制3

    切断担当と裁縫担当を分けていた体制を、一連の工程を1人で担当できる形に再編する計画が示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ショー向けサンプル・試作の短納期ニーズを具体的に把握し、プレタポルテブランド向け高品質製品を選ばれる理由として整理している。

  • 事業化までの道筋2

    導入後に多くの製品へ対応できる体制づくりを目指すとあるが、中長期の遂行方法やスケジュールの記述は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    一点物のパターンオーダー縫製を中心に、高級既製服向けの高品質製品を扱う高付加価値路線を取っている。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用2

    地域の縫製事業者としての位置づけは読み取れるが、経済波及効果や雇用創出など国が補助する積極的理由の記述は薄い。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献4

    カメラとプロジェクターを使った自動裁断や撮影画像の発注先との共有など、先端的なデジタル技術の活用が具体的に書かれている。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    高級既製服の縫製を自動化で強化する取組だが、日本経済の構造転換に資する記述は明示されていない。

  • 地域経済への波及3

    浜松市の地元事業者として、一点物縫製の強みを活かし高付加価値の受注体制を確立しようとしている。

事業者の声

業界的に手作業が多く、なかなか自動化できる部分が少ないが、今回の導入を機に多くの製品に対応できるよう体制づくりをしていきたい。

公式の事例集より(原文のまま)

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。