コロナで増産・即納を強く求められる個人用RO装置の生産性向上

愛知県の製造業の会社が、ものづくり補助金で溶接システムを導入し、溶接の技術承継と生産性向上を目指した採択事例です。

株式会社ホシヤエンジニアリング

成果筐体の製作期間 3日→1日

この事例のポイント

  • 溶接の難易度が高く、ベテラン職人が定年退職を希望したため、想定より早く溶接技術の承継が課題となっていました。
  • ベテラン職人が担っていた溶接の技術承継のため、アマダ製ファイバーレーザー溶接システムを導入しました。
  • 筐体の製作期間 3日→1日。溶接システムの導入により、高い密閉性を持つ貯水タンクを自動溶接で製作できるようになりました。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ホシヤエンジニアリング
所在地愛知県 春日井市
業種はん用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数13人
資本金1,000万円
設立1985年

事業の背景

ホシヤエンジニアリングは人工透析用RO装置の開発と製造を主力とし、高品質で短納期に対応する社内一貫生産体制を強みとしています。人工透析装置の業界トップ企業から生産を一手に委託されています。

コロナ禍では個人宅や介護施設、小規模医院で使う個人用RO装置の需要が急増し、年間80台弱を供給しました。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能溶接の難易度が高く、ベテラン職人が定年退職を希望したため、想定より早く溶接技術の承継が課題となっていました。
  • 生産能力個人用RO装置の受注が急増する中で、貯水タンクやフレーム筐体の製作に多くの時間と負担がかかっていました。
  • 品質・精度貯水タンクは微量の水漏れも許されないため、溶接部にクラックが生じない高い密閉性と表面品質が求められていました。

やったこと

ベテラン職人が担っていた溶接の技術承継のため、アマダ製ファイバーレーザー溶接システムを導入しました。高出力レーザー光を表面から照射する溶接により、厚さ2.5mmのステンレス製貯水タンクでも高い密閉性を得られるようにしました。

溶接する部材を保持する治具は自社で設計、作成し、品質の向上と安定化を図りました。貯水タンクに続き、RO装置のフレーム筐体の製作にも溶接システムを利用しました。

加工プログラムと治具をセットすればだれでも溶接加工ができるよう作業を標準化し、多能工化を進めています。

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

  • アマダ製ファイバーレーザー溶接システム設備の種類:レーザー加工

事業の効果

  • 筐体の製作期間 3日→1日

溶接システムの導入により、高い密閉性を持つ貯水タンクを自動溶接で製作できるようになりました。フレーム筐体の製作期間が大幅に短縮され、残業時間の抑制にもつながりました。

溶接工程の標準化と多能工化により、受注が増えても残業を増やさずに生産性を維持できる体制になりました。溶接に伴う粉塵が少なくなり、作業環境も改善しました。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.4 / 514観点のうち13観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性人工透析装置業界トップ企業から一手に生産を委託され、社内一貫生産と設計開発力を強みに、溶接の自動化で高密閉・短納期を実現している。
  • 4
    課題の認識と解決ベテラン職人の退職で技術承継が課題化した点と、筐体製作を3日から1日へ短縮した数字を示し、実効性のある解決策になっている。
  • 4
    事業を進める体制治具の自社設計や加工プログラムと治具のセット化で誰でも溶接できる体制を作り、多能工化と女性オペレーターの活躍を進めている。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    人工透析用RO装置の製造を主力とし、日本のRO黎明期から培った技術を持つ事業に溶接設備導入が連なり、既存事業との一貫性がある。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    人工透析装置業界トップ企業から一手に生産を委託され、社内一貫生産と設計開発力を強みに、溶接の自動化で高密閉・短納期を実現している。

  • 課題の認識と解決4

    ベテラン職人の退職で技術承継が課題化した点と、筐体製作を3日から1日へ短縮した数字を示し、実効性のある解決策になっている。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標3

    筐体製作期間を3日から1日に短縮し、残業抑制にもつながったと述べるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制4

    治具の自社設計や加工プログラムと治具のセット化で誰でも溶接できる体制を作り、多能工化と女性オペレーターの活躍を進めている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    年間80台弱の個人用RO装置を供給し、コロナ禍の需要急増に対応した実績があり、顧客ニーズと選ばれる理由が明確である。

  • 事業化までの道筋3

    溶接工程の標準化、多能工化、CAD/CAMによる社内デジタル化を段階的に進める方針が述べられている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    厚さ2.5mmのステンレス貯水タンクを表面からの溶接のみで高密閉に仕上げ、同分野で高い加工品質を実現している。

公的補助の必要性3.3
  • 波及効果・雇用3

    コロナ禍で透析患者の命を支える個人用RO装置を供給し、作業環境改善や新規事業展開にも言及している。

  • 費用対効果3

    筐体製作期間の3日から1日への短縮と残業抑制が示されるが、補助金額に対する付加価値増加の数字は示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    ファイバーレーザー溶接システムとCAD/CAMを導入し、社内全体のデジタル化を進めるなど、先端技術活用による生産革新が読み取れる。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    愛知県春日井市の中小企業として、既存事業の拡充と将来の部品加工分野への展開を視野に入れており、地域の事業としての位置づけがある。

今後の展望

多能工化などの生産体制の見直しにより、既存事業の拡充とともに新たな事業展開も視野に入っています。将来は部品加工分野に乗り出したいと考えています。

事業者の声

想定よりも早く技術承継が課題として浮上した

一番のメリットはスピード

仮に個人用の大量受注があっても、残業を増やさずに生産性を維持できるようになった

今のところ業種は定めていないが、将来は部品加工分野に乗り出したい

公式の事例集より(原文のまま)

同じ業種・悩みの採択事例

出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。