使用材料削減による生産性向上及びCO2排出量削減計画

島根県の製造業の会社が、ものづくり補助金でレーザ溶接機を導入し、ステンレスの使用量を減らして生産性向上とCO2排出量削減を目指した採択事例です。

株式会社研電社

この事例のポイント

  • スリットセーバーの受注が増加しているが、溶接には熟練を要し、溶接技術者の増員には養成の時間と費用がかかります。
  • 経験の浅い作業者でも作業手順を入力すれば安定した肉盛り溶接ができるレーザ溶接機を導入しました。
  • レーザ溶接は細い光で熱を抑えるため焼けや歪みが少なく、仕上げ工程も削減されました。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社研電社
所在地島根県 出雲市
業種はん用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数31人
資本金3,000万円
設立1972年

事業の背景

株式会社研電社は1958年に石飛英一氏が創業し、車の電装品や水草の藻刈り機を手掛けていました。排水処理を必要とする事業所の要請を受けて廃水処理装置を開発したことが、環境分野への挑戦の始まりです。

主力の固液分離装置「スリットセーバー」は、出荷台数が海外を含め年間約100台に伸び、工場や畜産関係、下水道関連施設などで導入されています。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能スリットセーバーの受注が増加しているが、溶接には熟練を要し、溶接技術者の増員には養成の時間と費用がかかります。
  • コスト・採算肉薄の製品はTIG溶接では対応できず、ロボットによるレーザー加工ができる会社へ外注していました。
  • コスト・採算円安などの影響でステンレス鋼材の価格が上昇しています。

やったこと

経験の浅い作業者でも作業手順を入力すれば安定した肉盛り溶接ができるレーザ溶接機を導入しました。2023年2月に導入し、従来のTIG溶接に代えて製造に使っています。

製品の使用材料を3〜4ミリメートルのステンレスから1.5〜2ミリメートルの薄肉の2相ステンレスに転換し、製品全体でステンレス使用量の30%削減を目指しています。強度は1.5倍あるため、これまで外注していた肉薄の部材を内製化しました。

新しい製品・サービス:メインパーツを薄肉化したスリットセーバー

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

  • ハンディファイバーレーザ溶接機/FLW1500MT設備の種類:レーザー加工

事業の効果

レーザ溶接は細い光で熱を抑えるため焼けや歪みが少なく、仕上げ工程も削減されました。TIG溶接に比べて加工時間が4割削減でき、その分の人員を納入先へのメンテナンス対応に充てています。

薄肉化により原材料や製品の輸送面でもCO2排出量の削減につながり、電力消費量も減りました。経験の浅い従業員でも操作できるため、溶接技術者の養成負担も軽くなりました。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.1 / 514観点のうち13観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性特許取得の固液分離装置や年間約100台の出荷実績を強みとし、ステンレス価格上昇への対応として薄肉化を図る競争上の裏付けがある。
  • 4
    課題の認識と解決溶接の熟練者不足と外注依存を課題とし、加工時間4割削減、ステンレス使用量30%削減で解決策を具体化している。
  • 4
    事業を進める体制溶接は3人体制で、経験の浅い社員でも操作できる設備を導入し、メンテナンス対応の人員増も計画している。

もう一歩だった観点

  • 2
    費用対効果CO2排出量削減や電力消費1割減の効果はあるが、補助金投入額に対する費用対効果の数値は示されていない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の環境分野への挑戦とスリットセーバー開発の流れを踏まえ、レーザ溶接機導入が既存事業の延長として位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    特許取得の固液分離装置や年間約100台の出荷実績を強みとし、ステンレス価格上昇への対応として薄肉化を図る競争上の裏付けがある。

  • 課題の認識と解決4

    溶接の熟練者不足と外注依存を課題とし、加工時間4割削減、ステンレス使用量30%削減で解決策を具体化している。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    電力消費量1割削減、ステンレス使用量30%削減などの目標を示すが、付加価値額や賃上げの目標は記載がない。

  • 事業を進める体制4

    溶接は3人体制で、経験の浅い社員でも操作できる設備を導入し、メンテナンス対応の人員増も計画している。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    外注していた肉薄加工を内製化し、新たな食品関係の工場など新分野の顧客開拓を目指す点が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    試作機の強度試験を経て2相ステンレスによる製品化のめどが立ちつつあり、段階的な進め方が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    汚泥処理装置の分野で、特許取得の固液分離装置を基に高性能化を図る点が示されているが、高付加価値化の数値は乏しい。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用3

    環境負荷削減と持続可能な社会の実現に寄与する機器を製造し、下水道関連施設や畜産関係への導入が示されている。

  • 費用対効果2

    CO2排出量削減や電力消費1割減の効果はあるが、補助金投入額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    レーザ溶接の導入による内製化は示されるが、先端デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションへの言及は薄い。

政策面3.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及3

    出雲市に本社を置き、地域の製造業として雇用を維持しつつ海外含め年間約100台を出荷する事業である。

今後の展望

2相ステンレスによる製品化にめどがつきつつあります。他社製の電気浸透脱水機とセットで売り込み、食品関係の工場など新たな分野を開拓したいと考えています。

事業者の声

電力消費量が1割削減された。薄肉化で原材料や製品の輸送面などでもCO2排出量削減につながっている。環境負荷削減に貢献する機器の製造・販売会社として持続可能な社会の実現に寄与していきたい

公式の事例集より(原文のまま)

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。