防災製品と鋼構造物のアーク溶射施工に資する設備導入と受注拡大

株式会社ウイル

この事例のポイント

  • 溶射の施工速度と溶射膜の緻密化を両立させる必要がありました。
  • 生産性に影響する施工速度と、品質に影響する溶射膜の緻密化を両立させるため、アーク溶射法を選定して新工法の技術開発に取り組みました。
  • 溶射時間を短縮し、材料の歩留まりが向上しました。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ウイル
所在地岡山県 岡山市
業種金属製品製造業
技術分野表面処理
従業員数16人
資本金3,000万円
設立1989年

事業の背景

ウイルは1988年に自動車業界の需要を背景に創業し、溶射技術で防錆・防食加工を手がけています。主事業は防錆・防食溶射、耐摩耗溶射、現地での出張施工です。

近年は風力発電タワーなど大型鋼構造物への溶射や、災害復旧向けの表面改質処理の引き合いと受注が増えています。洋上風力発電タワーへの溶射施工の実績は少ない状況でした。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力溶射の施工速度と溶射膜の緻密化を両立させる必要がありました。
  • コスト・採算大型の鋼構造物は施工に時間がかかり、コストも増えていました。
  • 集客・繁閑災害復旧に応えるための短納期と大量の表面改質処理の要望が高まっていました。

やったこと

生産性に影響する施工速度と、品質に影響する溶射膜の緻密化を両立させるため、アーク溶射法を選定して新工法の技術開発に取り組みました。最新型アーク溶射ガンシステムを導入し、大型の鋼構造物の施工時間を短縮するとともに、大量の表面改質処理を可能にしました。

開発した溶射皮膜の性能評価では、従来機と比べて溶射時間を短縮し、材料の歩留まりを上げました。制御系も刷新しました。

新しい製品・サービス:アーク溶射法を用いた新工法

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

溶射時間を短縮し、材料の歩留まりが向上しました。施工速度は20%上昇し、人件費と材料費を削減できました。

制御系の刷新により消費電力も減り、大幅なコスト削減と生産性の改善が得られました。防災製品の短納期化と防錆効果の長期化も実現し、大容量化と短納期化が可能になりました。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.3 / 5

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性現地施工や前後工程まで対応できる強みと、洋上風力タワーへの施工実績が少ない点を踏まえ、独自性と差別化で受注拡大を狙う。
  • 4
    課題の認識と解決溶射施工速度が20%上昇し、大型鋼構造物の施工時間短縮とコスト削減を実現する新工法の課題解決が書かれている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標施工速度20%上昇、人件費・材料費の削減、消費電力の削減など、具体的な数字で生産性とコスト改善の目標・効果が示されている。

もう一歩だった観点

  • 2
    成長分野への進出洋上風力発電タワーへの進出は書かれているが、日本経済の構造転換への寄与までは明示されておらず、弱い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    2005年の組織変更や1988年創業以来の溶射技術の経験・実績を踏まえ、防錆・防食溶射を主事業として継続している。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    現地施工や前後工程まで対応できる強みと、洋上風力タワーへの施工実績が少ない点を踏まえ、独自性と差別化で受注拡大を狙う。

  • 課題の認識と解決4

    溶射施工速度が20%上昇し、大型鋼構造物の施工時間短縮とコスト削減を実現する新工法の課題解決が書かれている。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標4

    施工速度20%上昇、人件費・材料費の削減、消費電力の削減など、具体的な数字で生産性とコスト改善の目標・効果が示されている。

  • 事業を進める体制3

    社員16人、売上高3億2000万円、現地施工の実績と多様な後工程対応力があり、補助事業を遂行する体制は読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    災害復旧での短納期需要や洋上風力タワーの防錆ニーズに応え、防災製品の短納期化と防錆効果の長期化を選ばれる理由として整理している。

  • 事業化までの道筋3

    今後は新工法による市場開拓に挑むと述べられ、洋上風力タワーへの活用が期待されるとの方向性は示されているが、スケジュールや検証方法は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    溶射は防錆・防食で認知が進んでいるが、洋上風力タワーへの施工実績は少なく、同分野で高付加価値化を図る内容として読み取れる。

公的補助の必要性3.3
  • 波及効果・雇用4

    西日本豪雨の災害復旧や非常用設備の健全化・安全性向上、洋上風力の需要など、社会的インフラと防災への貢献が明確に書かれている。

  • 費用対効果3

    ランニングコストの削減や施工速度20%上昇などの効果が示され、投入額に対する費用対効果の方向性は読み取れるが、金額での算出はない。

  • イノベーションへの貢献3

    最新型アーク溶射ガンシステムの導入により大型鋼構造物の施工を改善し、洋上風力など新分野でのイノベーションに寄与し得る。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    洋上風力発電タワーへの進出は書かれているが、日本経済の構造転換への寄与までは明示されておらず、弱い。

  • 地域経済への波及3

    岡山市東区の地元企業として真備地域の災害復旧に参画し、地域の防災・インフラ維持に貢献している。

今後の展望

洋上風力発電タワーの塩害防止皮膜としての活用が期待でき、今後は新工法による市場開拓に挑みます。

同じ業種・悩みの採択事例

出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。