機能性液晶フィルムの「稼働気温領域」を拡大する開発

大分県の製造業の会社が、ものづくり補助金で機能性液晶フィルムの製造ラインを2ラインに増設し、品質と生産効率を高めた採択事例です。

九州ナノテック光学株式会社

成果稼働温度領域(下限) -20℃→-30℃

この事例のポイント

  • 新型ハリアーの生産ラインがフル稼働で、試作開発のための生産設備を使えず、試作開発が割り込めない状況だった。
  • 大神工場と藤原工場の2ヶ所で2ラインの製造体制を整えるため、開発・生産ラインを2ラインに増設した。
  • 稼働温度領域(下限) -20℃→-30℃。補助金で導入した新設備が藤原工場で稼働し、月間約2万メートルの液晶フィルム生産に貢献している。

事業者のプロフィール

事業者名九州ナノテック光学株式会社
所在地大分県 日出町
業種その他の製造業
技術分野複合・新機能材料
従業員数38人
資本金5,000万円
設立2004年

事業の背景

大分県日出町に本社を置く同社は、創業者の馬場潤一が2004年に設立したベンチャー企業で、電気で透過性を制御する機能性液晶フィルムを研究開発・製造・販売している。2016年に凸版印刷株式会社と協業に合意して販路拡大の道筋が開け、2019年にはトヨタグループの豊田通商株式会社と資本業務提携を実現した。

2020年には新型ハリアーの最上級グレード車の調光パノラマルーフに採用された。通常の液晶フィルムの稼働領域は0℃〜80℃だったが、同社製品は▲20℃〜100℃まで拡大していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力新型ハリアーの生産ラインがフル稼働で、試作開発のための生産設備を使えず、試作開発が割り込めない状況だった。
  • 新製品・新技術新しい市場に対応するため、動作領域を▲30℃〜110℃まで拡大する必要があった。
  • 生産能力開発・生産ラインを共有していたため、開発用と本製品用のラインを分ける必要があった。

やったこと

大神工場と藤原工場の2ヶ所で2ラインの製造体制を整えるため、開発・生産ラインを2ラインに増設した。増設にあたり、レーザーカッター、切削機、圧着機といった設備を導入した。

完成品はほとんどが曲面のため手作業では不可能であり、品質を保ちながら生産効率とスピードを高めるにはレーザーカッターが必須だった。市販の切削機・圧着機では同社の高品質と生産効率を標準化することが難しいため、自社設計のオーダーメイド品を採用した製造ラインを増設した。

新しい製品・サービス:機能性液晶フィルムの稼働温度領域を▲30℃〜110℃へ拡大した製品

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

事業の効果

  • 稼働温度領域(下限) -20℃→-30℃
  • 稼働温度領域(上限) 100℃→110℃
  • 補助金で導入した新設備は藤原工場で稼働し、月間約2万メートルの液晶フィルム生産に貢献している

補助金で導入した新設備が藤原工場で稼働し、月間約2万メートルの液晶フィルム生産に貢献している。新型ハリアーの中国向け生産体制にも対応できている。

2ラインの製造体制が確立し、試作開発と本製品の生産を分けて進められるようになった。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.6 / 514観点のうち13観点で評価

この事例が強かった観点

  • 5
    強み・弱みを踏まえた優位性稼働温度域を通常の0〜80℃に対し▲20〜100℃へ拡大、遮熱・高速応答・業界随一の性能と、外部の販路拡大も示され競争優位が明確。
  • 5
    新しさ・高付加価値通常0〜80℃の液晶フィルムに対し▲20〜100℃へ拡大し、世界初のリバースモード量産など、同分野で高水準の性能を実現している。
  • 4
    これまでの取組との一貫性2004年創業以来「機能性液晶フィルム」を軸に開発を続け、凸版印刷との協業や新型ハリアー採用まで一貫した流れが示されている。
経営戦略との整合性4.3
  • これまでの取組との一貫性4

    2004年創業以来「機能性液晶フィルム」を軸に開発を続け、凸版印刷との協業や新型ハリアー採用まで一貫した流れが示されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性5

    稼働温度域を通常の0〜80℃に対し▲20〜100℃へ拡大、遮熱・高速応答・業界随一の性能と、外部の販路拡大も示され競争優位が明確。

  • 課題の認識と解決4

    新市場の要求▲30〜110℃に対し、試作と量産が設備を共有して割り込めない課題を認識し、2ライン増設で解決する計画になっている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    月間約2万メートルの生産に貢献と示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、実現可能性の定量的根拠は限定的。

  • 事業を進める体制3

    大神工場と藤原工場の2ヶ所で2ラインの製造体制を確立済みとあり、遂行体制は一定程度示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    新型ハリアーの採用実績に加え、病院・会議室・商業施設のブラインド代わりという具体的用途と4つの特徴が示され、選ばれる理由が明確。

  • 事業化までの道筋3

    2020年採用後、2021年から中国向け販売を開始し、生産体制の対応と追加投資の必要性まで時系列で書かれている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性5.0
  • 新しさ・高付加価値5

    通常0〜80℃の液晶フィルムに対し▲20〜100℃へ拡大し、世界初のリバースモード量産など、同分野で高水準の性能を実現している。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    自動車産業の基盤や鉄道・航空機への展開見込みが示され、地域企業による製造と雇用・需要創出への寄与が読み取れる。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献3

    世界初のリバースモード製品の量産化など、新しい製品技術で用途を広げる点が示されており、イノベーションへの貢献が読み取れる。

政策面3.5
  • 成長分野への進出3

    自動車の調光パノラマルーフから鉄道・航空機へ展開する見込みが示され、新分野への進出が読み取れる。

  • 地域経済への波及4

    大分県日出町の地域企業が世界市場へ製品を展開し、地域の製造業の成長を牽引している点が事実から読み取れる。

今後の展望

今後は他の車種だけでなく、鉄道や航空機への採用も見込まれる。病院や会議室、商業施設のブラインドの用途にも対応できる。

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。