人と地球に優しい塗装方法導入での新規顧客開拓及び生産性向上

大分県の製造業の会社が、ものづくり補助金で静電粉体塗装の設備を導入し、生産性を高めた採択事例です。

有限会社安東工業所

成果溶剤塗装では冬季に乾燥に丸1日を要したが、静電粉体塗装では塗装乾燥炉の活用により1時間ほどで塗膜を生成できるようになった。

この事例のポイント

  • コロナ禍の影響により顧客の設備投資が縮小し、その余波を受けざるを得ない状況になった。
  • ワンストップで対応できる工程の中に静電粉体塗装を取り入れ、「デュアル電界方式粉体ハンドガンユニット」という静電粉体塗装機と塗装乾燥炉の2設備を導入しました。
  • 溶剤塗装では冬季に乾燥に丸1日を要したが、静電粉体塗装では塗装乾燥炉の活用により1時間ほどで塗膜を生成できるようになった。乾燥時間が大幅に短縮され、午前中に作業すれば同日夕方の出荷が可能になりました。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社安東工業所
所在地大分県 佐伯市
業種金属製品製造業
従業員数43人
資本金500万円
設立1953年

事業の背景

大分県南東端の佐伯市は、戦後に旧海軍航空隊基地の跡地へパルプ工場や造船工場などが進出し、臨海型の工業群を形成してきました。同社は各種金属鋼板の製缶や板金、切断、溶接、曲げ加工などを得意とし、1953年に有限会社として設立されました。

船舶用ダクトを中心とした空調設備の設計から施工までをワンストップで対応しています。2020年以降はコロナ禍により顧客の設備投資が縮小し、その影響を受けました。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑コロナ禍の影響により顧客の設備投資が縮小し、その余波を受けざるを得ない状況になった。
  • 新製品・新技術選ばれる企業として生き残るため、事業の付加価値向上を模索する必要があった。

やったこと

ワンストップで対応できる工程の中に静電粉体塗装を取り入れ、「デュアル電界方式粉体ハンドガンユニット」という静電粉体塗装機と塗装乾燥炉の2設備を導入しました。デュアル電界方式は、塗料の付着率と塗膜品質の向上が見込める新しい帯電方式で、従来品と比較して粉体塗料の使用量削減に寄与します。

塗装乾燥炉は、製品の大きさや形状に合わせて140〜200℃の高温を発生させ、焼付・乾燥による塗膜の生成を可能にします。溶剤塗料からVOCを含まない粉体塗料への転換を見据え、環境配慮の塗装を内製化しました。

新しい製品・サービス:デュアル電界方式粉体ハンドガンユニットによる静電粉体塗装

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

  • デュアル電界方式粉体ハンドガンユニット静電粉体塗装機設備の種類:塗装
  • 塗装乾燥炉設備の種類:熱処理・乾燥・炉

事業の効果

  • 溶剤塗装では冬季に乾燥に丸1日を要したが、静電粉体塗装では塗装乾燥炉の活用により1時間ほどで塗膜を生成できるようになった。

乾燥時間が大幅に短縮され、午前中に作業すれば同日夕方の出荷が可能になりました。簡易な作業のため、設計や製造を担う工員も合間に短時間で作業できるようになり、生産性が向上しました。

粉体塗料はエアーで清掃できるため塗装後の手間が減り、有害物質を含むシンナーの使用機会も減って作業環境が改善しました。大分県南部では大規模な静電粉体塗装設備を備えた工場が少なく、先行優位性を発揮して受注が増えつつあります。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.1 / 5

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性VOC規制の潮流を見据え、大分県南部に大規模設備が少ない中で先行優位を得た点から、外部環境と自社の強みを踏まえた判断が読める。
  • 4
    課題の認識と解決コロナ禍で顧客の設備投資が縮小した課題を認識し、付加価値向上と新規顧客獲得につなげる方策を示している。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け耐候性に優れる静電粉体塗装を指定する企業や環境配慮型企業からの受注が増えつつあり、選ばれる理由と顧客ニーズの裏付けがある。

もう一歩だった観点

  • 2
    費用対効果粉体塗料の使用量削減や乾燥時間短縮に触れるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は示されていない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    ワンストップ対応の既存事業に静電粉体塗装を組み込む案で、従来の製缶・板金・施工の流れとの一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    VOC規制の潮流を見据え、大分県南部に大規模設備が少ない中で先行優位を得た点から、外部環境と自社の強みを踏まえた判断が読める。

  • 課題の認識と解決4

    コロナ禍で顧客の設備投資が縮小した課題を認識し、付加価値向上と新規顧客獲得につなげる方策を示している。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    乾燥時間が丸1日から1時間程度に短縮し、同日出荷が可能になったと示され、生産性向上の見込みはあるが数値目標の記述は乏しい。

  • 事業を進める体制3

    既存の工員が合間に作業できる簡易さを示し、今後は専任工員を配置する計画が書かれている。体制面の記述は標準的。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    耐候性に優れる静電粉体塗装を指定する企業や環境配慮型企業からの受注が増えつつあり、選ばれる理由と顧客ニーズの裏付けがある。

  • 事業化までの道筋3

    今後の専任工員配置による塗装事業強化は示されるが、知識・経験不足への対応や具体的なスケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    大分県南部では大規模な静電粉体塗装設備を備えた工場が少なく、地域内で先行できた点が具体的に書かれている。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用3

    人体や環境に優しい塗装への転換という社会的意義と、大気汚染・健康被害の低減に触れており、国が補助する理由の一端を示す。

  • 費用対効果2

    粉体塗料の使用量削減や乾燥時間短縮に触れるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    環境配慮型の塗装を内製化した点は示されるが、サプライチェーン全体へのイノベーション貢献の記述は乏しい。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    VOCを含まない粉体塗料への転換という潮流への対応は触れられているが、日本経済の構造転換への言及は弱い。

  • 地域経済への波及3

    佐伯市の臨海工業群の一角として、地域の工業集積の中で環境配慮型塗装を導入し、地域企業として受注を増やしている。

今後の展望

耐候性に優れる静電粉体塗装を指定する企業や環境配慮型の経営に取り組む企業からの受注が増えつつあることを足がかりに、今後は静電粉体塗装専任の工員を配置するなどして塗装事業の強化を図りたいと考えています。

事業者の声

高品質な製品をつくり続け、実績を積み上げながら、選ばれる企業を目指していく。

公式の事例集より(原文のまま)

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。