両立支援等助成金とは?育休を取る社員がいる会社のコースと申請の流れ
この記事の要点
両立支援等助成金は、育児や介護と仕事を両立できるよう職場を整えた会社に厚生労働省が支給する助成金です。育休を取る社員がいる会社が使えるコース、男性の育休の日数の決まり、代わる人への手当の助成、申請前に整える行動計画を整理しました。
この記事の目次
両立支援等助成金は、社員が育児や介護と仕事を両立できるよう制度や職場を整えた会社に、厚生労働省が支給する助成金です。育休を取る社員がいる会社がまず検討するのは、男性の育休の出生時両立支援コース、育休の前後を支える育児休業等支援コース、休む人の仕事を代わる人に手当を出す育休中等業務代替支援コースの3つです。
どのコースも、取組の前に規定や計画を整え、要件を満たした日から決められた期間のうちに労働局へ申請します。
社員の育休や介護休業をきっかけに、両立支援等助成金のどのコースが使えて、何を準備すればよいかを知りたい方に向けた記事です。
厚生労働省の両立支援等助成金のリーフレット(令和8年度)と各コースの支給要領から、育休に関係するコースの額と要件、申請の前に整える書類を整理します。
両立支援等助成金とは?
両立支援等助成金は、仕事と家庭の両立に取り組む事業主を支える、厚生労働省の雇用関係助成金の1つです。育児、介護、不妊治療や女性の健康課題など、社員の事情ごとにコースが分かれています。
申請先は、本社などを管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。雇用保険に入っている社員がいる会社なら、個人事業主でも使えます。助成金と補助金の違いは補助金と助成金の違いとは?で取り上げています。
育休を取る社員がいると使えるコースは?
令和8年度の両立支援等助成金は、6つのコースに分かれています。育休に直接かかわるのは、表の上の3つです。
| コース | こんなときに使う | 主な額(中小企業) |
|---|---|---|
| 出生時両立支援コース | 男性の社員が、子の出生後8週以内に育休を取る | 1人目20万円、2・3人目10万円 |
| 育児休業等支援コース | 面談とプランで、育休の取得と職場復帰を支える | 取得時30万円、復帰時30万円 |
| 育休中等業務代替支援コース | 休む人の仕事を、ほかの社員や新しく雇う人が代わる | 手当の4分の3、新規雇用は9万〜81万円 |
| 柔軟な働き方選択制度等支援コース | 時差出勤や在宅勤務など、育児期の働き方を3つ以上用意する | 20万円か25万円 |
| 介護離職防止支援コース | 介護休業の取得や、介護との両立の制度を使わせる | 介護休業40万円など |
| 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース | 不妊治療や月経・更年期の症状に対応する休暇などを使わせる | それぞれ30万円 |
出典:厚生労働省「両立支援等助成金のご案内」(令和8年度 リーフレット)各コースの支給額
同じ社員の同じ育休でも、目的が違えば複数のコースを組み合わせられます。たとえば、男性社員の育休で出生時両立支援コースを使い、その間の仕事を代わった社員への手当で育休中等業務代替支援コースを使う形です。ほかの雇用関係の助成金も含めた申請の基本は雇用関係助成金の申請方法と対象者で取り上げています。
男性の育休で出る額と取る日数の決まりは?
出生時両立支援コースは、男性の社員が子の出生後8週以内に始まる育休を取った場合に、人数ごとに支給されます。取る日数と、会社が先に行う「雇用環境整備の措置」の数は、何人目かで増えていきます(両立支援等助成金 出生時両立支援コース 支給要領 p.7『0301a 支給対象事業主』)。
| 何人目か | 連続して取る育休 | 雇用環境整備の措置 | 額(中小企業) |
|---|---|---|---|
| 1人目 | 5日以上 | 2つ以上 | 20万円 |
| 2人目 | 10日以上 | 3つ以上 | 10万円 |
| 3人目 | 14日以上 | 4つ以上 | 10万円 |
出典:両立支援等助成金 出生時両立支援コース 支給要領 p.7『0301a 支給対象事業主』
雇用環境整備の措置とは、育休についての研修、相談の窓口、取得の事例の紹介、制度と方針の周知など、育児・介護休業法が定める取組のことです。男性の育休の取得率を前の年度から大きく上げた会社には、1回限りで60万円が出る別の区分もあります。
申請は、育休が終わった日の翌日から2か月以内です。育休が長い社員の場合は、復帰した後に申請の時期が来ると考えておきます。郵送と電子申請の出し方は雇用関係助成金の申請方法で取り上げています。
育休中の仕事を代わる人にも助成は出る?
出ます。育休中等業務代替支援コースは、休む社員の仕事を、ほかの社員に手当を払って代わってもらうか、新しく人を雇うか派遣を受け入れて代わってもらった会社に支給されます。
- 手当を払う場合:代わった社員に払った業務代替手当の4分の3が出ます。育休の場合は最大240万円、短時間勤務の場合は最大108万円で、業務の見直しにかかる体制整備費も加わります。
- 新しく雇う場合:代わってもらった期間に応じて、7日以上なら9万円、1年以上なら81万円です(プラチナくるみん認定の会社は99万円)。
手当を払う形を使うには、業務代替手当の決まりを就業規則などに書き、代わる社員の仕事の見直しや効率化にも取り組みます。少人数の会社では、社員が1人休むだけで仕事が回らなくなるため、休む前に誰が何を引き継ぐかを決めておくと、このコースの要件にもそのまま使えます。
人件費を助成で手当てする制度の全体は人件費に使える補助金はある?で取り上げています。
申請の前に整える行動計画と規定は?
両立支援等助成金の多くのコースでは、申請の時点で一般事業主行動計画を作り、労働局に届け出て、その計画が有効であることが条件です(両立支援等助成金 出生時両立支援コース 支給要領 p.5『0301 支給対象事業主』)。一般事業主行動計画とは、社員が仕事と子育てを両立できるように、会社が目標と取組と期間を決めた計画のことで、次世代育成支援対策推進法にもとづいて作ります。
あわせて、育児・介護休業法に沿った育休の規定が就業規則にあるかを確かめます。規定が古いままだと、取組を始めた後に要件を満たさないことが分かる場合があります。
- 就業規則の育休・介護休業の規定を、今の法律に合わせる。
- 一般事業主行動計画を作り、社内に周知して労働局に届け出る。
- 使うコースの支給要領を読み、面談の記録や措置の実施など、取組の前に要るものを準備する。
- 社員が育休を取り、復帰した後、決められた期間のうちに申請する。
行動計画は、くるみん認定を目指すときの出発点にもなります。くるみんやえるぼしを補助金の加点に使う方法はくるみん・えるぼしで補助金の加点を取る方法で取り上げています。
専門家から見た両立支援のポイント
両立支援等助成金は、人手が少ない会社ほど、育休の間の仕事の回し方とセットで考えると使いやすくなります。補助金の採択事例545件のうち、生産性・人手不足を課題に挙げた事例は163件あり、人が抜けた後の仕事の回し方は多くの会社に共通の悩みです。
向いている会社
出産を控えた社員がいて、育休の取得と仕事の引継ぎを前もって準備できる会社です。面談とプランを作る育児休業等支援コースと、代わる人に手当を出す育休中等業務代替支援コースを、同じ育休で組み合わせられます。
迷う会社
就業規則を何年も見直していない会社です。助成金のためだけに取組を始めると、規定の整備と行動計画の届出で時間がかかり、育休の開始に間に合わないことがあります。まず規定と計画を整え、次の育休から使うと考えるほうが確実です。勤怠や給与の記録をソフトで整える方法は勤怠管理・給与計算ソフトに使える補助金で取り上げています。
間違えやすい点
両立支援等助成金で間違えやすいのは、取組の順番と申請の期限です。
男性の育休の取得率を上げた区分の申請をした後は、同じ年度に1人ごとの育休の区分を申請できません。どちらを使うかは、その年度に育休を取る男性社員の人数を見て先に決めます。
申請の期限は、コースごとに決まっています。出生時両立支援コースは育休が終わった日の翌日から2か月以内で、期限を過ぎると受け付けられません。育休の終了日を、社員と人事の両方で記録しておきます。
同じ人件費に補助金と助成金を重ねて受けられるかは助成金と補助金は同じ経費で両方もらえる?で取り上げています。
よくある質問
パートの社員が育休を取った場合も対象ですか?
雇用保険に入っているパートの社員なら、多くのコースで対象になります。有期雇用の社員の場合は、コースごとに雇用の見込みなどの条件があるため、支給要領で確かめます。
社員が10人未満の会社でも使えますか?
使えます。会社の規模の下限はありません。小さい会社は一般事業主行動計画の届出が義務ではありませんが、助成金を受けるためには作って届け出ます。
同じ社員の育休で2つのコースを使えますか?
目的が違うコースなら使えます。たとえば、育児休業等支援コースで育休の取得と復帰を支え、育休中等業務代替支援コースで代わる人の手当を受ける組み合わせです。
介護休業を取る社員がいるときはどのコースですか?
ほかの質問も見る補助金のよくある質問公募・締切・改訂のお知らせ(無料)
補助金の公募・締切・改訂を、メールでお知らせします
- 公募開始新しい公募回の公募要領が出たとき
- 締切前締切の2週間前と3日前(事前の書類の締切も)
- 改訂公募の途中で公募要領が変わったとき。変わった箇所とページ番号をお送りします
お送りするのはこの3つだけです。配信はメールの下のリンクからいつでも止められます。
補助金の関連記事
一覧へ公開 2026/10/18
要点省力化投資補助金は中小企業庁と中小機構が進める国の補助金です。公式の事務局サイトの見分け方、「実質無料」「自己負担を後で戻す」勧誘が公募要領で不正とされる理由、販売事業者と契約する前に確かめる点をまとめました。
公開 2026/10/18
要点成長加速化補助金の準備は、GビズIDの取得と100億宣言の掲載から始めます。申請の時点で宣言が載っていないと申請できません。見積・金融機関の確認書・投資計画書を締切から逆算して進める順番と、締切後の日程をまとめました。
公開 2026/10/18
要点持続化給付金はコロナ禍で売上が減った事業者への給付で、申請はすでに終わっています。持続化補助金は販路開拓の費用を後払いで補助する今も続く制度です。目的・受け取れる額・条件・時期の違いと、給付金を受けた事業者も申請できるかをまとめました。
公開 2026/10/18
要点自治体のAI導入の補助金は「DX」「デジタル化」の名前で募集されることが多く、J-Net21や自治体のサイトで探します。国のデジタル化・AI導入補助金との違いと、同じ経費に両方は使えない併用の決まりをまとめました。