くるみん・えるぼしで補助金の加点を取る方法|使える補助金と締切の逆算
この記事の要点
くるみん・えるぼし認定は持続化、新事業進出・ものづくり、省力化、デジタル化・AI導入、事業承継・M&Aの5補助金で加点になります。認定の段階、取るまでの流れ、締切に間に合わない場合の代わりの手をまとめます。
くるみん認定・えるぼし認定は、持続化、新事業進出・ものづくり、省力化(一般型)、デジタル化・AI導入、事業承継・M&Aの5つの補助金で加点の対象です。成長加速化補助金では、審査で評価される取組の例に挙がっています。
どの補助金も締切(または申請時)の時点で認定済みであることが条件です。くるみんは計画期間2年以上の行動計画をやり終えてから申請するため、これから取り始めて今の公募回に間に合わせることはできません。
従業員100人以下の会社なら、持続化補助金と事業承継・M&A補助金では、一般事業主行動計画を厚生労働省のサイトに公表するだけでも加点の対象になります。掲載まで時間がかかるため、締切の2週間以上前に公表の申請を出すのが目安です。
「くるみんやえるぼしを持っていると補助金の加点になる」と聞いて、自社でも使えるのか、今から取って間に合うのかを知りたい社長に向けた記事です。どの補助金でどの段階の認定が数えられるか、認定までの流れ、締切からの逆算、認定が無い会社でも使える代わりの手を、公募要領と厚生労働省の資料で確かめた範囲でまとめます。
くるみん・えるぼしの加点が使える補助金
2026年10月14日時点の公募要領では、持続化、新事業進出・ものづくり、省力化(一般型)、デジタル化・AI導入、事業承継・M&Aの5つの補助金で加点の対象です。成長加速化補助金には加点項目が無く、審査の「波及効果」の例として挙がっています。
くるみん認定とは、次世代育成支援対策推進法(次世代法)にもとづき、仕事と子育ての両立を進める行動計画の目標を達成した会社を厚生労働大臣が認定する制度です。えるぼし認定は、女性活躍推進法にもとづき、女性の活躍の取組が優良な会社を認定する制度です。どちらも、段階の違う認定(トライくるみん、プラチナくるみん、えるぼし1〜3段階目、プラチナえるぼし)があります。
補助金ごとに、数えられる認定と期限、申請時に出すものを並べた表です。
| 補助金 | 対象になる認定 | 期限 | 出すもの |
|---|---|---|---|
| 持続化補助金(通常枠・創業型) | くるみん認定またはえるぼし認定(段階の指定は書かれていない) | 申請時に認定済み | 様式2で「くるみん・えるぼし加点」を選び、基準適合一般事業主認定通知書の写しを出す |
| 新事業進出・ものづくり補助金 | トライくるみん・くるみん・プラチナくるみん/えるぼし1〜3段階・プラチナえるぼし(くるみんとえるぼしは別の加点項目) | 申請締切日の時点で認定済み | 申請画面で選択(追加の提出書類の指定なし) |
| 省力化投資補助金(一般型) | えるぼし認定、くるみん認定(別の加点項目。段階の指定は書かれていない) | 申請時に認定済み | 申請画面で選択(追加の提出書類の指定なし) |
| デジタル化・AI導入補助金(通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠) | えるぼし1〜3段階目・プラチナえるぼし、またはくるみん・トライくるみん・プラチナくるみん | 交付申請の時点で認定済み | 申請画面で選択(追加の提出書類の指定なし) |
| 事業承継・M&A補助金(事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠) | えるぼし認定またはくるみん認定。従業員100人以下は行動計画の公表でも対象 | 公募申請の時点 | 基準適合一般事業主認定通知書の写し(計画期間が有効なもの) |
| 成長加速化補助金 | 加点ではなく、審査の「波及効果」の例として「えるぼし認定、くるみん認定の取得等」が挙がっている | 申請時に認定済み | 事業計画の中で取組として書く |
出典:新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.46『3-1. 書面審査(8)加点項目』台帳で見る
加点の一覧は各補助金の早見表(持続化補助金の加点早見表、新事業進出・ものづくり補助金の加点早見表、省力化投資補助金の加点早見表、デジタル化・AI導入補助金の加点早見表、事業承継・M&A補助金の加点早見表、成長加速化補助金の審査で評価される取組)にまとめています。対象の補助金や認定の段階の書き方は公募回ごとに変わるため、最新の公募要領で確認が必要です。
デジタル化・AI導入補助金の複数者連携デジタル化・AI導入枠は、加点項目にくるみん・えるぼしが入っていません。どの公募要領にも、この加点の点数は書かれていません。ほかの加点との組み合わせは補助金の加点一覧で整理しています。
行動計画の公表が必要な補助金
新事業進出・ものづくり補助金はすべての申請者に、省力化投資補助金(一般型)は従業員21名以上の会社に、次世代法の一般事業主行動計画の公表を申請の条件として求めています。認定ではなく、計画を作ってサイトに載せる段階の話です。
一般事業主行動計画とは、会社が従業員の仕事と子育ての両立や女性の活躍のために、期間と目標、対策を決めて書く計画です。厚生労働省の「両立支援のひろば」(次世代法の計画)や「女性の活躍推進企業データベース」(女性活躍推進法の計画)に載せると公表になります。
- 新事業進出・ものづくり補助金:「次世代法に基づく一般事業主行動計画を策定し、申請締切日時点で有効な計画を「両立支援のひろば」に公表(掲載まで1~2週間程度)」が基本要件の1つです。
- 省力化投資補助金(一般型):「従業員21名以上の場合、交付申請時までに「両立支援のひろば」に一般事業主行動計画を公表」が基本要件の1つです。応募の時点で公表していなければ、公表する旨を宣誓します。
どちらの公募要領も、「両立支援のひろば」への公表申請は審査で不備が見つかることもあるとして、2週間以上の余裕をもった申請を求めています。審査状況の問い合わせはできず、問い合わせても公表は早まらないと書かれています。
出典:新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.13『1-3-1. 基本要件(4)ワークライフバランス要件』台帳で見る
認定の手順と日数
くるみん・えるぼしは、一般事業主行動計画を作って届け出て、取組の実績を積んでから都道府県労働局に申請します。くるみんの行動計画は2年以上5年以下で、厚生労働省の資料に審査の標準処理期間の記載はありません。
厚生労働省のパンフレットで確かめた流れです。
- 現状をつかむ。育児休業の取得状況や労働時間の状況、従業員の希望を確かめ、課題を洗い出します。
- 行動計画を作る。計画期間、数値を含む目標、対策の内容と実施時期を書きます。くるみんを目指すなら、計画期間は2年以上5年以下です。
- 公表して従業員に知らせる。計画を作ってからおおむね3か月以内に、外部への公表と社内への周知をします。
- 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に「一般事業主行動計画策定・変更届」を出す。これもおおむね3か月以内で、電子申請、郵送、持参のどれでも出せます。常時雇用する労働者が101人以上なら届出は義務、100人以下は努力義務です。
- 計画を実行して目標を達成する。くるみんでは、男性の育児休業等取得率が30%以上(トライくるみんは10%以上)などの基準を満たす必要があります。
- 認定を申請する。くるみんの申請は、計画期間の終了日を含む事業年度が終わった後です。えるぼしも申請先は都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。
- 審査を待って認定を受ける。審査にかかる日数は、確かめた厚生労働省のページとパンフレットに記載がありません。見込みは管轄の労働局に早めに確認します。
認定の種類ごとの主な基準を、厚生労働省の資料から抜き出した表です。
| 認定 | 主な基準(抜粋) | 補足 |
|---|---|---|
| くるみん | 計画期間2年以上5年以下、目標の達成、男性の育児休業等取得率30%以上、女性の育児休業等取得率75%以上など9項目 | 従業員300人以下には取得率の計算などに特例あり |
| トライくるみん | 男性の育児休業等取得率10%以上など。多くの基準はくるみんと同じ | 2022年4月に新設 |
| プラチナくるみん | くるみん認定を受けた会社が、より高い水準の基準を満たす | くるみん認定が前提 |
| えるぼし1〜3段階目 | 採用、継続就業、労働時間等の働き方、管理職比率、多様なキャリアコースの5基準のうち、満たした数で段階が決まる(1〜2つで1段階目、3〜4つで2段階目、5つ全部で3段階目) | 行動計画の策定・届出をした会社が対象。実績を毎年公表 |
| プラチナえるぼし | 5基準すべてを、えるぼしより厳しい水準で満たし、行動計画の目標も達成 | 情報公表の項目数などの追加条件あり |
出典:厚生労働省「次世代育成支援対策推進法関係パンフレット」(令和8年2月) p.5〜8『策定から認定までの流れ』
今から取って間に合う?
くるみんは2年以上の計画期間が前提で、えるぼしも行動計画の届出と実績が前提のうえ審査日数が公表されていないため、締切までに新しく認定を取る見通しは立ちません。間に合う可能性があるのは、行動計画の公表で足りる加点や要件です。
公表済みの締切と、認定が無い会社が今の公募回でできることを並べた表です。行動計画の公表にかかる日数は、新事業進出・ものづくり補助金と省力化投資補助金の公募要領にある「両立支援のひろば」の案内を目安にしています。
| 補助金(公募回) | 締切 | 新しく認定を取る場合 | 認定が無い会社にできること |
|---|---|---|---|
| 省力化投資補助金(第8回) | 2026年10月16日(金)17:00 | 間に合わない | 従業員21名以上は、交付申請時までに行動計画を公表(申請の条件) |
| 新事業進出・ものづくり補助金(第1回) | 2026年10月30日(金)18:00 | 間に合わない | 行動計画の公表は加点ではなく申請の条件。締切の2週間以上前に公表申請 |
| 事業承継・M&A補助金(16次) | 2026年11月6日(金)17:00 | 間に合わない | 従業員100人以下は、行動計画の公表で加点の対象。締切の2週間以上前に公表申請 |
| 成長加速化補助金(3次公募) | 2026年11月12日(木)15:00 | 間に合わない(加点ではなく審査の評価例) | 両立支援や女性活躍の取組を事業計画に書く |
| 持続化補助金(第20回) | 2026年12月15日(火)17:00 | 間に合わない | 従業員100人以下は、一般事業主行動計画策定加点(政策加点)。締切の2週間以上前に公表申請 |
| デジタル化・AI導入補助金(6次締切分) | 2026年10月30日(金)17:00 | 交付申請の時点で認定済みなら加点 | なし(行動計画の公表だけの加点は無い) |
出典:小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉第20回 公募要領 第8版 p.38『Ⅲ.加点審査 政策加点⑥』台帳で見る
持続化補助金の一般事業主行動計画策定加点は、計画期間に「公募締切日」と「自社で決めた補助事業終了予定日」の両方が入っていることが条件です。補助事業の実施期間は「交付決定日より2028年3月31日(金)まで」なので、計画期間をその先まで取っておきます。
次の公募回でくるみん・えるぼしの加点を使いたい会社は、締切が公表されてから動いても間に合いません。今の時点で行動計画を作り、くるみんなら2年以上先の認定を見すえて進めます。
加点が外れる場合
加点が外れるのは主に、締切や申請時に認定が無いとき、持続化補助金で加点の選び方のルールに反したとき、通知書の写しを出し忘れたときです。
持続化補助金では、加点は【重点政策加点】と【政策加点】から1つずつ、合計2つまでです。くるみん・えるぼし加点は【重点政策加点】に入っていて、同じ区分の事業環境変化加点や健康経営優良法人加点と一緒に選ぶと、加点審査の対象から外れます。くるみん・えるぼし加点と一般事業主行動計画策定加点の両方に当てはまって両方選んだ場合は、重点政策加点の分だけが加点されます。
事業承継・M&A補助金は、本文では従業員100人以下の会社の行動計画の公表も加点の対象としていますが、提出書類の一覧には「基準適合一般事業主認定通知書の写し」しか書かれていません。行動計画の公表で加点を申請する場合は、何を出せばよいかを事務局に確かめてから申請します。
採択後の減点や返還を心配する声もあります。公募要領が「未達の報告から18か月間の大幅減点」の対象としているのは、賃上げに関する加点です。くるみん・えるぼし加点には、採択後に数値の達成を求める条件は書かれていません。賃上げの加点は賃上げ加点の記事で取り上げています。
出典:小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉第20回 公募要領 第8版 p.34『Ⅲ.加点審査 重点政策加点④』台帳で見る
専門家から見たポイント
くるみん・えるぼしは、すでに持っている会社には使いやすい加点で、持っていない会社が補助金のために取りにいく加点ではありません。
向いている会社
すでに認定を持っている会社です。5つの補助金で使え、採択後の約束も要りません。新事業進出・ものづくり補助金と省力化投資補助金では、くるみんとえるぼしが別々の加点項目として並んでいます。
従業員100人以下で、持続化補助金か事業承継・M&A補助金を考えている会社は、認定が無くても行動計画の公表という近道があります。持続化補助金では【政策加点】の枠を使うため、賃金引上げ加点など同じ区分のほかの加点と比べて選びます。
取るべきか迷う会社
補助金の加点だけを目的に、くるみんを一から目指す会社です。計画期間だけで2年以上かかり、男性の育児休業取得率などの実績も要ります。社内の両立支援の整備として取り組み、結果として次の公募回以降の加点にもつながる、という順番で考えます。持続化補助金で健康経営優良法人加点を選ぶ会社は、同じ【重点政策加点】の枠を使うため、くるみん・えるぼし加点とは一緒に選べません。健康経営優良法人の加点は健康経営優良法人の加点で整理しています。
トライくるみんは、新事業進出・ものづくり補助金とデジタル化・AI導入補助金の公募要領には対象と明記されています。持続化、省力化、事業承継・M&Aの公募要領は「くるみん認定」と書くだけなので、トライくるみんで申請するなら事務局に確かめておくと安心です。
よくある失敗
- 持続化補助金で、くるみん・えるぼし加点と健康経営優良法人加点など【重点政策加点】を2つ選び、加点審査から外れる。
- 認定通知書の写しを出し忘れる(持続化補助金、事業承継・M&A補助金)。
- 行動計画の公表申請を締切の直前に出し、締切日にまだサイトに載っていない。
- 行動計画の計画期間が、持続化補助金の補助事業終了予定日より前に切れている。
持続化補助金のほかの加点は持続化補助金の加点要件で、防災の計画で取る加点は事業継続力強化計画の加点で取り上げています。
よくある質問
トライくるみんでも加点になる?
新事業進出・ものづくり補助金とデジタル化・AI導入補助金ではなります。両方の公募要領が、トライくるみん、くるみん、プラチナくるみんのどれでもよいと書いています。ほかの補助金は段階の指定が無いため、事務局に確かめます。
くるみんを取るまでどれくらいかかる?
最短でも行動計画の期間の2年以上かかります。くるみんの計画期間は2年以上5年以下で、申請はその終了日を含む事業年度が終わった後です。審査の日数は厚生労働省の資料に記載が無いため、管轄の労働局に確認します。
行動計画を公表しただけで加点になる?
従業員100人以下なら、持続化補助金と事業承継・M&A補助金ではなります。新事業進出・ものづくり補助金では、公表は加点ではなく申請の条件です。省力化投資補助金とデジタル化・AI導入補助金の加点には認定が必要です。
採択後に何か達成できないと返還になる?
くるみん・えるぼし加点には、採択後に数値を達成する条件は書かれていません。公募要領が未達で減点や不支給とするのは、賃上げに関する加点などです。賃上げの加点を一緒に選ぶ場合は、そちらの条件に気をつけます。
ほかの質問はよくある質問にまとめています。
まとめ
くるみん・えるぼしの加点は、すでに認定を持っている会社なら5つの補助金で使えますが、これから取り始めて今の公募回に間に合わせることはできません。認定が無い従業員100人以下の会社は、持続化補助金と事業承継・M&A補助金で行動計画の公表による加点を検討し、締切の2週間以上前に公表申請を出します。御社がどの加点を選べるか、締切に間に合うかは、専門家に無料で相談できます。
参考資料
- 厚生労働省 次世代育成支援対策推進法(くるみん認定)
- 厚生労働省 次世代育成支援対策推進法関係パンフレット(令和8年2月)
- 厚生労働省 女性活躍推進法(えるぼし認定)
- 厚生労働省 えるぼし認定・プラチナえるぼし認定の概要
- 厚生労働省 両立支援のひろば
- 厚生労働省 女性の活躍推進企業データベース
- 小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区)
- 中小機構 新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領(1.3版)
- 中小機構 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募)
- 中小機構 デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 公募要領
- 事業承継・M&A補助金 16次 専門家活用枠 公募要領(Ver.1.0、2026年9月)
- 中小機構 中小企業成長加速化補助金(3次公募)公募要領
確認日:2026年10月14日
専門家が内容を確認しました(2026年10月14日)。
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