東京都の知的財産活用製品化支援助成事業とは?開放特許の試作に使える助成
この記事の要点
東京都知的財産総合センターの仲介で大企業や大学の開放特許を使えることになった都内の中小企業が、新製品の試作や評価に使える東京都中小企業振興公社の助成です。マッチングから申請までの順番、対象の費用、間違えやすい点を整理しました。
この記事の目次
知的財産活用製品化支援助成事業は、東京都知的財産総合センターの仲介で大企業や大学の開放特許などを使えることになった都内の中小企業が、その技術で新しい製品を試作・開発する費用を、東京都中小企業振興公社が一部助成する制度です。
上限は500万円、助成率は2分の1以内で、申請できるのは公社の知的財産活用製品化支援事業で支援を受けている会社に限られます。
大企業や大学が公開している特許を自社の製品づくりに生かしたい会社が、どうすればこの助成の対象になるか、どんな費用が出るか、いつまでに何をすればよいかを知りたい方に向けた記事です。公社の公式ページと東京都の支援制度の案内で確かめた範囲で書いています。
東京都の知的財産活用製品化支援助成事業とは?
自社だけでは持てない技術を外から取り入れて、早く新製品を形にしたい中小企業を後押しする助成です。大企業・大学・研究機関が他社に使ってもらうために開いている特許や技術、ノウハウを使い、試作や評価まで進める費用の一部を公社が負担します。
申請できるのは、公社の知的財産活用製品化支援事業で支援を受けている都内の中小企業者(会社・個人事業者)、中小企業団体(1年度1社1案件)です。申請の時点で、公社の「知的財産活用製品化支援事業」(知的財産マッチング支援)の支援対象になっていることが前提です。
過去にこの助成を受けた会社は、毎年の企業化状況報告書などを期日までに出していることが条件です。公社のほかの助成金と並べたいときは東京都中小企業振興公社の助成金一覧で取り上げています。
開放特許のマッチングから始める理由は?
この助成は、マッチング支援で技術の持ち主と組めた会社が、その次の製品化の段階で使う仕組みになっているためです。マッチングを経ずに直接申請することはできません。
| 段階 | 中身 | 費用 |
|---|---|---|
| ①セミナー・マッチング会 | 開放特許を使った製品づくりの考え方を学び、大企業などが紹介する技術の種を知る。気になる技術があればその場で個別面談もできる | 無料 |
| ②マッチング支援の申込み | 申込フォームから申し込み、製品化コーディネーターの面談を受ける | 申込みは無料 |
| ③技術の提案と面談 | コーディネーターが合いそうな技術を提案し、持ち主との面談を設定・同席する | 案内なし |
| ④契約 | 秘密保持契約や、製品化に要るライセンス契約などを結ぶ。契約の内容は助言を受けられる | 案内なし |
| ⑤製品化と助成 | 試作・評価の費用に助成を申請する。募集要項と申請用のページは対象の会社に個別に案内される | 自己負担あり |
出典:東京都「知的財産活用による製品化を支援する『知的財産活用製品化支援事業(知的財産マッチング支援)』とは」、東京都知的財産総合センター「知的財産活用製品化支援助成事業(令和8年度)」
コーディネーターは、技術の持ち主との交渉だけでなく、販路や技術面の助言、試作や評価を頼める試験研究機関の紹介も行います。開発費に使える国や自治体の制度を広く比べたいときは、開発費・試作品開発費に使える補助金で取り上げています。
試作や共同開発の費用はどこまで対象?
対象は共同研究・共同開発契約関連費用、設計・試作費用、機能評価費用等です。開放特許の持ち主や大学と一緒に開発する契約の費用、製品の設計と試作の費用、できた試作品の機能を確かめる評価の費用が中心になります。
- 共同研究・共同開発の契約に関わる費用:技術の持ち主や大学と共同で進めるための契約の費用
- 設計・試作の費用:開放特許を組み込んだ製品の設計、試作品の製作
- 機能評価の費用:試作品の性能や安全性を試験機関などで確かめる費用
どの費用が細かく対象になるか、対象外になる費用は何かは、対象の会社に配られる募集要項で決まっています。見積をとる前に、コーディネーターを通して確かめておくと手戻りが減ります。
開発した製品を本格的に作るための設備投資は、この助成の範囲を越えることが多く、国の補助金が受け皿になります。中身は新事業進出・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠で取り上げています。
相談から申請までの流れと締切は?
申請は随時受け付けていて、受付は随時(最終提出期限 2026年12月1日(火))です。申請はJグランツの電子申請だけで、郵送では受け付けていません。
- 知的財産マッチング支援に申し込み、技術の持ち主と組む。
- 東京都知的財産総合センターに、助成金を申請したいと伝える。募集要項とJグランツの申請用のページが案内される。
- GビズIDプライムを取る。発行の目安は2週間程度で、取り方はGビズIDプライムの取得方法で取り上げています。
- 試作・評価の見積をそろえて、Jグランツで申請する。
- 審査を受け、交付決定の通知を受ける。
マッチングで技術の持ち主との契約がまとまるまでには時間がかかることがあります。最終の締切から逆算すると、マッチングの相談は早いほど選べる技術が増えます。
間違えやすい点
この助成は、申し込めば誰でも受けられる一般の募集とは仕組みが違います。
公社のページに募集要項は公開されておらず、対象になる会社にだけ個別に案内されます。マッチング支援を受けていない会社は、助成の申請に進めません。
同じ年度に申請できるのは1社1件です。前に受けた助成の企業化状況報告書を出していない会社も申請できません。
開放特許の使用料や契約の条件は、技術の持ち主との交渉で決まります。助成で出る費用と、製品を売り出したあとに払い続ける使用料は分けて資金計画を立てます。
同じ試作の費用に国や区市町村の補助金を重ねて受けられるかは、届いた募集要項で確かめ、組み合わせる場合は経費を分けます。考え方は補助金の併用と重複のルールで取り上げています。
専門家から見たポイント
この助成の強みは、技術探しから契約の助言、試作先の紹介まで公社の支援がつながっていて、その最後の費用の山を助成で越えられる点です。助成だけを目当てにするより、マッチングで自社の製品の弱点を補う技術を見つけることを先に考えます。
向いている会社
自社の製品に新しい機能を足したいが研究開発の部門を持たない製造業は、大企業の開放特許で開発の時間を縮められ、試作と評価の費用を助成で補えます。大学の研究成果を製品にしたいが共同研究の費用がネックになっている会社も、契約の費用から対象になります。
迷う会社
使いたい技術がすでに決まっていて、持ち主と直接交渉を進めている会社は、マッチング支援の対象にあらためて入る手間と、助成の額を比べて決めます。試作の前に、そもそも技術が実現できるかを確かめたい段階の会社は、公社の製品開発着手支援助成事業のほうが合うことがあります。
知的財産マッチング会では、その場で技術の持ち主と個別面談ができます。開催の予定を確かめて、気になる技術の資料を事前に読んでから参加すると話が早く進みます。
御社の製品づくりにこの助成をどう組み込むかは、専門家に無料で相談できます。
よくある質問
個人事業主も申請できる?
できます。都内の個人事業主も対象で、知的財産マッチング支援で支援を受けていることが条件です。
マッチング支援を受けるのにお金はかかる?
セミナーとマッチング会の参加、支援の申込みは無料です。技術の持ち主との契約で決まる使用料などは別にかかります。
郵送で申請できる?
できません。申請はJグランツの電子申請だけで、GビズIDプライムが必要です。
募集要項はどこで手に入る?
公社のページには載っていません。東京都知的財産総合センターに助成金の申請を希望すると伝えると、申請者用のページで案内されます。
ほかの質問はよくある質問にまとめています。
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