化学・ゴム・鋳造業の設備投資に合う補助金|新事業進出・ものづくりの枠選び
この記事の要点
化学・ゴム・鋳造などの素材系の製造業は、新素材の開発なら革新的新製品・サービス枠、別の業界に向けた製品の工場なら新事業進出枠、今の工程の自動化なら省力化投資補助金の一般型と分けます。成果事例の傾向とあわせて枠の選び方を整理しました。
この記事の目次
化学・ゴム・鋳造などの素材系の製造業は、新しい素材や部品を開発するなら新事業進出・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠、これまでと違う顧客層に向けた製品の工場を作るなら新事業進出枠を狙います。
今の製品を速く作るだけの設備は新事業進出・ものづくり補助金では対象外になりやすく、その場合は省力化投資補助金の一般型を考えます。
化学製品・ゴム製品・鋳物・非鉄金属・窯業など素材を作る工場が、設備投資にどの補助金と枠を使えるかを知りたい方に向けた記事です。
新事業進出・ものづくり補助金と省力化投資補助金の公募要領に、ものづくり補助金の成果事例の傾向を合わせて整理します。
素材系の工場が狙う枠はどう選ぶ?
枠は、作る物が新しいか、売る相手が新しいか、作り方だけを変えるかで決まります。
| やりたいこと | 合う補助金と枠 | 素材系の例 |
|---|---|---|
| 今まで無い性能の素材・部品を開発する | 新事業進出・ものづくり補助金(革新的新製品・サービス枠) | 耐熱性を上げたゴム部品、鉛を使わない銅合金の鋳物 |
| 別の業界の顧客に向けた製品を作る | 新事業進出・ものづくり補助金(新事業進出枠) | 工業用の樹脂から医療機器向けの部材へ |
| 海外の新しい国に輸出する | 新事業進出・ものづくり補助金(グローバル枠) | 国内向けの塗料を海外の工場へ |
| 今の製品の工程を自動化する | 省力化投資補助金(一般型) | 鋳物の仕上げ、成形品の取り出しの自動化 |
出典:新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.6『1-2-1. 革新的新製品・サービス枠』台帳で見る
審査で見られる項目と加点は新事業進出・ものづくり補助金の審査項目と加点で取り上げています。
新事業進出・ものづくり補助金とは?
新事業進出・ものづくり補助金は、中小企業が新しい製品の開発や新しい市場への進出に使う設備・建物などの費用の一部を補助する国の制度です。革新的新製品・サービス枠、新事業進出枠、グローバル枠の3つがあります。
工場の建物にも使える新事業進出枠は、補助下限額 750万円で、大きな投資を前提にしています1。3つの枠の上限と要件は新事業進出・ものづくり補助金とは?で取り上げています。
革新的枠で認められる新素材の開発は?
革新的新製品・サービス枠は、革新的な新製品・新サービス開発が対象。既存の製品・サービスの生産等のプロセスの改善・向上を図る事業は補助対象外としています2。素材系の工場では、配合や加工の条件を変えて、強度・耐熱性・軽さなどが今の製品と数字で違う物を作る計画が合います。
反対に、単に機械装置・システム等を導入するにとどまり、新製品・新サービスの開発を伴わないものは対象外。同業で相当程度普及しているものも該当しないとされています。試験や評価の方法、試作の回数、量産までの段取りを計画書に書き、開発の中身を示します。試作の費用の考え方は開発費・試作品開発費に使える補助金で取り上げています。
新事業進出枠で新しい市場に出るには?
新事業進出枠では、製品が自社にとって新しく、売る市場も新しいことが求められます。新たな市場とは、新たな市場とは、既存事業で対象となっていなかったニーズ・属性(法人/個人、業種、行動特性等)を持つ顧客層を対象とする市場です3。
素材の工場では、同じ顧客に量を増やして売る計画は当てはまりません。製造量・提供量の増大、過去製品の再製造、製造方法の変更のみ、単なるメニューの追加、市場の一部のみ、単に商圏が異なる場合などは該当しないとされているため、これまで取引の無かった業界に、新しい製品を売る形にします。新しい製造棟を建てる費用は建物費に入り、対象経費の区分は新事業進出・ものづくり補助金の対象経費一覧で取り上げています。
生産を速くするだけなら省力化投資補助金?
新しい製品を作らず、今の製品の工程で人の作業を減らしたいなら、省力化投資補助金の一般型が合います。一般型は、人手不足の解消に向けてオーダーメイド設備等を導入する事業計画。汎用設備を単体で導入する事業は対象外(組み合わせ等で高い効果を生む場合はオーダーメイド設備とみなす)としています4。
鋳物のバリ取りや研磨、ゴム成形品の取り出しと検査、化学品の計量と充填など、人の手が残っている工程をロボットや搬送とつなげる計画が考えられます。製造業の使い方の例は製造業での省力化投資補助金の使い方で取り上げています。
専門家から見た素材系製造業の補助金のポイント
ものづくり補助金の成果事例(平成24〜31年度)では、窯業・土石製品製造業が103件、化学工業が65件、鉄鋼業が57件、非鉄金属製造業が53件、ゴム製品製造業が21件あります。困りごとは生産能力と品質・精度が多く、入れた設備は発光分光分析装置や鋳型造型機、射出成形機、電気炉など工程の要になる機械です。新事業進出・ものづくり補助金の採択事例でも、製造業の事例は76件で、品質・技術を課題にした事例が33件あります。
新事業進出・ものづくり補助金が向いている会社
試作や評価の結果がすでにあり、新しい素材や部品を量産する設備が足りない会社です。性能の数字と、買ってくれそうな顧客の名前の挙がった計画は、審査で中身を示しやすくなります。
枠選びに迷う会社
新製品と言えるか、今の製品の改良か、線引きが難しい会社です。性能が数字で今の製品と違うか、売る相手が今と違うかを先に整理し、どちらにも当たらなければ省力化投資補助金に切り替えます。2つの補助金を同じ年に使う決まりは補助金は併用できる?で取り上げています。
間違えやすい点
素材系の工場で間違えやすいのは、炉や設備の更新と、試作の原材料の扱いです。
既存の機械装置・システム等の単なる置き換えに係る経費は対象外です。古い溶解炉や成形機を同じ能力の新しい機械に替えるだけでは、新しい製品や市場の計画になりません。
原材料費の決まりは、「原材料費:試作品の開発に必要な原材料・副資材。補助事業実施期間終了日時点の未使用残存品は対象外」です。量産で使う原料や、終わったときに残った材料は入りません。
採択された額から交付のときに減らされやすい経費は交付決定額が採択額より減るのはなぜ?で取り上げています。
よくある質問
集塵機や排水処理の設備は対象ですか?
新しい製品を作るために欠かせない設備なら、機械装置・システム構築費に入りえます。今の工場の環境対策だけを目的にした設備は、新しい製品や市場の計画にはなりません。
分析装置や試験機だけの申請はできますか?
革新的新製品・サービス枠は機械装置・システム構築費が必須で、分析装置も入ります。ただし、その装置で何を開発し、どう売るかまで計画に書く必要があります。
中古の成形機や炉は対象ですか?
ほかの質問も見る補助金のよくある質問出典(4件)
- 新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.8『1-2-2. 新事業進出枠』
- 新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.6『1-2-1. 革新的新製品・サービス枠』
- 新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.7『1-2-2. 新事業進出枠』
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募) p.12『1-5(2)④ その他の要件』
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