課題解決型製品・サービス等の試作品開発・改良助成|4つのテーマと対象経費
この記事の要点
防災、介護・福祉、DX、暑さ対策といった東京の課題に役立つ製品やサービスの試作品を作る・改良する都内の中小企業が使える東京都中小企業振興公社の助成です。4つのテーマと対象経費、面接審査までの流れ、間違えやすい点を募集要項で整理しました。
この記事の目次
課題解決型製品・サービス等の試作品開発・改良助成は、防災・介護福祉・DX・暑さ対策という東京の4つの課題のどれかに役立つ製品やサービスについて、都内の中小企業が試作品を開発・改良する費用を、東京都中小企業振興公社が助成する制度です。
上限は2,000万円、助成率は3分の2以内で、今の回の受付は第2回 2026年9月14日~10月30日17時です。
社会の困りごとに応える製品やサービスを開発中の会社が、この助成の対象になるか、どの経費がいくらまで出るか、審査で何を見られるかを知りたい方に向けた記事です。公社の公式ページと募集要項をもとに書いています。
東京都の課題解決型製品・サービス等の試作品開発・改良助成とは?
公社の正式な事業名は「課題解決型技術開発促進事業」です。市場に出すことを目指す製品・サービスの核になる試作品について、設計・製作・試験評価を行う費用が対象です。サービスの場合は、サービスに組み込むハードウェアやソフトウェアの試作品が対象になります。
申請できるのは都内中小企業者、都内での創業を具体的に計画している者などです。会社は都内に登記上の本店か支店、個人事業主は都内の開業届が必要で、都内の事業所で1年以上実際に事業をしていること(都内で創業して1年未満も可)が条件です。創業予定の個人は、交付決定のあと速やかに開業します。
社会福祉法人・医療法人・NPO法人・一般社団法人・一般財団法人・学校法人・LLPは申請できません。各回の申請は1社1件まで、同じ年度に採択されるのも1社1件までです。公社のほかの助成と比べたいときは、東京都中小企業振興公社の助成金一覧で制度ごとに整理しています(東京都中小企業振興公社「令和8年度第2回 課題解決型技術開発促進事業(試作品開発・改良助成)募集要項」 p.6『申請要件』)。
4つの支援テーマにはどんな開発が入る?
申請では、4つのテーマから最も当てはまるものを1つ選びます。テーマとの合い方は審査の最初の観点で、どの都市課題をどう解決するかを説明できることが前提です。
| 支援テーマ | 開発の例 |
|---|---|
| ①持続可能で安全・安心な東京 | 防災・減災の機器、事業のリスク対策、感染症対策、セキュリティ、子どもの見守り |
| ②高齢者・障害者のニーズ充足、介護従事者の負担軽減 | 福祉用具やアクセシビリティ、次世代の介護機器、アクティブシニア向けの製品、パラスポーツ |
| ③DXの推進 | 業務の効率化や自動化、営業・マーケティングの強化、データ活用、特定の業界向けのシステム |
| ④暑さ対策 | 熱中症対策、気候変動への適応、暑さに備える設備・インフラ、暑さの管理・モニタリング |
出典:東京都中小企業振興公社「令和8年度第2回 課題解決型技術開発促進事業(試作品開発・改良助成)募集要項」 p.3『支援テーマ』
反対に、販売の予定がない研究開発、他社の技術の実用化、開発の主な部分を自社で行わず外注が大部分を占める計画、すでに開発がほぼ終わっている計画、特定の顧客だけに向けた開発は対象外です。開発費に使えるほかの制度は開発費・試作品開発費に使える補助金で並べています。
対象の経費と、人件費の上限は?
経費は7つの区分に分かれ、原材料・機械装置・外注・特許出願・人件費・専門家指導・認証などの開発・改良経費が対象です。社内の技術者の人件費が入る点が、この助成の大きな特徴です。
- 原材料・副資材費:試作品の部品や開発で使う材料。使い残しは対象外です。
- 機械装置・工具器具費:試作用の金型、計測機器、ソフトウェア、クラウドの利用料。購入のほかリース・レンタルも対象です。
- 委託・外注費:研究開発の委託、共同研究、無償で貸し出すユーザーテスト。要求仕様書が要ります。
- 産業財産権出願・導入費:特許の出願(外国出願の代理人費・翻訳料を含む)、権利の譲渡や実施許諾の費用です。
- 直接人件費:開発の工程に直接かかわった役員・社員の時間分で、直接人件費の助成金交付申請額は助成対象期間の合計で1,000万円までです。
- 専門家指導費:外部の専門家による技術指導の謝金。毎回の指導報告書が要ります。
- 規格認証・登録費:認証や登録の審査料と、認証に向けた外部の指導・研修の費用です。
人件費の時間は1人1日8時間・年1,800時間までで、残業・休日出勤、進行管理や会議の時間、現金で払った給与は対象外です。パソコン・タブレットなどの汎用の機器、中古品、保守・運用費、市場調査や広報の費用も外れます。国の補助金で試作開発を進める場合の経費の考え方は新事業進出・ものづくり補助金の概要で取り上げています(東京都中小企業振興公社「令和8年度第2回 課題解決型技術開発促進事業(試作品開発・改良助成)募集要項」 p.14『助成対象経費』)。
申請から面接審査、交付決定までの流れは?
申請はJグランツの電子申請だけで、持参・郵送・メールでは受け付けていません。審査は書類審査と面接審査の2段階です。
- GビズIDプライムのアカウントを用意する。発行には2週間程度かかり、手順はGビズIDプライムの取得の手順で取り上げています。
- 申請書(Excel)、確定申告書、登記簿、納税証明書、見積書などをそろえ、受付期間内にJグランツで出す。
- 一次の書類審査と、二次の面接審査を受ける。時期は第2回 書類審査 2027年1月中旬、面接審査 2027年2月上旬です。
- 総合審査会を経て、第2回 2027年3月末(予定)に交付が決まる。
- 助成対象期間(第2回 2027年4月1日~2028年12月31日(1年9か月以内))の中で、目標とした試作品を完成させる。
- 終了から15日以内に実績報告を出し、完了検査で額が確定してから請求する。終わった翌年度から5年間は事業化の状況を毎年報告します。
面接では、申請書以外のパネルなどは持ち込めませんが、模型や今の製品のサンプル、ソフトウェアならパソコンは持ち込めます。出席できるのは代表者・役員・社員だけで、コンサルタントや委託先は同席できません(東京都中小企業振興公社「令和8年度第2回 課題解決型技術開発促進事業(試作品開発・改良助成)募集要項」 p.32『審査』)。
間違えやすい点
この助成は、試作品の完成を条件にした後払いです。目標の立て方と、変更の手続きでつまずきやすくなります。
助成対象期間の中で、申請時に決めた達成目標を満たす試作品が完成しないと、それまでの経費も含めて助成の対象になりません。達成目標はあとから変えられません。
申請の内容を変えるときは、事前の承認が要ります。承認を受けずに変えた分の経費は対象外です。
試作品を売れるのは、完了検査の翌日からです。事業の途中で販売した場合は対象外になります。
同じテーマ・同じ経費で、公社・国・都道府県・区市町村の助成を受けていないことも条件で、過去に受けた分も含みます。過去に公社の助成を受けた会社は、その報告をすべて出し終えている必要があります。発注の時期の考え方は交付決定前の発注・契約が対象外になる理由で取り上げています(東京都中小企業振興公社「令和8年度第2回 課題解決型技術開発促進事業(試作品開発・改良助成)募集要項」 p.9『申請要件』)。
専門家から見たポイント
上限が大きく、社内の人件費まで入るため、自社で開発チームを持つ会社が本格的な試作に使える制度です。一方で、テーマとの合い方と、完成させる目標の確かさが厳しく見られます。
向いている会社
介護の現場や防災、暑さ対策など、困っている人や場面がはっきりしていて、その解決に技術の新しさがある製品を作る会社です。審査では適合性・優秀性・市場性・実現性・妥当性の5つが見られるため、誰のどんな困りごとを、今の製品より何がよい方法で解くかを数字で示せると評価されやすくなります。
開発が終わったあとは、展示会やサイトでの売り込みに使える東京都の市場開拓助成事業のような販路の制度もあり、この助成を終えた会社だけが申し込める販路拡大助成の枠(上限350万円(先導的ユーザーへの導入費を含む))も用意されています。
迷う会社
開発の大部分を外部の会社に任せる計画は、自社で主な部分を行わない事業として対象外になるおそれがあります。すでに試作品がほぼ完成している会社も、開発がほぼ終わっている計画とみなされることがあります。試作前の技術の検証から始めたい会社は、公社の製品開発着手支援助成事業を先に比べます。
達成目標は、完了検査で確かめられる形で書くことが大切です。「性能を上げる」ではなく、測れる数値や確認の方法まで決めておくと、目標未達のおそれを減らせます。
御社の開発がどのテーマに当たるか、達成目標をどう立てるかは、専門家に無料で相談できます。
よくある質問
ソフトウェアやアプリの開発も対象?
対象です。DXの推進のテーマなどで、市場に出す製品・サービスの核になるソフトウェアの試作品を作る場合に当てはまります。
創業前の個人でも申請できる?
都内での創業を具体的に計画していれば申請できます。交付決定のあと速やかに開業し、開業届の写しや登記簿を出します。
開発をほとんど外注しても対象になる?
外注が全部や大部分を占める計画は対象外です。開発の主な部分は自社で行い、外注は一部にとどめます。
面接審査にコンサルタントは同席できる?
同席できません。出席できるのは代表者・役員・社員だけです。
今の製品を改良する場合も申請できる?
改良も対象で、改良前の製品の説明資料を出します。既製品のまねや技術の要素がない改良は対象外です。
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