補助金の事業計画で売上予測はどう作る?審査で見られる根拠の出し方
この記事の要点
補助金の事業計画の売上予測は、客数と客単価のように分けて、1つずつの数字に根拠を付けて作ります。審査で売上の見込みが見られる項目、業種ごとの分け方、数字ごとの根拠の種類、市場と競合の書き方を公募要領で整理しました。
この記事の目次
補助金の事業計画の売上予測は、「客数×客単価×回数」のように分けて、1つずつの数字に根拠を付けて作ります。合計の売上だけを「前年比120%」と書くより、どの数字がなぜ増えるかが読める計画のほうが、審査で実現できる計画と判断されやすくなります。
根拠に使うのは、自社のこれまでの実績、試しに売った結果、商圏や市場の統計、取引先からの引き合いです。補助事業で何をするかと、どの数字が増えるかを1対1でつなげて書きます。
補助金の事業計画書で、売上の見込みをどう作り、どこまで根拠を書けばよいのかを知りたい方に向けた記事です。
持続化補助金と成長加速化補助金の公募要領・公募概要資料から、審査で売上の見込みがどう見られるかと、根拠の出し方に絞って整理します。
審査で売上の見込みが見られる項目
売上の見込みは、計画が実現できるかと、補助事業が効果を生むかの両方で見られます。持続化補助金の計画審査は、計画審査:①自社の経営状況分析の妥当性 ②経営方針・目標と今後のプランの適切性 ③補助事業計画の有効性 ④積算の透明・適切性の4つです1。
そのうち「補助事業計画の有効性」について、創業型の公募要領は「計画審査③補助事業計画の有効性:具体的で必要かつ有効か、実現可能性、客観的事実に基づく目標、新たな価値を生む商品・サービス、デジタル技術の活用、取得資産の継続使用が明確か」と書いています。客観的な事実に基づく目標かどうかが、審査の言葉として明記されています。持続化補助金の計画書全体の書き方は持続化補助金の経営計画書の書き方で取り上げています。
売上予測は客数と客単価に分けて作る
売上を分けて書くと、補助事業のどの取り組みがどの数字を動かすかが読めます。業種によって分け方は変わります。
| 業種の例 | 売上の分け方 | 補助事業で動く数字の例 |
|---|---|---|
| 飲食店・美容室 | 席数(人数)×回転数×客単価×営業日数 | 新メニューで客単価、予約システムで回転数 |
| 小売・EC | アクセス数×購入率×客単価 | サイトの改修でアクセス数と購入率 |
| 製造業 | 生産量×単価、または受注件数×1件の金額 | 新しい設備で生産量、新製品で単価 |
| サービス業 | 契約件数×月額×継続月数 | 広告で新しい契約件数 |
補助事業でしない取り組みの効果まで売上に入れると、何が補助事業の成果か読めなくなります。補助事業で動く数字だけを動かし、ほかは今の実績のまま置くと、計画の筋が通ります。数字の分け方を業種ごとに見たい場合は飲食店が使える補助金も参考になります。
売上の数字ごとに付ける根拠の種類と強さ
分けた数字には、それぞれ1つ以上の根拠を付けます。根拠が強い順に並べると次のとおりです。
- 自社の実績:過去の月ごとの客数や単価、似た商品を出したときの伸び。
- 試した結果:試しに売った件数、問い合わせの数、予約の入り方。
- 取引先の声:引き合いの件数、発注の意向を示した書面やメール。
- 公的な統計:商圏の人口や世帯数、業界の市場規模。
成長加速化補助金の公募概要資料は、審査員の感想として「審査員の感想(経営力):経営シナリオが「絵に描いた餅」になっていないか。数字の根拠、実現の仕組み、人材確保等の手段が全てかみ合っているか」と書いています(成長加速化補助金 3次 公募概要資料 p.30『審査員の感想【経営力】』)。大きな補助金ほど、数字と実現の手段がかみ合っているかが見られます。審査の傾向は補助金の審査で見られるポイントで取り上げています。
市場と競合を書くときの深さの目安
市場と競合は、御社の売上予測が市場の中で無理のない大きさかを示すために書きます。業界全体の市場規模を書くだけでは、御社の売上の根拠になりません。
成長加速化補助金の審査項目は「経営力(ウ):外部環境・内部環境を分析した上で戦略が構築され、ユーザ・市場とその規模が明確で市場ニーズの検証(先行投資、事業化可能性調査、テストマーケティング等)がなされているか」としています2。公募概要資料の審査員の感想も、審査員の感想(実現可能性):市場・競合の分析の解像度が高く、事業のダウンサイドリスクも含めて評価されているかと書いています。
- 御社の商圏や販路で、狙う顧客は何人(何社)いるか。
- そのうち何割を取る計画か、その割合は競合と比べて無理がないか。
- 計画どおりに進まなかったとき、どの数字がどこまで下がるか。
悪い場合の見込みまで書いておくと、計画を作った人が自社の事業を冷静に見ていることが伝わります。新しい市場に出る計画の考え方は新事業進出・ものづくり補助金の対象経費でもふれています。
専門家から見た売上予測のポイント
売上予測で差がつくのは、伸び率の大きさではなく、数字と取り組みのつながりです。持続化補助金の採択事例のうち、売上の伸びを%で示した事例の真ん中の値は20%で、大きすぎる伸びを書かなくても採択されている事例が多くあります。
根拠が伝わりやすい会社
月ごとの客数や単価を記録していて、補助事業の取り組みがどの数字をどれだけ動かすかを、過去の似た取り組みの結果で示せる会社です。
根拠が弱くなりやすい会社
売上の合計だけを記録していて、伸び率を「業界平均」や「目標」で置いてしまう会社です。まず直近の数か月分の客数と単価を集めるところから始めると、計画に書ける根拠が増えます。採択された計画の成果の数字は採択事例のデータで確かめられます。
間違えやすい点
売上予測で間違えやすいのは、伸ばしすぎ、補助事業との切り離し、後の報告の3つです。
計画に書いた売上や利益の数字は、採択の後の報告で実績と比べられます。持続化補助金は「様式第14提出時の売上高・売上総利益が補助事業終了時と比較し増加することが見込める事業であること(定量的な成果を様式2に記載)」としており、無理な数字は後の報告で自社を苦しめます。
売上が伸びる理由に、補助事業と関係のない取り組みを混ぜないようにします。審査では、補助事業の効果として読める数字かどうかが見られます。
報告で目標に届かなかったときの扱いは効果報告で目標に届かなかったら?で取り上げています。
よくある質問
創業したばかりで実績がないときはどう書けばよいですか?
試しに売った結果や、予約・問い合わせの数、前の勤め先での経験の数字を根拠にします。商圏の人口など公的な統計と組み合わせて、狙う顧客の数から積み上げます。
売上は何年先まで書けばよいですか?
補助金ごとに決まった事業計画期間の分を書きます。持続化補助金は補助事業の後の1年、大きな補助金は3〜5年の計画を求めます。
売上が下がる見込みを書いてもよいですか?
ほかの質問も見る補助金のよくある質問出典(2件)
- 持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版 p.33『12. 採択審査』
- 中小企業成長加速化補助金(3次公募)公募要領 p.21『8.主な審査内容』
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