飲食店が使える補助金は?集客・人手不足・注文システム別の選び方
この記事の要点
飲食店の補助金は困りごとで選びます。集客や持ち帰りは持続化補助金、配膳ロボットや券売機は省力化投資補助金のカタログ注文型、予約・注文・会計のシステムはデジタル化・AI導入補助金、新業態は新事業進出・ものづくり補助金です。
この記事の目次
飲食店の補助金は、困りごとで選びます。客を増やす看板・チラシ・持ち帰り用の機械は持続化補助金、人手不足を補う配膳ロボットや券売機は省力化投資補助金のカタログ注文型、予約・注文・会計のシステムはデジタル化・AI導入補助金です。
セントラルキッチンや冷凍食品の製造など、今の店とは違う事業を始めるなら新事業進出・ものづくり補助金が候補になります。同じ経費を2つの制度に重ねて申請することはできません。
飲食店を営んでいて、自分の店の困りごとにどの補助金が合うのかを知りたい方に向けた記事です。
持続化補助金、省力化投資補助金、デジタル化・AI導入補助金、新事業進出・ものづくり補助金の4つの公募要領と、飲食・宿泊業の採択事例から、使い分けを整理します。
困りごと別に選ぶ飲食店の補助金
飲食店が使いやすい補助金は4つあり、どれを選ぶかは「客が足りない」「人が足りない」「事務が回らない」「新しい事業を始めたい」のどの困りごとかで決まります。
| 困りごと | 合う制度 | 飲食店での使い道 | 補助上限の目安 |
|---|---|---|---|
| 客が足りない・知られていない | 持続化補助金(通常枠) | 看板、チラシ、ホームページ、持ち帰り用の真空包装機、客席の入れ替え | 50万円(特例で上乗せあり) |
| 人が足りない・作業が重い | 省力化投資補助金(カタログ注文型) | カタログに載った配膳ロボット、券売機、厨房機器など | 従業員5人以下:500万円(大幅な賃上げを行う場合750万円) |
| 予約・注文・会計の手間 | デジタル化・AI導入補助金(通常枠) | セルフオーダー、テーブル管理、予約台帳、食材管理のソフト | 5万円~150万円未満(1プロセス以上) |
| 新しい事業を始めたい | 新事業進出・ものづくり補助金(新事業進出枠) | セントラルキッチン、冷凍食品の製造・通販、食品工場 | 従業員数1~20人:2,500万円(賃上げ特例適用時 3,000万円) |
補助上限は従業員の数や特例で変わり、表は小さな店に当てはまる段を載せています。補助率や対象者の決まりは補助率とは?6制度の補助率一覧で比べられます。
集客や持ち帰りの取り組みは持続化で
店を知ってもらう、昼や平日の空きを埋める、持ち帰りや通販を始める、という取り組みには持続化補助金が合います。常時使用する従業員の数が「商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)5人以下/宿泊業・娯楽業20人以下/製造業その他20人以下(常時使用する従業員)」の小規模事業者が対象です1。
飲食店は「商業・サービス業」に入るため、従業員5人以下が目安です。厨房の機械は機械装置等費、店の改装は委託・外注費、看板やチラシは広報費として計上します。
持続化補助金での飲食店の使い道と採択事例は飲食店・宿泊業の持続化補助金でくわしく取り上げています。
人手不足の厨房機器は省力化カタログで
ホールや洗い場の人手が足りない店は、省力化投資補助金のカタログ注文型で、あらかじめ登録された製品から選んで入れる方法が手早く済みます。カタログとは、「カタログ:中小企業等が簡易・迅速に導入できる人手不足解消効果のある汎用製品を、あらかじめ補助対象として登録した製品のリスト。事務局のホームページ等で公開」のことです2。
カタログ注文型は、採択と同時に交付決定が行われるため、計画書を一から書く制度より導入までが短くなります。製品は登録された販売事業者と一緒に申請し、製品に結び付けられた業種が店の業種と合っている必要があります。
- 配膳ロボット:料理を運ぶ往復を減らし、ホールの人数を減らせる
- 券売機・セルフレジ:注文と会計の時間を短くし、ピーク時の待ちを減らせる
- スチームコンベクションオーブン・食器洗浄機:仕込みや洗い物の手間を減らせる
どの製品が載っているかは、省力化投資補助金の公式サイトの製品カタログで調べます。申請の流れと販売事業者の選び方は省力化投資補助金カタログ注文型の申請方法で取り上げています。
予約・注文・会計のシステムに使える枠
予約の管理、テーブルでの注文、メニューや食材の管理をソフトで楽にしたい店は、デジタル化・AI導入補助金が合います。通常枠では飲食業向けの業務として「飲食業(飲P-06):調理・献立・食材管理、テーブル管理、レシピ・メニュー管理・棚卸、複数店舗・FC管理、セルフオーダー・オーダーエントリー、店舗改善業務管理」が挙げられています3。
POSレジや券売機の本体は、通常枠ではなくインボイス枠で、会計や決済のソフトと一緒に買う場合に対象になります。ソフトとパソコン・レジを別の制度に分けて申請するより、1つの枠でまとめたほうが手続きが少なく済みます。
レジや券売機も対象になる枠はデジタル化・AI導入補助金のインボイス対応類型で取り上げています。
新業態やセントラルキッチンに合う制度
今の店とは違う事業を始める場合は、新事業進出・ものづくり補助金が候補になります。冷凍食品を作って通販や卸に売る、複数店に料理を出すセントラルキッチンを作る、といった、新しい市場に向けた設備や建物への投資が対象です。
申請には「3~5年の事業計画に取り組むことが必要」とされ、付加価値額の目標として「付加価値額の年平均成長率4.0%以上(付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費)」も求められます4。賃金を上げる目標も加わるため、持続化補助金より計画書の負担はかなり大きくなります。
セントラルキッチンを作る場合の条件はセントラルキッチンに使える補助金で取り上げています。
専門家から見た飲食店の補助金のポイント
飲食店の補助金選びでいちばん多い迷いは「客を増やしたいのか、人を減らしたいのか」が混ざっていることで、先にどちらかに決めると制度が1つに絞れます。採択事例でも、飲食・宿泊の事例80件の課題は「集客・繁閑」が48.8%、「生産性・人手不足」が18.8%と、集客の悩みが中心です。
飲食・宿泊の事例で使われた経費は、広報費が50.0%、機械装置等費が43.8%です。看板やチラシで知らせる取り組みと、冷凍や調理の機械で売り物を増やす取り組みを組み合わせた計画が多く見られます。
持続化補助金から始める店
席は空いているのに客が来ない店です。客を増やす計画は持続化補助金の審査の中心にある販路開拓そのもので、看板、チラシ、持ち帰りの機械をまとめて1つの計画にできます。
省力化投資補助金を先に考える店
客は来ているのに人手が足りず、席を減らしたり営業時間を短くしたりしている店です。配膳や洗い物の機械で人の手を空ければ、今の客を逃さずに済みます。申請の画面では人手不足の状況も入力するため、何人分の作業が減るかを先に見積もります。
飲食・宿泊の採択事例は採択事例のデータで業種を選んで探せます。
間違えやすい点
飲食店の補助金で間違えやすいのは、制度の重ね方、対象外の機器、交付決定前の購入の3つです。
同じ機械やソフトを、2つの補助金に重ねて申請することはできません。持続化補助金で客席を入れ替え、省力化投資補助金で配膳ロボットを入れる、のように経費を分ければ、両方を使える場合があります。
持続化補助金では、タブレットやパソコン、キッチンカーなどの車両は対象外です。注文用のタブレットはデジタル化・AI導入補助金の対象になるかを先に確かめます。
どの制度も、交付決定の前に注文や支払いをした機械は対象外です。見積を取るのはかまいませんが、発注は交付決定の後にします。
補助金を組み合わせるときの決まりは補助金の併用ルールで整理しています。
よくある質問
個人経営の小さな飲食店でも使えますか?
使えます。4つの制度とも個人事業主が対象に含まれ、持続化補助金は従業員5人以下の小さな店のための制度です。
開業前の飲食店でも申請できますか?
持続化補助金には、創業して間もない事業者向けの創業型があります。省力化投資補助金やデジタル化・AI導入補助金は、申請時に事業を営んでいることが前提です。
店の改装工事は対象になりますか?
持続化補助金では、客を増やすための改装を委託・外注費で計上できます。建物の増築など不動産の取得に当たる工事は対象外です。
食材の仕入れや家賃に使えますか?
使えません。ふだんの営業でかかる食材費や今の店の家賃は、どの制度でも対象外です。
補助金はいつ受け取れますか?
ほかの質問も見る補助金のよくある質問出典(4件)
- 持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版・商工会議所地区 p.4『2.(1) 小規模事業者であること』
- 省力化投資補助金 カタログ注文型 公募要領 p.3『1-2 定義(1)』
- デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 公募要領 第7回からの改訂版 p.39『別紙2 業種・プロセス一覧』
- 新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.11『1-3. 補助対象事業の要件』
参考資料
- 全国商工会議所「持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区)」
- 中小企業基盤整備機構「省力化投資補助金 カタログ注文型 公募要領」
- 中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助金 公式サイト」(製品カタログ)
- 中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 公募要領(第7回からの改訂版)」
- 中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(インボイス対応類型)公募要領(改訂版)」
- 中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領」
- 公募要領の台帳(持続化補助金)
- 公募要領の台帳(省力化投資補助金)
- 公募要領の台帳(デジタル化・AI導入補助金)
- 公募要領の台帳(新事業進出・ものづくり補助金)
確認日:2026年10月17日
専門家が内容を確認しました(2026年10月17日)
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