新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の対象者|創業・法人成り・グループ会社
この記事の要点
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の対象者を整理。創業1年未満は新事業進出枠だけ不可、法人成りは時期で扱いが変わり、50%超の別会社は1社のみ。一次産業・再エネの扱いも、申請前の社長向けに公募要領で確かめます。
この記事の目次
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回公募)は、日本国内に本社と補助事業の実施場所がある中小企業者や個人事業主などが対象で、締切は2026年10月30日(金)18:00です。
創業・設立から1年未満の事業者は新事業進出枠に申請できませんが、革新的新製品・サービス枠とグローバル枠には申請できます。
親会社と50%超の子会社、同じ人が50%超を持つ複数の会社は1社しか申請できず、補助上限は枠と従業員数により750万円〜9,000万円(賃上げ特例を含む)です。
創業したばかり、個人事業主から会社にしたばかり、社長が別会社も持っている。こうした会社の社長が、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金に申請できるかを確かめるための記事です。対象者の条件、創業1年未満・法人成り・グループ会社の扱い、一次産業や再生可能エネルギーの事業がどうなるかを、第1回公募の公募要領(1.3版、2026年9月)と事務局のよくある質問をもとにまとめます。
新事業進出・ものづくり補助金の対象者は?基本の条件
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の対象は、日本国内に本社と補助事業の実施場所があり、資本金か常勤従業員数が業種ごとの基準以下の中小企業者などです。
補助事業の実施場所とは、補助金で買う機械や建てる建物を置く場所、または主に管理する場所のことです。対象になれるのは、中小企業者(会社・個人事業主・一部の組合)、小規模企業者・小規模事業者、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、農事組合法人、対象リース会社の6種類です。一般社団法人・財団法人、医療法人、法人格のない任意団体は対象外です。
中小企業者に当たるかどうかの基準を、主な業種ごとに並べた表です。資本金と常勤従業員数のどちらか一方が基準以下なら中小企業者になります。
| 業種 | 資本金 | 常勤従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
この記事の締切・上限・補助率は第1回公募のものです。公募回ごとに変わるため、最新の公募要領で確認が必要です。
出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回)公募要領 p.18『1-4-1. 補助対象者』
中小企業者でも対象外になる主な条件
中小企業者の基準を満たしていても、次のどれかに当たると申請できません。条件は応募申請の時点で判定されます。
- 応募申請の時点で従業員が0名(社長1人だけの会社や個人事業主)
- みなし大企業(例:発行済株式の1/2以上を同じ大企業が持っている)
- 直近3年分の課税所得の年平均が15億円を超える
- 申請締切日から数えて16か月以内に、事業再構築補助金・新事業進出補助金・ものづくり補助金・この補助金のいずれかで採択された、または締切時点でその補助事業を実施中
- 応募申請日から数えて過去3年間に、事業再構築補助金・新事業進出補助金・ものづくり補助金の交付決定(事務局から「この内容で補助します」と正式に通知されること)を合計2回以上受けた
申請のためだけに一時的に減資したり従業員を減らしたりした場合も、対象外になります。従業員0名の扱いは、創業直後の会社や法人成りしたばかりの会社でつまずきやすい点です。
創業1年未満は、新事業進出枠だけ申請できません
新規設立・創業から1年に満たない事業者は新事業進出枠の対象外で、革新的新製品・サービス枠とグローバル枠には申請できます。
3つの枠で、創業1年未満の扱いと、決算書がまだないときに出す書類を比べた表です。
| 枠 | 創業1年未満 | 決算書がないときの書類 |
|---|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 申請できる | 法人:履歴事項全部証明書/個人事業主:開業届 |
| 新事業進出枠 | 申請できない | 代わりの書類は認められず、最低1期分の決算書が必要 |
| グローバル枠 | 申請できる | 法人:履歴事項全部証明書/個人事業主:開業届 |
出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回)公募要領 p.23『1-4-2. 補助対象外となる事業者』
「1年」はいつの時点で数えるか
事務局のよくある質問(Q9)では、新事業進出枠の「1年」は応募申請の時点を基準にすると答えています。たとえば2025年11月1日に設立した会社が2026年10月20日に申請すると、まだ1年に満たないため新事業進出枠には申請できません。
創業1年未満の会社が革新的新製品・サービス枠に申請する場合でも、従業員0名なら対象外です。補助上限は従業員数で決まり、革新的新製品・サービス枠の従業員1〜5人の会社は750万円(賃上げ特例で850万円)、補助下限は100万円です。
個人事業主から法人成りした会社は、時期によって扱いが変わります
法人成りした会社は申請できますが、応募申請の前・交付決定の前・交付決定の後のどこで法人成りしたかで扱いが変わります。
法人成り(個人事業主が会社をつくり、事業を会社に移すこと)の時期ごとに、扱いをまとめた表です。
| 法人成りの時期 | 扱い |
|---|---|
| 応募申請より前 | 法人として申請できる。新事業進出枠で法人設立1年未満なら、事務局が「承継の事実」を確認できる場合に限り、個人事業主時代の実績を含めて要件を確認する |
| 応募申請後、交付決定より前 | 法人成りで交付申請の権利を移すことは認められない。採択された個人事業主以外は交付決定を受けられない |
| 交付決定の後 | 事前に事務局の承認が必要。承継日以降の請求書・納品書などは法人名で作成されている必要がある |
出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回)公募要領 p.54『4-1. 補助事業者の義務・注意事項(1)交付決定前の事業承継の禁止』
申請前に法人成りしたときに確かめること
事務局のよくある質問(Q74)によると、新事業進出枠で法人設立1年未満の会社が申請するときは、承継に関する契約書の写し、廃業届、履歴事項全部証明書、個人事業主時代の青色申告決算書などで承継の事実を示します。決算書は最低1期分が必要です。
個人事業主のときに交付決定を受けたことがある人が設立した法人は、個人事業主と同一の事業者として扱われます。会社を新しくつくっても、過去の採択・交付決定の回数は引き継がれると考えて確認してください。
交付決定の後に法人成りすると、個人事業主と法人がそれぞれ1回ずつ採択・交付決定を受けたものとして扱われます。補助事業の途中で法人成りを予定しているなら、申請前に時期を決めておきます。
グループ会社・別会社は「みなし同一事業者」として1社だけ
親会社と議決権50%超の子会社、同じ個人が50%超を持つ複数の会社は同じ事業者とみなされ、1回の公募で申請できるのは1社だけです。
この「みなし同一事業者」の判定は、親会社・子会社だけでなく、孫会社・ひ孫会社まで同じ考え方でつながります。配偶者・親子など生計を同じにしている人は、すべて同一人物として数えます。
議決権の割合に当てはまらなくても、次の会社どうしは同一事業者とみなされます。
- 代表者と住所が同じ法人
- 主要株主と住所が同じ法人
- 実質的支配者(会社を実際に支配している個人)が同じ法人
たとえば社長が甲社の議決権を60%、乙社の議決権を80%持っていれば、甲社と乙社はどちらか1社しか申請できません。2社とも申請すると、申請した全社が要件を満たさない扱いになります。補助金を受けるために主要株主や出資比率を変えて申請することも認められていません。
出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回)公募要領 p.11『1-2. 補助対象事業枠 注意事項』
グループ会社の事業を引き継ぐ計画も対象外
グループ会社がすでに行っている事業を自社で始める計画は、新たに取り組む事業が容易に実施できるとして対象外です。事業承継の前から相手先が行っていた事業を引き継ぐ場合も同じ扱いです。
補助事業は交付決定を受けた会社自身が行う必要があり、子会社に実施させることはできません。グループ会社や同じ代表者・役員がいる会社への支払いは、補助対象経費になりません。
一次産業への進出は、公募要領では示されていません
農業・林業・漁業に進出する事業を対象外とする規定も、対象とする規定も、公募要領では示されていません。
公募要領に書かれている範囲では、農事組合法人は従業員300人以下で収益事業を行っているなどの条件を満たせば補助対象者になれます。一方、ビニールハウスやコンテナなどの簡易建物の購入費、自動車などの車両の購入費は補助対象外の経費です。
新事業進出枠で一次産業に進出する場合も、ほかの業種と同じく、自社にとって新しい製品等であることと、既存事業で対象にしていなかった顧客層の市場であることが求められます。既存の作物を増産するだけ、商圏を変えるだけの計画は新事業進出枠に当たりません。
出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回)公募要領 p.21『1-4-1. 補助対象者(5)農事組合法人』
再生可能エネルギーの発電設備は補助対象外です
太陽光パネルなど再生可能エネルギーの発電設備と一体の附属設備は補助対象外で、FIT・FIPで売電する場合は関連費用が一切対象になりません。
FIT・FIPは、再生可能エネルギーで発電した電気を国の制度で買い取ってもらう仕組みです。公募要領では、固定価格買取制度などの公的制度と重なる事業は二重受給として対象外としています。
事務局のよくある質問(Q55)では、FIT・FIPを使わない売電や自家消費だけの場合でも、発電設備は補助対象外と答えています。売電しない事業で、BCP(災害時などの事業継続計画)の観点から法令上義務付けられているなど、補助事業に欠かせないと認められる場合に限り、蓄電池は対象になることがあります。
出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回)公募要領 p.34『1-6-2. 補助対象外となる経費』
この補助金のポイント
対象者の条件を満たしたうえで、審査で見られる点と、申請の前後でつまずきやすい点を押さえておくと採択の可能性を高められます。
向いている会社
従業員がいて、3〜5年の事業計画で付加価値額を年平均4.0%以上、1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上伸ばす計画を立てられる会社です。創業1年未満なら革新的新製品・サービス枠かグローバル枠、決算を1期以上終えた会社は新事業進出枠も選べます。
採択されるために効く点
書面審査では、補助対象事業としての適格性、経営戦略との整合性、事業の実現可能性、公的補助の必要性などが見られます。新事業進出枠では新市場性・高付加価値性も審査されます。
加点項目は申請締切日の時点で満たしている必要があります。経営革新計画の承認や事業継続力強化計画の認定は、締切日に有効なものだけが加点の対象です。
よくある失敗
- 社長が持つ2社から同じ公募回に申請し、両社とも要件を満たさない扱いになる
- 決算期を迎えていない会社が新事業進出枠を選び、対象外になる
- 採択後、交付決定の前に法人成りして、交付申請の権利を移せなくなる
- 交付決定の前に機械を発注し、その経費が補助対象外になる
対象者の判定は応募申請の時点で行われます。設立日、従業員数、議決権の割合、過去の採択・交付決定の時期を一覧にしてから枠を選ぶと、申請後に対象外と分かる事態を避けられます。
制度の全体像は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは、枠ごとの要件は新事業進出枠と革新的新製品・サービス枠、経費の範囲は新事業進出・ものづくり補助金の対象経費、ほかの補助金との重複は補助金の併用で確かめられます。数字の根拠は公募要領の台帳にまとめています。
出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回)公募要領 p.45『3-1. 書面審査』
よくある質問
創業したばかりでも申請できる?
革新的新製品・サービス枠とグローバル枠なら、創業1年未満でも申請できます。決算書の代わりに、法人は履歴事項全部証明書、個人事業主は開業届を出します。新事業進出枠は創業1年未満だと対象外です。どの枠でも、応募申請の時点で従業員が0名なら申請できません。
個人事業主から法人成りしたけど出せる?
法人成りした会社も申請できます。新事業進出枠で法人設立1年未満の場合は、事務局が承継の事実を確認できれば、個人事業主時代の実績を含めて要件を確認します。応募申請の後、交付決定の前に法人成りすると、交付申請の権利を法人に移せない点に注意してください。
自分が持っている別会社でも申請できる?
別会社も申請できますが、同じ人が議決権の50%超を持つ会社どうしは、1回の公募で1社しか申請できません。代表者と住所が同じ会社、実質的支配者が同じ会社も同じ扱いです。どの会社で申請するかを先に決めておきます。
グループ会社がやっている事業でも補助対象になる?
グループ会社がすでに行っている事業を自社で始める計画は、補助対象外です。容易に実施できる事業とみなされるためです。補助事業は申請した会社自身が行う必要があり、子会社に実施させることもできません。
一次産業(農業・林業・漁業)に進出する事業も対象になる?
一次産業への進出を対象外とする規定も、対象とする規定も、公募要領では示されていません。新事業進出枠で申請するなら、自社にとって新しい製品等と新しい顧客層の市場という要件を満たす計画かどうかで判断されます。ビニールハウスなどの簡易建物の購入費や車両の購入費は、補助対象外の経費です。
再生可能エネルギーの事業を考えているけど対象になる?
太陽光パネルなどの発電設備と一体の附属設備は補助対象外です。FIT・FIPで売電する場合は、関連費用が一切対象になりません。自家消費だけの場合も発電設備は対象外で、蓄電池が対象になるのは法令上の義務があるなど限られた場合です。
従業員がいない会社でも申請できる?
応募申請の時点で従業員が0名の事業者は、すべての枠で対象外です。この補助金は企業規模の拡大と賃上げを目的としているためです。従業員数は、申請時点の労働者名簿の写しで確認されます。
ほかの質問はよくある質問(新事業進出・ものづくり補助金)にまとめています。
まとめ
申請できるかどうかは、応募申請の時点の設立年数、従業員数、議決権の割合、過去の採択歴で決まります。創業1年未満なら革新的新製品・サービス枠かグローバル枠を選び、グループ会社があるならどの1社で申請するかを決めてから、GビズIDプライムアカウント(発行に1週間程度)の有無を確認してください。使えるか・採択されるかは、専門家がお答えしますのでお問い合わせからご相談ください。
参考資料
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公式サイト
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回、1.3版、2026年9月)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 事務局 よくあるご質問(Q9・Q55・Q73・Q74、2026年10月13日閲覧)
確認日:2026年10月13日
中小企業診断士 神谷 恒一が内容を確認しました(2026年10月13日)。
ものづくり補助金の関連記事
一覧へ公開 2026/10/14
要点新事業進出・ものづくり補助金の採択後は、2か月以内に交付申請、完了30日以内に実績報告、5年間で6回の報告が続きます。採択予定・申請予定の社長向けに、必要書類、入金時期、賃上げ未達の返還額を公募要領で確かめます。
公開 2026/5/21
要点この記事でわかること ものづくり補助金の概算払いの仕組みと精算払いとの違い 概算払いの計算方法と受け取れる金額の上限 申請できる条件と必要書類 概算払いを使っても解決しない資金不足への対処法 ものづくり補助金は採択から入…
公開 2026/5/13
要点対象:新事業進出・ものづくり補助金 第1回に申請する中小企業者・小規模事業者 ポイント:書面審査は適格性・経営戦略との整合性・実現可能性・公的補助の必要性・政策面など7項目、加点17項目・減点5項目 締切:2026年10月30日(金)18:00、採択発表は令和9年1月頃(予定)
公開 2025/5/6
要点対象:新製品開発・新事業進出・輸出に設備投資する中小企業者・小規模事業者 上限:750万円〜7,000万円(大幅賃上げ特例で最大9,000万円)、補助率1/2・2/3 締切:第1回は2026年10月30日(金)18:00、採択発表は令和9年1月予定


