持続化補助金の経営状況分析の書き方|採択計画が書いた強みと弱み
この記事の要点
持続化補助金の審査項目「自社の経営状況分析の妥当性」で見られるのは、売上と利益の状況、商品・サービス、強みと弱みです。採択事例の書き方を手がかりに、数字と事実で分析を書く手順と間違えやすい点をまとめました。
この記事の目次
持続化補助金の審査項目「自社の経営状況分析の妥当性」では、売上と利益の状況、商品・サービスの中身、強みと弱みの3つが、数字と事実で書けているかが見られます。
採択事例を見ると、評価が高い計画は「客数や売上の割合」と「その店にしかない強み」を並べて書き、弱みがそのまま補助事業の課題につながっています。
持続化補助金の経営計画書で、自社の経営状況や強み・弱みをどこまで、どう書けばよいかを知りたい方に向けた記事です。
小規模事業者持続化補助金(通常枠)の公募要領にある審査項目と、採択事例の公開された内容を審査の観点に当てはめた結果から、書き方の要点を整理します。
経営状況分析で審査が見る3つの点
経営状況分析で審査が見るのは、自社の経営の状況、自社の商品・サービス、自社の強みと弱みを正しくつかんでいるかの3点です。計画審査の項目は「計画審査:①自社の経営状況分析の妥当性 ②経営方針・目標と今後のプランの適切性 ③補助事業計画の有効性 ④積算の透明・適切性」の4つで、経営状況分析はその最初に置かれています1。
| 審査が見る点 | 計画書に書くこと | 弱い書き方の例 |
|---|---|---|
| 経営の状況 | 直近数年の売上高・売上総利益、客数、主な売り先の割合 | 「売上は横ばい」とだけ書く |
| 商品・サービス | 何を、誰に、いくらで、どの売り方で売っているか | 業種名と創業年だけで終える |
| 強みと弱み | 客がその店を選ぶ理由と、売上を止めている原因 | 「丁寧な接客」「人手不足」など、どの店にも当てはまる言葉 |
経営状況分析は、続く「経営方針・目標と今後のプラン」と「補助事業計画」の土台になる部分です。ここで書いた弱みが、後の計画で解く課題になります。方針と目標の書き方は経営方針・目標と今後のプランの書き方で取り上げています。
売上と利益の推移は数字で並べる
経営の状況は、売上高と売上総利益を年ごとに並べ、増えた理由と減った理由を1行ずつ添えて書きます。数字が無いと、審査する人は御社の状況を判断できません。
売上総利益とは、売上高から仕入れや材料の原価を引いた、いわゆる粗利のことです。公募要領は補助事業の効果として売上高と売上総利益の両方の増加を求めているため、分析の段階から2つを分けて示します。
- 年ごとの推移:直近2〜3期の売上高・売上総利益を表にする
- 中身の内訳:商品別、客層別、売り先別の割合(例:売上の約8割が1社への卸)
- 変化の理由:仕入れ値の上昇、近くに競合店ができた、主な客の高齢化など
決算書の数字は、補助事業の後に出す報告で比べる元にもなります。売上の目標の立て方は持続化補助金で売上はどれだけ増えた?で取り上げています。
強みは客がその店を選ぶ理由で書く
強みは、客が他の店ではなく御社を選ぶ理由を、事実や数字で裏付けて書きます。「技術力がある」ではなく、「町で唯一、大型車を整備できる」「通販の客が約2,000人いる」のように、確かめられる形にします。
強みを見つけるには、今の客に「なぜうちを選んだか」を聞くのがいちばん早い方法です。リピート率、紹介で来た客の割合、指名の多い商品など、店の記録から拾える数字も強みの裏付けになります。
- 地域で唯一、またはほかに少ない商品・設備・資格
- 長く続いている客や取引先の数と、その理由
- 賞の受賞、メディアの掲載、品評会の評価
- 作り手の経歴や技術を、具体的な製品の特徴で示したもの
強みを生かした販路開拓の実例は業種別の採択事例で読めます。
弱みと課題を補助事業へつなぐ書き方
弱みは、補助事業で解決する課題として書き、強みと同じく事実で示します。弱みを隠すと、補助事業が何のために必要なのかが伝わりません。
よい書き方は「弱み → それで失っている売上 → 補助事業で変えること」の順です。たとえば「ホームページが日本語だけで、平日の客室が空いている」と書けば、英語のサイトを作る補助事業の理由がひと目で分かります。
弱みは多く並べず、補助事業で手を付けるものに絞ります。人手不足や設備の古さなど補助事業で解決しない弱みは、書くとしても1行にとどめます。補助事業で使える経費の区分は持続化補助金の対象経費一覧で確かめられます。
専門家から見た経営状況分析のポイント
経営状況分析でいちばん差がつくのは、強みを書いているかどうかです。採択事例の公開された内容を審査の観点に当てはめると、評価が低くなった事例の多くは「課題は書いているが、強みや売上の状況が書かれていない」ものでした。
採択事例の課題を分けると、「販路・情報発信」が75.3%、「集客・繁閑」が22.3%、「新事業・新市場」が25.5%です。多くの事業者が同じ「知られていない」という弱みを書くため、強みの書き方で計画に違いが出ます。
強みの書き方で評価が上がりやすい会社
客の数、注文の率、売上に占める割合など、強みを数字で言える会社です。評価が高かった事例は「通販の客が約2,000人」「売上の約85%が旅館への卸」のように、強みと弱みの両方を数字で並べていました。
店の記録や会計ソフトから、客数や商品別の売上を1年分出してみると、書ける数字が見つかります。
分析の書き方を見直したほうがよい会社
創業の経緯や代表者の思いで分析の欄を埋めている会社です。経緯は1〜2行にとどめ、今の売上、客、強み、弱みの順に書き直すと、続く方針と補助事業の理由が通りやすくなります。
業種ごとの課題の分け方は採択事例のデータで確かめられます。
間違えやすい点
経営状況分析で間違えやすいのは、強みの言葉、数字の出どころ、過去の採択の扱いの3つです。
「真心」「品質へのこだわり」など、どの店でも書ける言葉だけでは強みになりません。それを示す客の声や数字を1つ以上添えます。
売上や利益の数字は、決算書や確定申告書の数字と合わせます。様式に書いた直近1期の数字は、補助事業の後の報告で比べる元になります。
過去に持続化補助金で採択された事業者は、その結果を踏まえた計画になっているかも審査されます。前回の取り組みで何が変わったかを分析に入れます。
持続化補助金の加点の取り方は持続化補助金の加点要件でまとめています。
よくある質問
創業したばかりで決算の数字がありません。分析はどう書けばよいですか?
決算が無い場合は、開業してからの月ごとの売上や客数、創業計画で見込んだ数字を使います。創業して間もない事業者向けには、創業型という別の枠もあります。
SWOT分析の表は必要ですか?
公募要領はSWOT分析の形を求めていません。強みと弱みを事実で書けていれば、表にするかどうかは自由です。
弱みを書くと審査で不利になりませんか?
不利になりません。審査項目は強みと弱みの両方をつかんでいるかを見ており、弱みが補助事業の理由になります。
商工会・商工会議所に計画書を見てもらえますか?
ほかの質問も見る持続化補助金のよくある質問出典(1件)
- 持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版・商工会議所地区 p.33『12. 採択審査 Ⅱ.計画審査』
参考資料
- 全国商工会議所「持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会議所地区)」
- 全国商工会連合会「持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版(商工会地区)」
- 公募要領の台帳(持続化補助金)
確認日:2026年10月17日
専門家が内容を確認しました(2026年10月17日)
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