ものづくり補助金第11次製造業神奈川県

AI外観検査と追跡管理の仕組みで、超極薄箔の量産に備える

リカザイ株式会社

神奈川県の超極薄金属箔メーカー(従業員25名)国が公開している採択事例です

この事例のポイント

  • メインバンクの紹介で地域の産業支援機関とつながり、やりたいことを補助金の計画に落とし込めた。
  • ものづくり補助金を2回活用し、切断・クリーン設備の後に、AI検査と情報管理の仕組みを入れた。
  • システム会社と現場を巻き込んで作業を分析し、要件を固めたことで、若手を中心に使われる仕組みになった。

事業の経緯

1947年に創業し、圧延の理論を実践して超極薄の金属箔をつくれるようにした。チタン箔などを航空・宇宙や半導体などの分野に納め、精密な二次加工は外部の加工事業者と組んで一貫して対応している。新しい生産方式を取り入れたいとメインバンクに相談し、地域の産業支援機関を紹介されて、ものづくり補助金で自動切断機とクリーン環境設備を入れた。

その設備で新しい受注を得てコロナ禍の売上減少を食い止め、2020年には市の助成で社内のIT基盤も整えた。一方で、月50〜100件の見積もりを紙とエクセルで処理する事務が限界に近づき、量産品への対応も課題になった。2022年に第11次のものづくり補助金に申請し、AI外観検査システムとトレーサビリティ管理システムを導入した。

事業の内容

  1. 課題:小ロット中心の生産1947年の創業以来、超極薄の金属箔をつくり、航空・宇宙、半導体、電子電機など幅広い分野に納めている。製品の7〜8割は研究開発や試作向けの少量の注文で、今後は量産品にも対応できる体制が必要だった。
  2. 課題:紙とエクセルの事務営業部門は月50〜100件の見積もりをエクセルと紙で処理していた。情報が増えて探すのに支障が出ており、業務も特定の人に頼っていた。
  3. 取り組み:1回目の補助金新しい生産方式の導入を考えてメインバンクに相談し、地域の産業支援機関を紹介された。補助金の活用を勧められ、申請計画の添削などの支援を受けて平成29年度補正のものづくり補助金で採択され、新しい受注を得るために自動切断機とクリーン環境設備を導入した。これが新しい受注につながり、コロナ禍の売上減少を食い止めた。2020年には市の助成で、感染対策と働き方改革のための社内のIT基盤も整えた。
  4. 取り組み:AI検査と情報管理の仕組み2022年、第11次のものづくり補助金に申請し、量産品に対応するためにAI外観検査システムを、部門ごとの情報を集めて見える化するためにクラウド型業務アプリを使ったトレーサビリティ管理システムを導入した。ITコーディネーターの勧めで業務アプリを選び、システム会社と工程内の作業を分析して要件を固めてから申請した。設備投資は2023年9月に終わった。

補助金を使った経費

記事の内容から、ものづくり補助金の経費区分にあてはめた区分です。

機械装置・システム構築費AI外観検査システム
機械装置・システム構築費トレーサビリティ管理システム
機械装置・システム構築費自動切断機
機械装置・システム構築費クリーン環境設備

事業の効果

  • 部門ごとに散らばっていた情報が一か所に集まり、見える化が進んだ。
  • 収益の状況が分かるようになり、経営陣がお客さまとの支払い条件の交渉に踏み出した。
  • 現場を巻き込んでつくったため、若手を中心に仕組みが使われている。
  • メディアの取材や工場見学会、業界誌・学会誌への掲載で、費用をかけずに自社を知ってもらえるようになった。
  • 1回目の補助金で入れた設備が新しい受注につながり、コロナ禍の売上減少を食い止めた。

事業者の声

“こういうことをやりたい”を形に(課題設定)して、補助金申請へ結び付けていただいたのが地域の産業支援機関でした。申請計画に落とし込むためには、何をするために必要かという背景や課題、さらには社会的にどの様な効果があるのかも踏まえて、まとめるのは大変だったが、そこをサポートしていただいた。

システム導入により属人化している業務を変え、社内をよりオープンにしたい(社風を変えたい)。

今後2、3年の間には生成AIを導入し、生産管理や受発注業務の高度化を図る。これにより余力ができた人材を再配置したり、業務の見直しも可能となる。2030年頃までは楽しみ。

技術革新は自社にとってだけでなく、社会全体に波及させていくためにも、同社からも地域に発信することも重要だ。

神奈川県の超極薄金属箔メーカー(従業員25名)
出典

相談先と計画づくり

県などの公的支援機関
県などの公的支援機関神奈川県中小企業団体中央会

やりたいことを課題として形にし、何のために必要かという背景や課題、社会への効果まで含めて申請計画にまとめた。システム会社と工程内の作業を分析し、現場を巻き込んで要件を固めてから申請した。

今後の展望

2〜3年のうちに生成AIを入れ、生産管理や受発注の業務を高度にする。余力のできた人を配置し直し、業務も見直す。2047年の創業100年に向けて新製品・新分野、デジタル化、海外展開の土台づくりを進め、長い目では中堅企業の規模もめざす。

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