あんこを軸に、カフェをテイクアウトとネット販売の拠点に変える
有限会社小島製菓
岩手県の和菓子製造業(従業員13名)国が公開している採択事例です
この事例のポイント
- 震災で販路を失い、承継後に土産菓子とカフェで立て直したが、コロナ禍で再び売上が落ちた。
- 地元の商工会議所の担当者に話を聞いてもらうなかで、自社の強みであるあんこに軸を置く方針を自分で導き出した。
- 持続化補助金でキッチンと作業場を整え、カフェをテイクアウトとネット販売の製造拠点に変えた。
- 事業計画の大切さに気づき、補助金の有無に関係なく毎期計画をつくっている。
事業の経緯
1945年に祖父が始めた和菓子店で、法人化後は県内のスーパーに和菓子を卸してきた。父の代に価格競争で売上が減り、東日本大震災では販売先のスーパーが被災して販路を失った。2012年に現代表がカナダから戻って入社し、翌年三代目に就任した。
現代表はお客様の声を聞くためにカフェを開き、土産菓子の卸に軸を移して2020年2月期には承継後最高の売上を出した。ところがコロナ禍で土産菓子が売れなくなり、地元の商工会議所と話し合ってあんこを軸にテイクアウトとネット販売へ転換する方針を固め、持続化補助金でキッチンと作業場を整えた。
事業の内容
- 課題:震災とコロナ禍での売上減少祖父が始めた和菓子店で、かつては県内のスーパー約30店に約40種類を卸していた。父の代に価格競争が激しくなり、東日本大震災では販売先のスーパーが被災して販路を失った。現代表は2013年に三代目として就任し、土産菓子の卸を中心に立て直して2020年2月期には承継後で最高の売上になった。ところがコロナ禍で観光客が減って土産菓子が売れなくなり、カフェも休業した。日配菓子から撤退していたことも裏目に出て、一時は倒産を意識するほど追い込まれた。
- 課題:お客様の声が届かない味には自信があったが、お客様の要望を聞く機会がなく、売り方の力が足りないと感じていた。その対策としてお客様の声を直接聞けるカフェを2013年に開いた。
- 取り組み:商工会議所との対話カフェを開いたときから付き合いのある地元の商工会議所の担当者に相談した。担当者は提案をせずに話を聞き続け、自社の強みは何かを問い続けた。やり取りを重ねるなかで考えが整理され、イートイン中心のカフェをテイクアウトとネット販売の製造拠点に変える方針を自分で導き出した。
- 取り組み:キッチンの拡張と作業場の改装持続化補助金を使い、テイクアウト用の菓子やパンをつくれるようにカフェのキッチンを広げた。広げる際には来店客の意見も取り入れた。ネット販売の商品を梱包・発送する場所を確保するため、作業場も改装した。自慢のあんこを使ったあんぱんをつくり、テイクアウトの主力商品の一つにした。
- 取り組み:子ども向けのクッキー「お菓子は食べるのに、子どもがご飯を食べない」という保護者の悩みを受け、野菜のパウダーなどを練り込んだクッキーを開発し、2021年2月に発売した。
補助金を使った経費
記事の内容から、小規模事業者持続化補助金の経費区分にあてはめた区分です。
| 委託・外注費 | キッチンの拡張工事 |
|---|---|
| 委託・外注費 | 梱包・発送用作業場の改装工事 |
事業の効果
- カフェがテイクアウトとネット販売のための製造拠点になった。
- あんこを使ったあんぱんが、テイクアウトの主力商品の一つになった。
- 野菜パウダー入りのクッキーが近くの学校給食に採用され、子ども食堂でも出されている。
- 補助金の有無にかかわらず、毎期事業計画をつくるようになった。
事業者の声
実は当時、家業を継ぐことは全く考えていなかった。そもそも和菓子もそんなに好きじゃない。
父は味見をしたあと、小島製菓で販売するのではなく、新会社を設立してそこで販売してはどうかと提案してくれた。きっと、「しあわせの酒まんじゅう」の可能性を見出し、借金の多い小島製菓では足かせになると考えたのだと思う。けれど、未だに父の真意には辿り着くことができない。
父は職人気質で、味の原型を築いてくれた。味そのものは優れているものの、お客様のニーズを聞く機会がなく、当社にはマーケティング力が不足していることに気付いた。この課題を克服するため、お客様の声を直接聞けるカフェを開業したいと考えたが、資金的余裕はなかった。さらに、このアイデアを相談する相手もいなかった。
土橋課長と何度もやり取りをするうちに、頭の中が整理されたのです。
頭の中を可視化できる事業計画の重要性に気付き、補助金申請の有無にかかわらず、毎期必ず事業計画を作成しています。こうした計画の重要性を、釜石の全事業者に伝えたい。持続化補助金を申請する際には、申請書を完成させるために、さまざまなことを事前に調べ、想定する顧客のニーズなどを考えることは、実際に事業を進めていくうえでもとても役立ちました。今思うと、補助金申請は、自分一人では決して成し遂げることは出来なかった。土橋課長と真剣に向き合い、自分の考えを語っていく過程で、計画の内容がより具体化していきました。私たち、小規模事業者は資金面の制約が多い中で、挑戦を後押ししてくれる補助金制度は、とてもありがたい存在です。
この先3~5年は会社の基礎固めを行い、強い組織を構築したいと思います。生き残りをかけて、今は種をまいていきたい。これまでは急いで刈り取りを進めるタイプでしたが、これからはじっくり腰を据えて機が熟すのを待ちたいと思っています。
岩手県の和菓子製造業(従業員13名)
出典
- 中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事(当社が書き直し・要約。事業者の声は記事中の発言の引用です)
- 経費区分は、小規模事業者持続化補助金の公募要領の区分に当社があてはめたものです
- 採択率:中小企業庁「採択結果」(第19回)
販路開拓の手段
- テイクアウト:広げたキッチンでテイクアウト用の菓子やパンをつくり、あんこを使ったあんぱんを主力にした。
- ネット販売:改装した作業場で、ネット販売の商品を梱包・発送できるようにした。
相談先と計画づくり
| 商工会議所 | 釜石商工会議所 |
|---|
担当者に話をすべて聞いてもらい、自社の強みは何かを問われ続けるなかで考えを整理した。強みのあんこを軸に、カフェをテイクアウトとネット販売の製造拠点に変える方針を固め、想定する顧客のニーズも事前に調べて計画に落とし込んだ。
今後の展望
この先3〜5年は会社の基礎を固め、強い組織をつくる。これまでの急いで成果を取りにいくやり方から、種をまいてじっくり機が熟すのを待つ経営に移していく考え。
この事例の取り組み
製造業のほかの採択事例
小規模事業者持続化補助金について
直近の第19回の採択率は47.2%(応募16,576件・採択7,819件)。いま申請できる回の締切・補助額・対象経費は、最新の公募の解説でまとめています。
最新の公募を見る