経営を立て直し、費用を抑えた木造の定温倉庫を建てる
株式会社篠崎運送倉庫
埼玉県の総合物流会社(従業員155名)国が公開している採択事例です
この事例のポイント
- 車両のリース料が年2億円に膨らみ、売上は増えても利益が出ない状態から改革を始めた。
- 初期投資と運営費を抑えた木造の定温倉庫を計画し、経営革新計画の認定で資金調達の金利を下げた。
- 地元の商工会が経営革新計画と補助金申請を支え、計画を社内外に発信することで社員の意識と取引先が変わった。
事業の経緯
1969年に設立され、穀物類の加工から保管、運送までを担う総合物流の会社として続いてきた。現代表は大学卒業後に大手製造業に約4年勤めたとき、叔父が経営する会社の承継を打診された。創業者である祖父への尊敬の思いから26歳で継ぐことを決め、2年の期限で物流コンサルティング会社に勤めてノウハウを身につけた。
2021年11月に就任すると、車両のリース料が年2億円に膨らみ、採算の悪い仕事で利益が出ない状態だった。経費削減と売価の見直しで1年で業績を一定程度回復させ、長期借入でリースの残りを一括返済した。そのうえで費用を抑えた木造の定温倉庫を計画し、商工会の支援で経営革新計画の認定と事業承継・引継ぎ補助金の採択を受けた。
事業の内容
- 課題:リース料と赤字の悪循環運送の売上を伸ばすため短い期間に多くの車両をファイナンスリースで入れた結果、年間のリース料が一時2億円に達した。車が空いていると採算の悪い仕事でも受け、利益が出ないのでさらに仕事を取りにいく悪循環に陥っていた。車両整備の子会社も独立採算になっておらず、親会社のコストに響いていた。
- 取り組み:経費削減と売価の見直し2021年11月の代表就任と同時に、役員賞与の削減や、社内の運搬を役員や手の空いた社員が担う体制への変更など経費を徹底して削り、売価も見直した。1年で業績を一定程度回復させ、銀行から長期の借入を受けて残っていたリース料を一括で返し、資金繰りを大きく改善した。
- 取り組み:木造の定温倉庫初期投資と運営費をできるだけ抑えるため、国内初の木造の定温倉庫を埼玉県と岩手県の2か所に建てた。業務用の空調ではなく家庭用エアコンを複数台使うことで設備投資と電気代を大きく抑え、1台が壊れても運用を止めずに修理できる。耐震・耐火の認証の取得など技術面の課題も乗り越えた。
- 取り組み:経営革新計画と補助金建設資金を低い金利で調達するため金融機関に相談し、県の経営革新計画の認定で金利が下がる可能性があると分かった。地元の商工会の支援で計画をつくって認定を受け、あわせて事業承継・引継ぎ補助金を申請し、岩手県の倉庫の初期費用の一部に充てた。別の事業では、県のデジタル活用の補助金にも商工会と外部の専門家の支援で採択されている。
補助金を使った経費
記事の内容から、事業承継・M&A補助金の経費区分にあてはめた区分です。
| 設備費 | 木造の定温倉庫 |
|---|
事業の効果
- 家庭用エアコンを使う木造の倉庫で、設備投資と電気代を大きく抑えた。
- 以前は採用した人が次々に辞めていたが、今は離職が2〜3か月に1人程度になった。
- 計画を社外に発信したことで金融機関から取引先を紹介されるようになり、取引額の上位50社のうち10社以上が直近2年以内に取引を始めた先になった。
- 社内で方針発表会を開くようになり、社員が自分の仕事の目標を考えて周りと意見を交わすようになった。5S活動も活発になった。
事業者の声
創業者である祖父への尊敬の想い、自分にしかできない先の見えない事業への挑戦を選択したい。
車が空いているときに、採算が悪くても運搬の仕事を受注し、採算の悪い仕事の中で利益がでないのでさらに仕事を取りにいかなければならない、売上は上がるが利益が出ないという負のスパイラルに陥っていました。
見たこともない良い数字、結果を出すしかない。
渡邊支援員に引っ張ってもらう形で補助金などの申請を支援してもらっています。
埼玉県の総合物流会社(従業員155名)
出典
- 中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事(当社が書き直し・要約。事業者の声は記事中の発言の引用です)
- 経費区分は、事業承継・M&A補助金の公募要領の区分に当社があてはめたものです
- 採択率:中小企業庁「採択結果」(15次)
相談先と計画づくり
| 商工会 | 鴻巣市商工会 |
|---|
初期投資と運営費をできるだけ抑えた定温倉庫の建設を柱に、経営革新計画をまとめて県の認定を受けた。補助金の申請では、スケジュールや要件を前もって確かめ、計画書と資料を最後に点検した。
今後の展望
代表は総合物流から新しい事業への進出を構想している。商工会は次の構想に向けて前もって提案できる施策を調べており、伴走支援を続ける。
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