メーカー直販Eコマースによる情報発信とWEB市場新規開拓

京都府の製造業が、ものづくり補助金で自社倉庫を整えてEC直販を始め、物流費用を35%削減した採択事例です。

株式会社傳來工房

この事例のポイント

  • 特約店ルートの売上が数年前から停滞傾向になっていました。
  • 2021年4月からメーカー直販のガーデンエクステリア製品のECサイトを開始しました。
  • 自社内に物流倉庫を持つことで、外部委託していた倉庫賃貸料が不要になり、物流費用を35%削減することができました。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社傳來工房
所在地京都府 京都市南区
業種その他の製造業
従業員数36人
資本金5,000万円
設立1948年

事業の背景

平安時代から続く鋳造技術を基に、1980年頃から大手エクステリアメーカーの協力企業として新商品開発に携わり、1985年頃からはアルミ鋳物製品のOEM生産を始めました。取引メーカーが大手企業と合併統合して大規模な組織変更を行う中で、コストダウンを中心とする各種要請を受けるようになりました。

これを打破するため、2003年から自社オリジナルブランド「ディーズガーデン」を立ち上げ、全国約320社(435店舗)のデザイン提案型エクステリア工事店と直接契約して事業を拡大してきました。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信特約店ルートの売上が数年前から停滞傾向になっていました。
  • コスト・採算取引メーカーの組織変更によるコストダウン要請で、取引継続の見直しを迫られていました。
  • コスト・採算EC事業では単品発送が増えるため、物流費用の増加が収益悪化につながることが懸念されていました。

やったこと

2021年4月からメーカー直販のガーデンエクステリア製品のECサイトを開始しました。自社内の大型鋳造設備を解体した生産工場を物流倉庫に改装し、EC対応型の受発注・入出庫管理システム(スマートタナコン)を導入しました。

倉庫では最上段6mの大型固定ラック、特注仕様のリーチ型ハイマストフォークを導入し、フォークのオプションカメラで高所作業の安全性を高めました。在庫はフリーロケーションとし、約560パレットに対して約2,000種類の商品を流動的に管理できる体制を整えました。

実作業時間の計測では、入庫作業の目標4分/品目に対して実績3.16分/品目、出庫作業の目標3分/品目に対して実績2.56分/品目となりました。

補助金で入れた設備

経費の区分は「機械装置・システム構築費」です。

  • 受発注・入出庫管理システムスマートタナコン設備の種類:在庫・受発注・物流
  • 最上段6mの大型固定ラック特注仕様のリーチ型ハイマストフォーク設備の種類:搬送・倉庫
  • フォークのオプションカメラ設備の種類:その他の設備

事業の効果

自社内に物流倉庫を持つことで、外部委託していた倉庫賃貸料が不要になり、物流費用を35%削減することができました。タブレット操作が入出庫の数量入力を兼ねるため、日々の棚卸などの事務作業が大幅に削減されました。

出荷指示は品番と数量の登録だけで済み、作業者がタブレットで保管位置を確認できるため生産性が向上しました。環境整備の徹底によって物流管理の運用も安定し、EC事業の拡大を支える体制が整いました。

出た効果の種類(押すと同じ効果の事例へ)

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.5 / 514観点のうち13観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性1980年代の協力企業としてのデザイン・OEM実績から自社ブランド「ディーズガーデン」へ移行した経緯が明確で、既存の鋳造技術を延長した一貫性がある。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性大手量産品に対しデザイン性を重視した南欧・北欧風製品で差別化し、特約店を介さず全国約320社・435店舗を直接契約した競争優位の記述がある。
  • 4
    課題の認識と解決売上停滞と特約店依存の課題を認識し、EC事業と物流体制の導入で対応する計画が示される。物流費を35%削減した点も裏付けとなる。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性4

    1980年代の協力企業としてのデザイン・OEM実績から自社ブランド「ディーズガーデン」へ移行した経緯が明確で、既存の鋳造技術を延長した一貫性がある。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    大手量産品に対しデザイン性を重視した南欧・北欧風製品で差別化し、特約店を介さず全国約320社・435店舗を直接契約した競争優位の記述がある。

  • 課題の認識と解決4

    売上停滞と特約店依存の課題を認識し、EC事業と物流体制の導入で対応する計画が示される。物流費を35%削減した点も裏付けとなる。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    入庫・出庫作業の目標時間(4分、3分/品目)に対し実績3.16分、2.56分と目標を上回る検証結果があるが、付加価値額や賃上げの目標値は見当たらない。

  • 事業を進める体制3

    物流・管理システムの構築を各部門の役割分担や作業手順、運用ルールを決めて計画的に進めた記述があり、体制面は示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    マンション市場やDIY市場の需要拡大を踏まえ、デザイン提案型の差別化された製品とSNS連動の情報発信で選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    実作業時間の計測検証を行い、SNS広告やマンション市場への展開といった今後の進め方が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    大手量産品が主流の市場で、南欧・北欧風のデザイン重視エクステリアを投入し、高付加価値なプレミアム製品として差別化している。

公的補助の必要性3.3
  • 波及効果・雇用3

    生産工場を物流倉庫に改装し、EC対応の物流・管理システムを整える点は地域の雇用や取引先への波及は乏しいが、新たな需要創出の側面がある。

  • 費用対効果3

    倉庫賃貸料が不要になり物流費用を35%削減したと示され、投入額に対する費用対効果の一端が読み取れる。

  • イノベーションへの貢献4

    EC事業と受発注・入出庫管理システム(リアルタイム倉庫管理)を組み合わせ、特約店依存からWEB市場へのビジネスモデル転換を実現している。

政策面3.0
  • 成長分野への進出3

    ECを通じたWEB市場の拡大やDIY市場への展開など、需要が伸びる分野への進出が示され、構造転換の方向性は読み取れる。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

国内の人口や世帯数は減少し、戸建て住宅の新築市場の先行きは厳しくなっています。そのため、住宅市場の半分を占めるマンション市場へエクステリア製品の拡充を図るとともに、コロナ禍で需要が高まっているDIY市場への展開を目指します。

また、SNSを中心としたWEB検索に対応し、ECサイトと連動するWEB広告で認知度の向上を目指します。

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出典・注記
  • 出典:公式の事例集(令和元年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文からAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 審査の観点:公募要領 p.44(審査項目)
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。