下請けの織物から、自社デザインの商品を直接届ける
中梅織物株式会社
京都府の西陣織メーカー(従業員6名)国が公開している採択事例です
この事例のポイント
- 下請け中心で売上が横ばいのうえ、コロナ禍で売上が全盛期の2割ほどに落ち込んだ。
- 姉妹で自社デザインの商品を直接売りたいと考えたが、資金が足りずにあきらめかけていた。
- 地元の信用金庫の担当者が融資を急がず対話を重ね、専門家とのマッチングと補助金の活用を提案した。
- 補助金で機器と試作品の材料をそろえ、工場見学を受け入れられるよう作業所を改修した。
事業の経緯
1951年に創業し、和服の帯づくりから始めて、のちに企業ロゴのワッペンに軸足を移した。創業者の孫にあたる現代表は1994年に入社し、効率よく生産できる事業に変えなければ生き残れないと感じていた。その数年後に妹が加わってデザインを担い、ワインラベルやコースターなど自社デザインの提案を始めた。
2019年ごろから地元の信用金庫の担当者が通うようになり、コロナ禍で売上が落ち込んだ際には融資で支えられた。2023年5月に父から事業を承継し、担当者の提案で事業承継・引継ぎ補助金に採択された。専門家の支援を受けながら機器を入れ、自社デザインの試作品をつくった。
事業の内容
- 課題:下請け中心の受注和服の帯づくりから始まり、のちに企業ロゴのワッペン(徽章ネーム)に軸足を移した。和服から洋服への需要の変化に対応する必要があったが、法人向けの下請けの仕事が中心で、売上は横ばいだった。
- 課題:コロナ禍での資金不足コロナ禍で売上が全盛期の2割ほどまで落ち込み、運転資金の借入が必要になった。自社でデザインした商品をネットなどで直接売りたいと考えていたが、業績の悪化で資金を工面できなかった。
- 取り組み:信用金庫との対話2019年ごろから地元の信用金庫の担当者が週2〜3回訪ねてきて、融資の話を急がず事業の将来について対話を重ねた。コロナ対策の融資で資金面を支え、信用金庫のネットワークを通じて制作物と会社のブランディングを支援する専門家とつないだ。
- 取り組み:補助金での新事業新事業の最後の一歩に足りない資金について、担当者が事業承継・引継ぎ補助金を提案した。補助金で新事業に必要な機器を入れ、テストマーケティング用の試作品の材料をそろえた。顧客が作業の様子を見学できるよう作業所を改修し、少人数の工場見学を受け入れられるようフロアも整理した。
- 取り組み:試作品づくり個人向けの販売を意識した織りのワッペンを試作した。制服やバッグなどに付けるアクセサリーとして提案していく。
補助金を使った経費
記事の内容から、事業承継・M&A補助金の経費区分にあてはめた区分です。
| 設備費 | 新事業用の機器 |
|---|---|
| 原材料費 | 試作品の原材料 |
| 設備費 | 作業所の改修 |
事業の効果
- 補助事業の期間中につくったサンプルを商談会で配り、手応えを感じ始めている。
事業者の声
昭和から平成の初頭にかけては、この会社の事業が拡大していた時期でした。日々、注文が増えていた時代のことを幼少時代 の記憶として覚えています。
もっと、効率的に生産できるように事業を変えていかないと生き残れない。
家業の手伝いは自分にしかできないことだと思っていましたし、母親もあなたが手伝ってくれると助かると言っていました。
お金を借りてくださいということを一言もおっしゃらず、信用金庫の広報誌を置いていかれ、私たちがこれから何をやりたいのかという話を聴いて、10分くらいでお帰りになっていました。
これまでやってきた法人向けの商品を作る下請けの仕事だけでなく、自分たちがデザインした商品を直接評価してくれる方に販売することが必要だし、そのためにインターネット販売をやりたいと姉妹で話していました。ただ、新たな挑戦をするにも業績が悪化しており、資金調達も難しいので、諦めるしかないと思っていました。私も妹も、やるべきことをやらずに廃業に向かう道だけは進みたくないという想いを持って葛藤していました。
まだ今は種をまいたところかもしれませんが、必ず花を咲かせます。この事業を通じた私たちの最終の目的は、社会に必要な存在になり、社会貢献ができる企業となることです。補助金で助けていただいたことを忘れず、少しでも恩返しができればなと願っています。
京都府の西陣織メーカー(従業員6名)
出典
- 中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事(当社が書き直し・要約。事業者の声は記事中の発言の引用です)
- 経費区分は、事業承継・M&A補助金の公募要領の区分に当社があてはめたものです
- 採択率:中小企業庁「採択結果」(15次)
相談先と計画づくり
| 信用金庫 | コミュニティ・バンク京信(京都信用金庫) |
|---|
自社の環境、強みと弱み、これから挑む新事業の順に整理した。最初は箇条書きの粗い文章から書き始め、担当者が論理の食い違いを確かめながら計画に仕上げた。
今後の展望
今は種をまいた段階と位置づけ、西陣織の技術を生かした新しい用途やデザインを市場に提案していく。社会に必要とされ、社会に貢献できる企業になることを最終の目的にしている。
この事例の取り組み
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