ものづくり補助金第12次・グローバル展開型(海外市場開拓)製造業山梨県

酒粕から蒸留酒をつくり、25か国へ輸出

山梨県の創業275年の酒蔵(従業員39名)(事業者名は伏せています)

この事例のポイント

  • 縮小が続く日本酒市場の中で、「国際化」と「高付加価値化」を経営の柱にした
  • 産業廃棄物として処分していた年間30トンの酒粕を、ウイスキー樽で熟成させる蒸留酒に変えた
  • 熟成・ろ過・瓶詰めの工程ごとに課題を分け、それぞれに設備を入れた
  • 認定支援機関の地方銀行が、申請前から補助事業のあとまで伴走した

事業の内容

  1. 課題:縮小する国内市場日本酒の市場は1973年をピークに縮小が続いている。社長は就任当初から「国際化」と「高付加価値化」が必要だと考え、日本酒業界だけでなく、数兆円規模のアルコール市場全体を相手にする経営に切り替えた。最初に瓶内発酵のスパークリング日本酒を出し、既存の商品も酒質・パッケージを見直して統廃合したことで、売上は伸びていた。
  2. 課題:酒粕の処分海外の著名なシェフから、カクテルのベースになる度数の高いお酒を作れないかと相談を受けた。そこで、日本酒をつくるときに出る酒粕を原料にした蒸留酒を考えた。酒粕は食生活の変化で需要が減り、同社でも年間30トンを産業廃棄物として処分していた。これを高く売れる商品に変えれば、廃棄の問題も解決できる。
  3. 課題:工程ごとの技術の壁ほかと差をつけるため、3年以上熟成させ、香りと味のバランスを確かめてから出荷すると決めた。ところが、熟成では保管する位置や高さで温度・湿度が変わり、品質がぶれる。ろ過では、輸出を前提にHACCPの考え方で、旨味を残したまま雑菌を除くフィルターが要る。瓶詰めでは、国際基準に合う容器の洗浄技術が要る。どれも多額の設備投資が必要だった。
  4. 取り組み:熟成熟成保管装置を導入し、熟成する環境の温度・湿度をそろえた。3年以上熟成させ、香味を確認してから出荷できるようにした。
  5. 取り組み:ろ過最新モデルの高精密フィルターを導入した。分解・洗浄がしやすくなり、これまでより安定した、衛生的な製法にした。
  6. 取り組み:瓶詰めオゾン水生成機を導入し、瓶詰めの工程で安心・安全な充填の方法を確立した。焼酎の業界では珍しい取り組みになる。
  7. 取り組み:計画づくり認定支援機関の地方銀行が、投資計画の妥当性、決算書との整合、設備投資の効果と収益性の数字、リスクを、第三者の立場で一緒に確かめた。社長がつくった計画を磨き上げ、審査で説得力のある内容にした。

補助金を使った経費

記事の内容から、ものづくり補助金の経費区分にあてはめた区分です。

機械装置・システム構築費熟成保管装置(熟成の温度・湿度をそろえ、3年以上の熟成に対応)
機械装置・システム構築費高精密フィルター(旨味を残して雑菌を除く。分解・洗浄がしやすい)
機械装置・システム構築費オゾン水生成機(瓶詰めの容器洗浄と充填の衛生管理)

事業の効果

  • 市場になかった、酒粕由来でウイスキー樽熟成の蒸留酒が生まれ、業界関係者から高い評価を得た。
  • 捨てていた酒粕が、価値のある商品に変わった。
  • 省力化と品質の安定が進み、これまでより高い価格帯で売れるようになった。熟成するほど価値が上がるため、値引きして売り切る必要もない。
  • 国内の酒屋や百貨店から期待が寄せられ、海外のホテルやバーからの引き合いも増えた。
  • すでに世界25か国へ定期的に輸出しており、蒸留酒の販売規模を今後数倍に伸ばしたいと考えている。
  • 補助事業のあとも、銀行の紹介で旅館や農業など幅広い企業との取引につながっている。

事業者の声

蔵元1社数億円規模の日本酒業界の視点で見るのか、数兆円規模のアルコール市場の視点で見るのかで、未来は変わる。

山梨県の創業275年の酒蔵(従業員39名)

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