持続化補助金で売上はどれだけ増えた?採択事例の伸びと目標の立て方
この記事の要点
持続化補助金の採択事例で、売上がどれだけ伸びたかを業種と取り組みごとに整理しました。伸びが大きい取り組みと小さめの取り組みの違い、計画書に書く売上目標の決め方、補助事業後の売上の報告まで公募要領で確かめられます。
この記事の目次
持続化補助金の採択事例で、売上の伸びを%で示した事例の真ん中の値は20%です。看板や席の入れ替えでは1桁台から数十%、新しい客層や海外・通販に広げた事例では2倍を超えるものもあります。
計画書に書く売上目標は、伸びの大きさより根拠が見られます。補助事業が終わった1年後には、売上高と売上総利益を事務局に報告します。
持続化補助金を使った会社の売上が実際どれだけ伸びたのか、自社の計画にどんな目標を書けばよいかを知りたい方に向けた記事です。
小規模事業者持続化補助金(通常枠)の採択事例のうち成果を数字で示したもの283件を土台に、伸び方の違いと、公募要領が求める売上目標の書き方を整理します。
売上の伸びを数字で示した事例の水準は?
売上の伸びを%で示した採択事例は、数%の小さな伸びから2倍を超える伸びまで幅が広く、真ん中の値は20%です。全体の採択事例364件のうち、売上・客数・受注などの成果を数字で示したものは283件あります。
成果の書き方は事例ごとにばらばらで、売上の%のほか、新規顧客の人数、問い合わせの件数、ランチの月商、客数の倍率などで示されています。売上の%だけで比べると、伸びた事例の一部しか見えない点に気をつけます。
補助金で売上が伸びる道筋は業種別の採択事例でも業種ごとに読めます。
業種と取り組みで変わる売上の伸び幅
伸び幅を大きく分けるのは業種よりも取り組みの種類で、新しい市場に出た事例ほど伸びが大きく、今の客の不便を減らす事例は伸びが小さめです。業種ごとの真ん中の値は次のとおりです。
| 業種(採択事例の数) | 売上の伸びの真ん中の値 |
|---|---|
| 製造(123件) | 22% |
| 飲食・宿泊(69件) | 25% |
| 美容・娯楽などの生活サービス(31件) | 25% |
| 建設(22件) | 14% |
| 卸売・小売(68件) | 10% |
真ん中の値は、売上の伸びを%で示した事例だけで出しています。業種によっては%で示した事例が少ないため、目安として見てください。
- 伸びが大きかった取り組み:英語のホームページや海外の見本市で外国の客に売る、婚礼ギフトや法人向けなど新しい用途の商品を作る、ネット通販で地域の外に売る、在宅の高齢者への出張サービスを始める。
- 伸びが小さめだった取り組み:看板の照明を足す、席やテーブルを入れ替える、今の客にチラシを配る。客数は確実に増えますが、売上全体に占める割合が小さくなりがちです。
新しい市場に出る取り組みは伸びが大きい一方、計画どおりに売れない危険も大きくなります。新商品や新事業に向く制度の違いは新事業進出・ものづくり補助金とはで比べられます。
計画書に書く売上目標はどう決める?
売上目標は、補助事業でつくる商品や客の数から積み上げ、その根拠になる事実を添えて書きます。公募要領は対象になる事業の条件として「様式第14提出時の売上高・売上総利益が補助事業終了時と比較し増加することが見込める事業であること(定量的な成果を様式2に記載)」と定めています1。
根拠に使える事実は、市場や客の数を示す公的な統計、今の客へのアンケート、問い合わせや断った注文の件数、試作品の反応、新しい取引先との話の進み具合などです。「売上を2割伸ばす」と書くだけでは、審査の「客観的事実に基づいて目標の設定がされているか」に答えられません。
- 補助事業で増える客や商品を1つに決める(例:持ち帰り用の冷凍カレー)
- 1か月に売れる数を、今の注文や試作の反応から見積もる
- 単価と粗利をかけて、売上高と売上総利益の増え方を年ごとに出す
- 今の売上に足し、伸び率が大きくなりすぎないかを見直す
審査項目の全体と採択率は持続化補助金の採択率・審査基準で取り上げています。
補助事業のあとに売上を報告する仕組み
持続化補助金は、補助事業が終わった後も売上高と売上総利益を事務局に報告する仕組みです。公募要領は「補助事業終了から1年後の状況について交付規程第29条の「事業効果等状況報告」を事務局指定の期限までに行う。未提出・提出後1年未満の事業者は次の申請に制限がある」と書いています。
報告に使う様式第14では、売上高と売上総利益を全員が書き、申請の前の数字には経営計画書に書いた直近1期の値を使います2。計画書に書いた数字が、そのまま後で比べられる元になります。
報告を出さないと、次の持続化補助金に申し込めない期間が延びます。採択後の手続き全体は持続化補助金の採択後の手続きで順に説明しています。
専門家から見た売上目標のポイント
売上目標は、補助事業で何が何個売れるかを言える範囲で書くのが最も強く、伸び率の大きさは採否を決めません。採択事例でも、成果を数字で示した事例283件の多くは、新規顧客の人数や受注の件数のように、取り組みに直結した小さな単位で効果を語っています。
採択事例の課題では「販路・情報発信」が75.3%と最も多く、「新事業・新市場」は25.5%です。知られていない商品を知らせる計画が中心で、売上はその結果として増える、という順で書かれています。
大きな伸びを見込んでよい会社
すでに引き合いがあるのに応えられていない会社です。大口の注文を断っている、海外の客から問い合わせが来ている、試作品の評判がよい、という事実があれば、その件数を根拠に大きめの目標を置けます。
控えめな目標から始める会社
看板やチラシで今の商圏の客を増やす会社です。来店が1日に何組増えるかから積み上げると、売上全体の伸びは数%から十数%に収まることが多く、その数字で十分に筋が通ります。背伸びした目標は、1年後の報告で大きく下回る原因になります。
成果の書き方が近い事例は採択事例のデータから業種や課題で探せます。
間違えやすい点
売上の目標と成果で間違えやすいのは、比べる時点、売上と利益の区別、事例の数字の使い方の3つです。
増加を見込む比較は「補助事業が終わった時点」と「1年後の報告の時点」です。申請した年の売上と比べるのではない点に気をつけます。
公募要領は売上高だけでなく売上総利益の増加も求めています。値引きで売上を増やす計画は、粗利が減れば条件に合いません。
他社の事例の伸び率を、自社の目標の根拠にはできません。根拠は自社の客数、単価、引き合いの件数で示します。
採択後に補助金が減らされる場面は採択後に補助金が減額・返還になるケースでまとめています。
よくある質問
売上目標を達成できないと補助金を返すことになりますか?
売上の目標を下回っただけで返還を求める決まりは、公募要領に書かれていません。賃金引上げ特例や賃上げの加点を使った場合は、賃金の目標の未達に別の扱いがあります。
売上目標は何年分書けばよいですか?
公募要領は、補助事業の終了時と1年後の報告時を比べて増加を見込むことを求めています。計画書では、少なくとも補助事業が終わってから1年後までの見込みを年ごとに示すと比べやすくなります。
赤字の会社でも採択されますか?
赤字でも申請はできます。今の売上と利益の状況を正直に書き、補助事業で何がどれだけ改善するかを示すことが求められます。
売上ではなく客数の目標でもよいですか?
ほかの質問も見る持続化補助金のよくある質問出典(2件)
- 持続化補助金 通常枠 第20回 公募要領 第8版・商工会議所地区 p.7『4.(4) 補助対象事業』
- 持続化補助金 通常枠 交付規程・2026年3月改定 p.35『様式第14 事業効果および賃金引上げ等状況報告書』(公募要領の台帳)
参考資料
確認日:2026年10月17日
専門家が内容を確認しました(2026年10月17日)
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